本編再開3 最初の戦いは精神力消耗戦のもよう
前書きとごめんなさい。
人生初のストッキング体験をするの巻!笑笑
今日、ご契約頂いたお客様の家の配線ルートを取るのに写真を撮って、Googleマップから地図を拾って来たり色々したりしてたら、蜂が飛んできて、びっくりしてバックステップ。
その拍子にふくらはぎで
『ゴリュ!』……(´・∀・`)え?
「……痛ったーーーー!!!!」
……ゴリュ!!って!!
ゴリュ!!って、逝った!!( ゜д゜)イッター
めっちゃ痛い。
で、即病院。結果、筋断裂が起きたもよう。
ふくらはぎを包帯で軽く圧迫するように、渡されたんだけど、サージルテープがなかったから、奥さんの使ってない着圧式のストッキングを貰って、膝のところで切って……履いた。
膝から下だけ太めの乙女笑笑
瀬戸際高校騎士部部室。
机の上には、同じ全国大会のトーナメント表が広げられていた。
「…………」
郁佳が無言で見つめている。
「…………」
結女は大福を食べている。
「…………」
瑠衣はおはぎを食べている。
「…………」
遥も見つめている。ポテチ美味しい。
「ねえ」
遥が口を開いた。
「うん?」
郁佳が促す。
「さっきさ、四十八校って聞いた時、なんとなくスルーしたんだけど」
「……四十八、ね」
「そう。トーナメントって、四十八校でどうやるの?」
四人の隣で資料を見つめていた和音が軽く頷いた。
トーナメント表を順番に指で下へとなぞる。
「下の方を見てみたらわかるよ。全国大会は参加校、四十八校のうち十六校がシードだ」
「なるほど」
「前年の全国大会成績と、各地区大会の戦績。それから協会のランキングを合わせてシード校が決まる」
「へえー」
遥が頷く。
そして。
嫌な予感がした。
「……瀬戸際は?」
「ノーシード」
「なんで!?」
「去年の全国大会では、予選で初戦敗退だったからね……」
顔が縦線まみれになる和音。
「宇恵井高校、田中くんのところに負けたんだよ」
全員が『あー』と言う顔をした。
「田中くんのところって、そう言えば去年の大会でベスト8だったんだよね。忘れてたわ」
郁佳が手を打つ。
「そう言えばそうだった!」
「宇恵井高校、確かに手強かった。結女ちゃんの奸計がなかったら勝てていたか、正直怪しい」
「そうよね。普段バカだから忘れてたわ」
「おい、誰がバカだコラ」
ちょうどタイミングよく部室に入って来たよしおが突っかかる。
「あ、よしおくんおつー」
「うえーい。おつー、じゃねーよ。バカ遥。一応俺様は先輩だぞ? もう少し敬え……って、なんだ? 全国大会トーナメントじゃねーか」
「そう。私たち、こないだ波理日倒したじゃない? それなのにシードじゃないの納得いかないって話してたのよ」
「学校対抗戦と全国大会のシード判定は別枠だからなー」
「校長も倒したわよ?」
「それはむしろ何の実績なんだろう……」
和音が苦笑いをする。
「確かに」
遥が座った。
「納得したわね」
郁佳が苦笑する。
「ちなみに」
和音が続けた。
「波理日は第一シード」
「あらー?」
結女が笑う。
「まあ、でも下から全部倒せばいいだけだと思うー」
「それもそうね」
「ノーシード主人公」
瑠衣がおはぎにパクつきながら言う。
「誰が主人公よ」
「はるちゃん」
「うえーい。遥は確かに主人公っぽさはあるな」
「……私主人公だったんだ!」
「部長だしね」
郁佳が苦笑いをしながら、もう一度トーナメント表に視線を移す。
「そうだったわ」
「じゃあ僕たちは一回戦から出場。シード校は二回戦からってことなんですね」
「そういうことだ」
「で」
遥が指差した。
「一回戦が厨二岳高校」
「ああ」
「去年ベスト十六」
「ということは?」
「去年の成績だけなら、シード候補だった学校だな」
「なんで初戦からそんなところ引くの!?」
「抽選」
「運悪っ!」
「う゛……悪い」
「ま、去年なんかできたばかりの騎士部で、いきなり俺たち宇恵井に当たったくらいだからな。重音は昔からくじ運が悪いんだろ、たぶん」
「言い返す言葉がない」
和音に軽くダメージが入る。だが、
「問題ない」
瑠衣が呟いた。
「何が!?」
「強い相手と一試合多く戦える」
「…………」
遥が止まった。
「楽しみ、じゃない? はるちゃん」
「確かに!」
郁佳の微笑みにも似た苦笑いが止まらない。
「でもさ」
遥が大会表を覗き込む。
「厨二岳に勝ったら次は?」
「ここ」
和音が指を動かす。
その先。
二回戦。
シード校の名前が記されている。
四人が読む。
「背水乃陣高校……?」
「名前からして必死そうね。……って、あれ?なんか聞いたことある気がするんだけど、なんだっけ?」
遥が言った。
うーん、うーんと唸っている遥の横、和音が無言で一冊の資料を差し出す。
「…………」
「これは何が書いてあるのかしらー?」
「読んでみて」
遥が読む。
数秒後。
「…………これは?」
「何が書いてあるの?」
郁佳が覗き込んだ。
「へー、なるほどね」
「スター選手が四人」
瑠衣が即答した。
「へー。うちとよく似た感じかもしれないわねー」
結女が楽しそうに資料を見る。
「戦術はー?」
「正面突破」
「それだけ?」
「それだけ」
「で、五戦全部三分以内?」
「ああ」
「脳筋?」
遥が聞く。
「超脳筋」
和音が答えた。
「潔いね」
郁佳が感心する。
「待って」
遥が指を折る。
「厨二岳が暗号使って高速連携する戦術型で」
「ああ」
「勝ったら超脳筋?」
「そうなるね」
「その次は?」
「次、見る?」
「見る!」
和音が指を滑らせる。
三回戦。
その先に記された学校名を見て。
遥が黙った。
「……際婆高校」
「昨年ベストエイト。正確には七位だ。宇恵井とほぼ同格だな」
「また強いところ!?」
「ただし」
和音が指を一本立てた。
「まだ際婆と決まったわけじゃない」
「え?」
「際婆もシード校だ。二回戦から出てくる」
和音の指が、際婆高校から一段下へと移動する。
「こっちの一回戦。超常識高校対無問題高校。この勝者と際婆が二回戦で当たる」
「急に知らない人たちが出てきた」
「全国大会だからね」
郁佳が苦笑する。
「で、その勝者が、僕たちの山の勝者と三回戦でぶつかるわけですね」
「そういうことだ」
「じゃあ」
遥がトーナメント表を指で追う。
「私たちが厨二岳に勝って」
「ああ」
「背水乃陣にも勝って」
「ああ」
「向こうで際婆が勝ってきたら」
「三回戦、瀬戸際対際婆だ」
「なるほど」
遥が改めて際婆高校の資料を見る。
「で、これどんな学校?」
「全選手、偏差値七十以上」
「……はい?」
「試合中、全部隊がリアルタイムで盤面の確率計算をしてくる」
「リアルタイムで盤面の確率計算とか、結女じゃん!」
三人の視線が結女へ集まる。
「あらー?」
「結女がいっぱいいるチーム……」
遥が言った。
「嫌だね」
郁佳が真顔になった。
「どういう意味ー?」
「いや、敵として」
「敵としてでも複雑なんだけどー」
「まあ」
和音が資料を閉じる。
「際婆が二回戦で負ける可能性も当然ある。全国大会だからな」
「超常識と無問題、強いの?」
「際婆ほどじゃない」
「じゃあ際婆かな」
「順当に行けばね」
「よし」
遥が頷いた。
「厨二病、脳筋、結女だらけ軍団」
「最後だけ悪意があるわねー?」
「ものすごく濃い三連戦だね……」
郁佳が頬を引きつらせる。
「そして」
和音がさらに指を動かす。
「そこを抜ければ、準々決勝」
その学校名を見た瞬間。
四人の空気が変わった。
さっきまでの軽さが。
ほんの少しだけ消える。
「……松栖流」
郁佳が呟いた。
「ああ」
松栖流高校。
全国ランキング二位。
そして。
かつて波理日と連合軍を組み、瀬戸際高校と戦った強豪。
知っている。
強さも。
怖さも。
気持ち悪さも。
暑苦しさも。
嫌というほど知っている。
「また当たるかもしれないんだ」
遥が言った。
「お互い、そこまで勝ち上がればな」
「向こうも同じこと思ってるかな」
「たぶん」
結女が静かに答えた。
「今度は単独ってことねー」
その言葉に。
遥が笑った。
「じゃあ今度こそ、真正面から決着つけられるじゃん」
「その前に三つ勝たないとね」
郁佳が言う。
「わかってるって」
「でもー、」
結女がトーナメント表を指でなぞった。
「さらにその先もあるわよー」
準決勝。
そして。
決勝。
その反対側の山。
最上段に。
第一シード。
波理日高校。
「…………」
遥が見つめる。
昨日。
全国四十八校を見た時とは違う。
名前を知っている。
戦ったこともある。
そして。
一度は勝った。
だからこそ。
もう一度戦えば勝てる。
などとは。
誰一人として思っていない。
「波理日」
郁佳が呟く。
「決勝まで行けば、可能性はある」
和音が言った。
「向こうが負けなければ、な」
「負けるかな?」
遥が聞く。
「全国だ。何が起きるかわからん」
「そっか」
遥は少し考えた。
そして。
「じゃあ負けないでほしいわね」
「……遥?」
「だって」
遥が笑った。
「決勝でまた戦いたいじゃん」
郁佳が目を細める。
「どこの孫悟空、と言いたいところだけど、それは僕も賛成だよ」
瑠衣は二つ目のおはぎを食べる手を止めた。
結女だけが。
いつものように笑っていた。
やっぱりこの四人でいるのが楽しい。
重音先輩と田中よしおもいいスパイスだ。
噛み締めるように
「そうねー」
半年。
たった半年。
瀬戸際高校は変わった。
全国ベストエイトに驚いていた学校が。
全国一位との再戦を。
決勝戦で待っている。
それを。
誰も無謀だとは思わなくなっていた。
「よし!」
遥が立ち上がる。
「まず厨二岳!」
「暗号だろうが魔眼だろうが堕天使だろうが、全部ぶっ飛ばす!」
瑠衣が言う。
「だって相手の指示わかんないんでしょ!?」
「だからって殴ればいいという話ではないよ」
「騎馬戦なんだから大体そうでしょ!」
「はは、間違いないな」
和音がため息をつく。
「それじゃあ」
「ん?」
「今から厨二岳対策を始める」
「おお!」
「試合映像は六試合分ある。全部見るぞ」
「六試合!」
「指示と動きを照合する」
「おお!」
「一試合平均四十五分」
「…………」
遥が止まった。
「全部?」
「全部」
「四時間半?」
「休憩入れたらもっとだな」
「…………」
「はるちゃん」
瑠衣が言った。
「なに」
「暇じゃなくなった」
「こういう暇の潰し方じゃない!」
「あらー?」
結女が笑う。
「でも、楽しそうじゃないー?」
「…………」
遥は。
しばらく黙ったあと。
椅子に座り直した。
「……まあ」
机の上に置かれたモニターにDVDを挿入する。
厨二岳高校の試合記録が始まった。
開口一発、厨二岳の円陣が映りこんで……
『黒翼第三騎! 黄昏の門を開け!』
『我が双頭の顎よ! 血を求め彷徨え』
「…………」
全員の皮膚に鳥肌が立った。
「これ四時間半聞くの?」
「そうなるな」
「全国大会って過酷だね……」
「想像以上にね」
郁佳が笑った。
全国大会一回戦。
瀬戸際高校対厨二岳高校。
試合まで。
あと七日。
まず始まったのは――。
戦いではなく。
四時間半に及ぶ、厨二病との戦いだった。
遅くなってしまい申し訳ありません。
作者負傷のため、お許しを……m(__)m




