4/24
皆はこう呼んだ、黄 銀雄
この世界の俺は黄 銀雄。
仙術士の家系の長男、らしい。
許婚の楊 開慧は軍門の名家。つまり正真正銘のお嬢様だ。
黄家の中でもかなり能力が高かった俺は、縁故で仕官に推挙されて元々古馴染だった楊家にご厄介になり、幼馴染の開慧と婚約する身となった…らしい。
夢だから周囲の状況とおぼろげな記憶で今の状況を推測するとこうなる。
「黄なのに銀! 銀! 変なの!」
この世界で一番古いと思われる思い出…初めて会った開慧に名前をからかわれた時のものだ。
生まれついての銀髪からとられた名前、それなりに周囲にからかわれたみたいだがこの時が一番堪えたようだ。
顔を真っ赤にして怒った覚えがある。よく仲直りできたな幼い俺。
「あの時は変だって思ったけど、今はちょっといいなって思うよ。かっこつければ様になってるし」
開慧にあの時の話を振ったらこう答えた。
「まだ根に持ってる?」
しおらしげな開慧の顔がまたかわいい。釣り眼で気が強そうだが、表情を隠そうとしない。もしくは隠すのが下手なんだろう。
「根に持ってたらここにいないし、婚約もしない」
「そうだよね。銀雄はここにいるもんね」
どこか含みのある言葉だ。
元の世界とは違う、お互いに相手を選べるわけではない恋愛事情がある。
転生とはいえ、俺はかなり恵まれたほうなのかもしれない。




