13 自分の言葉で話す〈2〉
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こんにちは、矢暮です。
今日は、なぜこのエッセイもどきを長期間書けなかったのか、の理由を話の枕にして語ってゆきたいと思います。
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実はこのエッセイもどきを、
『なぜパプテマス・シロッコは赤い彗星を“ニュータイプのなり損ない”と揶揄したのか?』
にしたのかと言うとですね、別に深い意味はなく、率直にその表題についての答えを、自分なりの視点から語りたくなる衝動に駆られてしまったからです。
……なのですが、
正直、いつも僕はこの表題に対する答えを書き出そうとしている自分の姿に対して、こういうふうに感じていたんですね。
「実際、俺ってバカだよな。なんでこんな少し考えりゃ誰でも分かりそうな内容を、さも得意げに、しかもしたり顔で書こうとしていやがるんだ。これじゃまるで裸の王様みたいじゃないか……」
と、あらゆる読者様を表題で釣っておきながら、自己欺瞞のようなものに対して罪悪感を覚えていたわけでなのでございます。
それで書くのをためらったりしていたのですが、
今回はそういうのめんどくさいんで、勿体ぶらずにさらっと書いちゃいますね。
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一言でいえば、劇中当時のシロッコから見たシャア(※当時クワトロ・バジーナ)の姿は、同じニュータイプという概念の中でも、まだまだ精神的に未熟で、
シロッコらから鑑みた見地からも、
「貴様は、まだまだ我々の域に達していない。その手にこの世界を欲しがっている俗人どもと一緒だ」
というように映ってたから、あの言葉が出てきたのだと僕は考えています。
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実は、それを裏付ける話として、シロッコが所属するエリート軍閥〝ティターンズ〟と対極をなす反地球連邦組織〝エゥーゴ〟の初代代表を務めた〝ブレックス・フォーラ准将〟との関係がそれを示しています。
反地球連邦組織〝エゥーゴ〟は、無論これを読まれているご聡明な方々になら釈迦に説法、当然のように解かっていただけているとことだとは思いますが、あえて言わせてもらえれば、ブレックス准将一人の活躍で出来た組織ではありません。
大まかにいえば、地球連邦軍、政府の腐敗。ティターンズの名を騙る自称エリート軍閥の台頭。
それに危機感を覚えた、地球という母なる大地に依存し続ける精神的に自立できない人々をなんとかしようという有志が集まったことと、
それに政治的、経済的な面からも危機感を覚えていたアナハイム・エレクトロニクスを始めとする経済界の面々、コロニー自治区それぞれの思いが結託し、そこにシャアがアクシズから革新的技術〝ガンダリウムγ合金〟を手土産にしたことで、私有の軍隊が具現化した、ということです。
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しかし、ブレックス・フォーラという人物は、劇中の台詞などから鑑みるに、とても軍を率いてドンパチを好むような人物ではないことは明らか。
あのティターンズの人質交換を条件にした取引のときには、
「なんという破廉恥な!」
という言葉で怒りを露わにするシーンをもってしても、根が誠実で、とても良い育ち方をしてきたことを窺わせる好人物であることは言葉にするまでもない話です。
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しかし彼自身(ブレックス准将本人から)は、僕の憶測から察するに、自らに何か物足りなさを感じていたに違いないのです。
それは、彼自身のカリスマ性と、戦いのための知恵というもの。
そう、ブレックス・フォーラという人物は、軍人というよりも、〝比較的度量のある誠実な政治家〟という面が強く、弱肉強食な軍組織、ひいては戦争という舞台では、周りにいる魑魅魍魎どもには引けを取ってしまうことを自覚していたのだと。
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そこに現れた不思議な風格を持つ一人の青年将校。その名は〝クワトロ・バジーナ大尉〟。彼は元ジオン兵士にしてブレックスらと同じ目的をもつ同士であるという。
ブレックスはその時点で、彼に多大なる何かを見出したのは間違いないでしょう。
それは、一年戦争当時に活躍した〝赤い彗星〟であろうとなかろうと変わらないことで、
「彼は私にないものを十二分、有り余るほど持っている。それ程の青年だ。私の右腕……いや、私でさえも追い抜いてくれる人物になるだろう。いや、そうなってもらわなければ未来が困る」
という思いがあったからこそ。
ブレックス・フォーラのように誠実な生き方をしてきた人物なら、そう思ったに違いないのです。
だから、重要な会議や閣議には、無理にでもスケジュールを組んでまでしても参加させている。
そこに、もう一つのブレックスのシャアに対する思惑があるのです。ここが重要なんです。
それはですね……
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「彼はニュータイプの素養があり、全体を鑑みても飛びぬけて優秀だが、その優秀さを制御できる心が育っていない……」
そう、クワトロ・バジーナ大尉ことシャア・アズナブルという青年の根っこのところに、ブレックスはどこかが脆く、なにかが欠けていることを悟っていたのだと思います。
ブレックス程の大人物になれば、その程度の人物査定は容易だったはずです。
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しかし、不幸が訪れました。
その政治的、社会的な意味での、シャアの育ての親にもなろうとしていた人物が暗殺されてしまったことです。




