表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎馬戦記⭐︎ガールズナイツ  作者: mutsu!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
60/104

【外伝】陰陽師、山ノ井瑠衣 参話 〜陰陽師と巫女服と洋館と◯◯◯◯。和洋折衷どころではない話〜

 館の中は、古めかしく、そして暗闇が支配していた。


 窓から僅かに入り込む月灯り。

 淡く照らされた通路は、埃っぽい空気に満たされている。


 館は廃墟ではなかった。

 整理された空間からは、ただ……

 人の気配だけが欠落していた。

 

 鶯張(うぐいすば)り、なのだろうか? 歩くたびに足元から悲鳴のような音が響く。


 ランプのような照明がうっすらと廊下を照らしているが、その光は頼りなく、すぐに闇に溶けた。


「こわ……」


 遥は瑠衣の袖をつまんだ。ほくほくの瑠衣。


 瑠衣は何も言わなかった。ただ、少しだけ歩く速度を落とした。


 二人は廊下を進む。


 ホール。


 階段。


 古い肖像画が並んだ壁。


「……あの絵、目が動いてない?」


「動いていない」


「ほんとに?」


「……たぶん」


「たぶんって言った!?」


「気になるならこれ貼っておく?」


 取り出されたのは大きめのバンドエイドだった。


「雑っ!? そんな対応でいいの!?」


「固定すれば動かない」


「固定っ!?」


 そのとき。


 廊下の角から、ぬるりと、それは現れた。


 人の形をしていた。


 ただし、足がない。本来なら目と口がある部分は大きく窪んで、深い闇がこちらを覗いている。


 遥が声にならない悲鳴をあげ、震えながら瑠衣の袖を掴んだ。


「ひっ! ほ、本当に……で、でで、で、出た!」


 白く透けた輪郭。口を大きく開けて、何かを言おうとしている。


「ワタシの――」


「滅」


 瑠衣の手が印を結ぶ。


「あ」


 砂で描かれた絵を(ほうき)で掃かれたように幽霊は消えた。一瞬「え?」という顔になった気もするがきっと気のせいだ。


「……何か言いたそうだったけど」


「不要。言わせると長い」


 遥はしばらく、消えた場所を見つめていた。


 それから、小走りで瑠衣の隣に戻る。


 階段を上がったところで、また現れた。


「アタシの――」


「滅」


 ぱしゅっ!


 消えた。


 廊下の突き当たりでも、また現れた。


「我の――」


「滅」


 ぱん。


 消えた。


 三体目あたりから、遥は薄々気づき始めた。


 全員同じことを言おうとしている。


 そして全員、言い終わる前に消される。


「……みんな同じセリフなの?」


「おそらく」


「ちょっとかわいそうじゃない?」


「霊に情けは不要」


 瑠衣は歩みを止めない。


 四体目が現れた。


「わたしの――」


 ぽしゅっ。


「……」


 遥は黙って見送った。微妙な顔になる。


 だんだん慣れてきた。


 五体目が現れたとき、瑠衣が足を止めた。


「ワタシの身体を……」

 幽霊が何か言ってるが、もう背景音と化していた。


 そして、どこからともなく、瑠衣はそれを取り出した。


 刃渡(?)七十センチくらいの、大きなピコピコハンマー、俗に言うピコハンだった。


 もう一度微妙な顔になる遥。口は真一文字だ。


「……どこから出したの?」


「気にしたら負け」


「負けなんだ」


「はるちゃんもやる?」


「……やる」


 即答だった。


 渡されたピコピコハンマーを握る。思ったより軽い。


「ワタシの身体は――どk」

「そりゃっ!」


 ぴこん。


「……消えた」


「こ」まで言わせてもらえない幽霊さんが、少しだけ可哀想だった。


「退魔のピコピコハンマーだから」


「なんでピコピコハンマー?」


「……代々伝わる……神器?」

 絶対間違っている。謎は深まるばかりだった。


 それからしばらく、二人は交互にぴこんぴこんしながら廊下を進んだ。


 遥は五体ほど祓ったあたりで、すっかり慣れていた。


 怪異との戦いというより、もはやゲームセンターに近い何かだった。


 そして、廊下の突き当たり。


 他の扉とは明らかに違う、重厚な両開きの扉が現れた。


 扉の隙間から、かすかに光が漏れている。


 いや、光ではない。


 ぬめりのある、赤黒い何かが。


「……ここ?」


 遥は思わず声を落とした。


「ここ」


 瑠衣の声も、わずかに低くなった。

面白い! 続きが気になる!


そう思っていただけたそこのあなた!


ブクマと評価、お願いします(〃ω〃)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ