↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/23

013. 〈プレゼント〉と〈贈り物〉

 晩ご飯にはまだちょっと早かったから、気分転換に街の外へ出た。夕焼けで赤くなった街を横目に見ながら、川に沿ってのんびりお散歩。風が涼しくて気持ちいい――。


「……アイラちゃん、どうしたの?」


「ふえっ!? あっ、いやっ、そのっ……!」


 ――なのにさっきからなんだか、もじもじし始めたのが気になって、声をかけた。


「お腹すいちゃった?」


「あっいや、それもまあ、ありますけど……じゃなくて!」


 そう言って、彼女はわたしに向き直った。


「あ、あのっ! レオナさん、これ……受け取って、もらえますか……?」


 彼女が取り出したのは、細長い小さな箱。手のひらより少し大きいその箱には、綺麗なリボンが掛けられている。


「ん……開けてもいい?」


「は、はい……!」


 少しだけ震える彼女の手から、箱を受け取って開けた。中に入っていたのは、アイラちゃんの髪と同じ、綺麗な黄色の紐。


「……これ、髪紐……?」


「はい……。いま使ってるやつ、少しほつれがあったので……」


「……いいの?」


「は、はい……! わ、私からの、プレゼント……です……!」


「わぁ……!」


 アイラちゃんからのプレゼント、すごく嬉しくて……胸がぽかぽか、あったかくなる。


「一昨日買って、ずっと渡そうと思ってたんですけど、その……気に入ってもらえるか、不安で……」


 ……そんなの、気に入るに決まってる。だって、アイラちゃんがわたしのために、選んでくれた物だから。


「ありがと……! すっごく嬉しい……!」


「はぅっ……!」


 笑顔でお礼を言うと、アイラちゃんはなんだか、うっとりしたような顔になった。


「これ、付けてもらってもいい?」


「――あっ、えと……ポニテに戻すってことですか?」


「うん。この髪型も、すごく好きだけど……やっぱり、元の髪型のほうが好きだから」


「わかりました! じゃあ……」


 彼女が背後に回ったのを見て、わたしはその場にしゃがみ込んだ。


 アイラちゃんの指が、わたしの髪を優しくほどいていく。そのくすぐったさが、なんだかすごく気持ちよかった。


「……はい! できました!」


「ん、もうできたの?」


 立ち上がって、軽く頭を振った。尻尾みたいになった髪の束が、ゆらゆらと揺れる感覚がある。川の水面を鏡代わりにしようと覗き込んだけど、流れがあるせいでよく見えなかった。


「アイラちゃん、どう? 似合ってる?」


 彼女に向き直って、軽く頭を傾けて見せた。


「わっ……! はいっ! とっても!」


 アイラちゃんは、すごく嬉しそうな顔で、そう言ってくれた。




「お肉もあるみたい」


「それは……早めに食べないとマズいですね……」


 晩ご飯を食べて宿に戻ったあと、昼間に街の人たちからもらった贈り物を並べて、何があるのかを見ていた。


「わっ、お酒もありますよ」


 アイラちゃんはそう言って、瓶を一本手に取った。


「……うえぇっ!? こ、これ! すごく高価なワインですよ!」


 ラベルを見て、彼女は目をまんまるにして驚いている。


「そうなの?」


「はい! なんか、そもそも生産数が少ないうえに需要も高くて、滅多に手に入らないんだとか……!」


「へぇ」


 お酒は、ほとんど飲んだことないし、良さもあんまり分かってない。


「……ちょ、ちょっとだけ、飲んでみません……?」


 ――けど、アイラちゃんは飲みたそう。


「ん、いいよ」


「やった! じゃあグラス用意しますね! たしかこっちに栓抜きも……」


 そう言って、彼女は楽しそうに立ち上がった。


「――お待たせしました!」


 彼女が持ってきたグラスの、半分くらいまで、真っ赤な液体が入っている。


「わぁ、綺麗な色……」


「ですね! すごく鮮やかな赤で……!」


 グラスを傾けて眺めてみると、少しだけ向こうの景色が透けて見えた。


「……じゃあ、えっと……か、かんぱーい!」


「ん、かんぱい」


 グラス同士を軽く当てると、チンっと綺麗な音がした。そのまま、口を付けて少しだけ飲んでみる。


「――わっ、すごく飲みやすい……!」


「ん……変わった味だけど……嫌いじゃないかも」


「ですよね!」


 ……お酒なんて苦いだけだと思ってたけど、こんなのもあるんだ。


「このワインだと……たぶん、こっちのチーズとかと合わせると、もっとおいしくなると思います!」


「そうなの? 詳しいね」


「えへへ……! ちょっとだけ、勉強したことがあって……!」


 照れるアイラちゃんを見ながら、贈り物の中にあったチーズを少しちぎって食べる。そのまま、ワインをもう一口。


「――ん……ほんとだ、おいしい」


 ……よくわからないけど、なんだかどっちもがおいしくなった気がする。これならわたしでも、お酒を楽しむってことができるかも。


「んー! チーズのまろやかさが、ワインの刺激をさらに抑えてくれるから、余計飲みやすくなりますね!」


 へぇ~、そういうことなんだ……。


「……けどこれ、結構度数高いので、控えめにしておいたほうがいいかもですねー」


「ん〜……」


 ……あれ? なんか、頭がふわふわする……。


「私お酒弱いので、こういうの飲むとすぐに酔っちゃって……ってぇ!? レオナさん!? 顔真っ赤ですよ!?」


「んぇ……?」


 体もぽかぽかしてきて……ねむくなってきた……。


「め、めちゃくちゃお酒弱いじゃないですか!? 先言っといてくださいよ!!」


「ひゃぅ……おめんらひゃい……」


「呂律回ってないし!! ほらこれ! お水飲んでください!!」


「ふぁ〜い……」

読んでいただきありがとうございます!

少しでも「おもしろい」と思っていただけたなら幸いです……。

応援、リアクション、感想、ブックマーク、なんでもお待ちしております!


今後とも、よろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。