↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/23

015. 〈蒸し風呂〉と〈熱中〉

 街の人たちがドラゴン討伐のお礼として、一番人気の湯屋《ゆや》を貸し切りで用意してくれた。レオナさんを連れて直行し、まずはさっと汗を流す。大勢で入っても余裕がありそうなほど大きなお風呂に、足を伸ばしてゆっくり浸かっていると、 旅の疲れもすっかりほどけていく気がした。

 浴場内には川の水を引いた水風呂もあるらしい。そして街の人が言っていた蒸気浴……『蒸し風呂』も併設されていたので、今度はそれを試してみることにした――。


「………………あっつー……」


 ――けど、暑すぎる……。


「火山の中より暑いね」


「ですねー……。温度的には、熱めのお風呂と同じくらいらしいんですけど……」


 木造りの部屋の中、一段高くなっているところに二人、並んで腰かけている。吸い込む空気はもはや熱く、むわっとした熱気が体にまとわりついていた。……入ってまだ五分も経ってないのに、なんか頭もボーっとしてきたし……のぼせちゃう前に出ないと……。


「――わっ……! レオナさん、汗すごっ……!」


「ん……どんどん出てきちゃって……」


「あー、代謝いいんですねー……」


 頭から水を被ったのかと思うくらい、レオナさんの体は汗でびっしょりだった。しかし暑さ自体は苦ではないらしく、平気そうな顔をしている。


「……んっ、ぐぐっ……ふぅ……」


 かすかに吐息を漏らしながら、レオナさんは大きく伸びをした。両手を上に、ぐっと胸を反らし、そしてだらりと手を下ろす。


 ……何度見ても慣れない、好きな人の裸……。視界に入るたび胸がドキドキして、ダメだと思っても、目が離せなくて……。しかも今は、汗で濡れてるから余計に……。


「………………わたしの胸、何か付いてる?」


「あっ!?!?」


 やばい!!! 油断してガン見してた!!! しかもバレた!!!!!


「ちっ、違います!! 違うんです!!!」


 慌てふためく私を、彼女は怪訝《けげん》そうに見つめている。


「そのっ!! き、筋肉が!! 腹筋すごいなーって思って!!!」


 ……ただでさえ暑いのに、焦って大声まで出したせいで頭がくらくらして、良い言い訳も思いつかない……。オークに襲われたとき以来のピンチかも……。


「ん、ありがと。鍛えてるから」


 しかし幸いなことに、彼女は私の邪な気持ちには気付いていないようだ。得意げな表情でぐっと背筋を伸ばし、自慢の腹筋をアピールしている。


 ……凄まじい存在感を放つ大きな胸の下、形がはっきりわかるくらいに、ほどよく浮き出たレオナさんの腹筋。きゅっと引き締まったくびれとも相まって、もはや美しさすら感じるほど魅力的に見える。その柔肌《やわはだ》の上を、玉のような汗が一粒、ゆっくりと伝い落ちていった。


「……あ、アイラちゃん……? よだれ出てるけど……」


「んぐっ!!!???」


 ぎゃあああああ!! 夢中になりすぎた!!!


「ご、ごめんなさい!! その、あつくて!!!」


 とっさに出た叫びは、もはや言いわけにすらならないものだった。……いいかげんに出ないと、マジでやばいかも……。


「……触りたい?」


「――えっ」


 ……まって??? そのとおりではあるけど……なんでそうなったの???


「アイラちゃん、わたしが着替えてるときとか、お風呂のときとか、ずっと見てるでしょ?」


「そっ!?!? そんなっ、ことは……!!」


 あぁ……そっちもバレてたんだ……。私もうおしまいかも……。


「触りたいなら、触ってもいいよ」


 そういって彼女は、私が腹筋をさわりやすいようにするためか、両手でじぶんの胸をもちあげた。……なんですかそのえっちなポーズは!!!!! さそってるんですか!?!?!?


「……じゃ、じゃあ、ちょっとだけ……」


 しかし誘惑にはあらがえず、手がかってに、レオナさんのおなかへと吸い寄せられていく。……やばい、こうふんと暑さで、ぶったおれそう……!!


「――んっ……」


 震えるゆびでそっとお腹にふれたしゅんかん、れおなさんはかすかに声をもらした。……なんですか!!! そのえっちなこえは!!!


「……あっ、ふっ……」


 ゆび先にすこし力をこめると、しずむような柔らかさのなかに、しっかりとした弾力をかんじる。あせでしっとりとした肌ともあいまって、ずっとさわってたいくらい、ふしぎなかんしょくだった。


「……んぅっ……!」


 ふっきんのたにまにそって、なぞるようにゆびをすべらせると、れおなさんはまた、こえをもらした。めをぎゅっとつぶって、かすかにからだをふるわせて、くすぐったさをがまんしている。あつさのせいか、かおもあかくなってしまっている。


 ……え、えっちすぎる!!!!!


「――はぁっ……!! はあっ……!!!」


「あ、アイラちゃん……? 大丈夫……?」


「はひっ! れんれんっ! らいりょーうれふっ!」


 ……ここまできて、とまれるわけない!!! もっとさわりたい!!! もっとこえをききたい!!! もっとえっちなすがたをみたいの!!!!! うおおおおおぉぉっ!!!!!!!


「――きゅぅ……」


「あ、アイラちゃん……!?」


 ……あれ、なんか、からだにちからはいんない……?


「だ、大丈夫……!? のぼせちゃった……?」


 だめだ、あつくてもう、なんにもかんがえらんない……。


「んと……外、連れてってあげるね……?」


 ……あれ、からだがふわっとういて、ゆらゆらしてる……? なんだかきもちいいし、このままねちゃおっと……。






「――ごめんなさい……迷惑かけちゃって……」


「ん、気にしないで」


 いつのまにか、私は浴場の床の上に寝かされていた。どうやらのぼせてしまったらしい。目が覚めたとき、レオナさんは心配そうな顔で私を見下ろしていた。


「無理しちゃダメだよ?」


「はい……すみません……」


 ――いっそ、なにも覚えてなければよかったのに。暴走中の自分については、しっかりと覚えている。レオナさんに「触ってもいいよ」って言ってもらって、すごく興奮して、暑さで正常な判断もできなくて……我ながら、情けないなー……。


 ……しかもレオナさん、たぶん私を外に出してくれたとき、お姫様抱っこしてくれたっぽい……? はぁー……もっとちゃんと味わいたかったな……。


「……お腹、触りたかったら、いつでも触っていいからね?」


「んぐっ……!? ……あ、ありがとう、ございます……」


 ……私は終始、邪な気持ちしかなかったのに、彼女はなんの疑いもなく私を受け入れてくれている……。罪悪感で、しばらくレオナさんの顔が見られなかった。

読んでいただきありがとうございます!

少しでも「おもしろい」と思っていただけたなら幸いです……。

応援、リアクション、感想、ブックマーク、なんでもお待ちしております!


今後とも、よろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。