【外伝】陰陽師、山ノ井瑠衣 弐拾九話 〜初めての陰陽師回、終焉〜
鬼穴全体が、小さく震えた。
みし。
みしみし。
天井から砂がぱらぱらと降ってくる。
「……え?」
遥が見上げる。
みょんみょん丸が低く呟いた。
『……鬼穴が閉じ始めた』
「閉じ……る?」
『核を失えば当然であろう。幽界と現世を繋ぐ穴は、自ら崩れて塞がる』
「それって……」
『急がねば、幽界に取り残されるのである』
「最初に言ってよ!!」
遥が叫ぶ。
ごごごごご……
背後で鬼穴核が崩れ始め、通路全体が激しく揺れた。
「瑠衣!」
瑠衣は一瞬だけ崩れゆく鬼穴を見つめ、小さく頷く。
「私を置いて先に行け」
「なんでフラグ立てたし!?」
「一度言ってみたかった」
「瑠衣のアホー!!」
二人は同時に駆け出した。
だが。
「うぅ〜っ……」
遥の膝が笑う。
「身体、重っ……」
「疲労は残ってるから」
「怪我を治せただけ、随分マシ」
『おかげで拙者の首と胴は泣き別れだがな!』
どがぁぁぁん!!
背後の通路が崩れ落ちる。
『走れぇぇぇ!!』
みょんみょん丸が本気で叫んだ。
遥は左手に首。
瑠衣は右手に胴体。
二人は肩を貸し合いながら全力で走る。
「あ、あははははは!!」
遥が笑い出した。半泣きになりながら。
「はるちゃん? ……壊れた?」
「壊れてない! 笑うしかないのよ! だってこの絵面!」
「?」
「犬の生首と胴体を、持って逃げてる女子高生とか、絵面事故じゃん!?」
「たしかに、私たちがアニメだったら、R15とかつけられそう」
「だからメタいってば!!」
瑠衣は真面目に考え込んだ。
「……よく考えたらもう図鑑に登録してあるから、あとで呼び出せる」
「あっ」
「……捨てる?」
『やめんかー!!』
「大丈夫、痛いのは最初だけ」
『そりゃあ、すぐに逝くからなーっ!!』
「大丈夫、どうせこれから何度も逝く。すぐ慣れる」
「瑠衣は言い方に気をつけようか!?」
『式神なんて何度も召喚送還されるのが宿命ですよねぇぇぇっ!!』
その叫びを背に、一人と一人と首と胴体は、崩れゆく鬼穴を全力で駆け抜けた。
——結局、流石にポイっとするのは何か違う。
——ヒロインがやってはいけない行動な気がする。
(但し結女は除く)
そう思い直した二人は、みょんみょん丸の生首と胴体を抱えて洋館からどうにかこうにか飛び出したのだった。
本業、営業マン。
盆前は忙しいのです(´;ω;`)
キャッスルブレイク編の執筆もあるしね!
ということで、お昼ご飯を食べながらなんとか書き上げた分、あっぷですd( ̄  ̄)
しばらく投稿が不安定になると思いますが、ちゃんと続きは書いております!
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