【外伝】陰陽師、山ノ井瑠衣 拾壱話 〜札子は肉の壁〜
すみません。少し遅れました。
遥は瑠衣を見た。
「ねえ、この子どうするの?」
女怪異——札子(瑠衣によって命名)が、おずおずと札を出す。
『よろしくお願いします』
ちょっと嬉しそうである。
「封印する」
『えっ?』
顔が髪で隠れて見えないのにフリップと全身の動きで驚きを表現する札子。
「どこに?」
瑠衣は少し間を置いた。
「……はるちゃんのスマートフォン」
「なんで私の!?」
「わたしの家には家電製品がほぼない」
「そういえばそうだった!」
札子が札を出した。
『スマートフォン……ですか』
「嫌?」
瑠衣が静かに聞く。
札子はしばらく考えた。
『……遥さんのスマホなら、まあ』
「なんで私のだと納得してるの!?」
遥は叫んだ。
札子はまた札を出す。
『後ろでHGをやっていた人なら、悪い人ではないと思いまして』
「HGで人柄を判断するな!! 瑠衣、大丈夫なの?これ。夜中にいきなり這い出て来て禁言の間を仕掛けて来たりしない!?」
「大丈夫。さっき私のポケ……ごほん、式神図鑑に登録したから、絶対服従」
「いまポケ◯ン図鑑とか言いかけなかった!?」
「気のせい。これは人気作品によくあるマスコット獲得回だと思われる」
「メタいよ! それに、マスコットならもっと可愛い方がよくない?? アイコン的に! 札子ちゃんも可愛いけど! パッと見フリップ持った貞子じゃん!!」
『やだ、可愛いだなんて、ぽっ♡』
「ぽっ♡ じゃないよ!」
「ちなみに、はるちゃんを護衛対象として登録した。いざという時には肉の壁になってくれる」
「肉の壁表現はやめようか!?」
瑠衣は無表情のまま、遥のスマートフォンを受け取った。
印を結ぶ。
唇が動く。
スマホの画面が、一瞬だけ青白く光った。
札子の姿が、すうっと薄くなる。
最後に一枚だけ、札が残った。
『今後ともよろしくお願いします』
それもスマホの中へ、吸い込まれていった。
遥はスマホを受け取った。
画面を見る。
壁紙が、見知らぬ女性の後ろ姿に変わっていた。
「……瑠衣」
「なに?」
「壁紙が変わってるんだけど」
「住んでるから」
「住んでるの!?」
スマホの画面が、一瞬だけ光った。
通知が来た。
『よろしくお願いします』
「LINEまで送ってくるの!?」
『あなたが可愛いと言ってくれたから、今日は遥記念日』
「化石みたいなネタまでぶっ込んできた!」
『私はあなたの肉の壁。必ず守る』
「重いよっ!」
「仲良くできそうで良かった」
「はぁ……瑠衣、本当に大丈夫なのよね? これ」
「大丈夫。それより、そろそろこの鬼穴の核に向かう。準備はいい?」
「……わかった」
『承知しました』
「それじゃあ、行く」
そろそろラスボス登場しそうですね。
面白い。続きが気になる。
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