↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎馬戦記⭐︎ガールズナイツ  作者: mutsu!(=むったん)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
111/115

本編再開19 レモンはかけるかかけないか?

「部長! このままでは禿げます!」


「遺伝かしら!?」


「そうじゃなくて翼が! 外側から!」


「わかっていますわよ!」


 夏華が歯噛みする。


「遥と瑠衣ちゃん……! 本当に、厄介ですわ!」


 夏華率いる背水乃陣高校。


 その明確な弱点であった。


 全体の練度は高い。


 陣形変更。


 進軍速度。


 指揮伝達。


 どれを取っても全国屈指。


 その代わり。


 スター選手が。


 いない。


 遥。


 瑠衣。


 和音。


 よしお。


 郁佳。


 瀬戸際高校には。


 個として。


 戦況そのものを変えられる選手が何人もいる。


 だが背水乃陣高校にはいない。


 一人で遥を止められる者。


 一人で瑠衣を止められる者。


 そんな選手は。


 いない。


「右翼! 牛島遥を止められません!」


「左翼! 玉が全部なくなります!」


 二つ目はほぼ悲鳴だった。


「分かっていますわ!!」


 夏華が。


 戦場を見る。


 右翼。


 遥ちゃん部隊。


 一騎。


 また。


 一騎。


 削られる。


 左翼。


 玉狩部隊。


 一騎。


 また。


 一騎。


 主に。


 色々。


 削られる。


「うわぁ……」


 遥が。


 ちらり。


 反対側を見る。


「やっぱ瑠衣んとこ、絵面ひどいな」


「有意」


 瑠衣がインカムを拾う。


「何が!?」


 遥と瑠衣で、そんな漫才みたいな会話が交わされている反対側、夏華は奥歯をギリリと噛み締める。


「外側へ戦力を回しますか!?」


「…………」


 ついで夏華が唇を噛む。


 回せば。


 遥と瑠衣を。


 止められる。


 いや。


 何人回せば止められるんだアレ?


 分からない。


 だが。


 少なくとも。


 削られる速度は。


 落とせる。


 しかし。


 そのためには。


 翼を。


 外へ。


 向けなければならない。


 そして。


 外を向けば。


「ふみちゃんー」


「見えてる!」


 中央。


 瀬戸際高校。


 縦列陣。


 その左右。


 今。


 背水乃陣高校の翼が。


 押さえ込んでいる。


 そこへ。


 穴が。


 開く。


「……そういうことですのね」


 夏華が。


 結女を見る。


「あらー?」


「あなた!」


 夏華が。


 びしっ。


 と指差した。


「最初から、遥と瑠衣さんに翼を壊させるつもりで!」


「うんー」


「認めるんですの!?」


「だってー」


 結女が。


 首を傾げる。


「そのために外へ出したものー」


「くっ……!」


「夏華ちゃんがー」


 結女。


 にこっ。


「中を挟みたかったらー」


 右手人差し指を空に向けたまま頬に当てる。


「お外が空くしー」


 両手万歳、左右に広げて下ろしてくる。


「お外を守りたかったらー」


 両手の人差し指を胸の辺りでくるくる回す。


 ぱっ。


 はい、プレゼント、とでも言いそうな笑顔で両手を前に出す。


「中が空くのよー」


 あざとい。


 悪魔。


 黒姫。


 強い。


「…………」


 夏華の頬が。


 引きつった。


「選べと?」


「違うわよー」


「では何ですの!?」


「どっちでもー」


 にこっ。


「いいのー」


「…………っ!」


 郁佳が小さく笑った。


「二択じゃない」


「ふみちゃん?」


「どっちを選んでも、正解に誘導される」


「そういうことー」


「まるっとマジシャンズ・チョイス、ね」


 コインなどを使ったマジックでお馴染みの選択誘導。

どれを選んでも、結局は最初から決められた答えへ辿り着く。


「部長!!」


 背水乃陣高校。


 右翼。


「また二騎!」


「左翼もです!」


「このままでは本当に翼がなくなります!」


「だから禿げるって言ったんです!」


「翼は禿げませんわ!!」


 夏華が。


 怒鳴る。


 だが。


 その直後。


 右翼。


 遥。


「もらったぁ!!」


 ズバンッ!!


『背水乃陣高校、一騎リタイア!!』


 左翼。


 瑠衣。


「狩る」


 スパパンッ!!


『背水乃陣高校、さらに一騎リタイア!!』


 鶴翼展開から既に十騎が沈んだ。


 現在の背水乃陣高校の残騎は二十二騎、損失は四十五パーセントに達する。


「…………」


 夏華。


 沈黙。


 左右。


 二枚の翼。


 少しずつ。


 短く。


 なっていく。


「夏華ちゃーん」


「なんですの!!」


 結女が。


 両手を。


 胸の前へ。


 持ってくる。


 肘を。


 軽く。


 曲げる。


「翼ー」


「…………」


 にこっ。


「だいぶ短くなったわねー」


「言うなぁぁぁぁぁ!!」


「あとちょっとー」


「何がですの!?」


「唐揚げー」


「しませんわよ!!」


 遥が。


 吹き出した。


「ぶふっ! 手羽元じゃんか!」


「はるちゃんー」


「はいな!」


「もげるだけもいでいってー。瑠衣ちゃんもー」


 瑠衣。


「次、行く」


 再び。


 遥ちゃん部隊。


 玉狩部隊。


 左右。


 同時に。


 踏み込む。


 内側では。


 郁佳が。


 盾を。


 前へ出した。


「中央!」


『はい!!』


「まだ押すな!」


『了解!!』


 耐える。


 ただ。


 耐える。


 背水乃陣高校の。


 翼が。


 自分から。


 外を向く。


 その瞬間を。


 待つ。


「…………」


 夏華が。


 全てを。


 理解する。


 外を守れば。


 中央が開く。


 中央を締めれば。


 翼が削られる。


 そして。


 時間が経つほど。


 不利になるのは。


 自分達。


「……ほんっと」


 夏華が。


 小さく。


 笑った。


「嫌な戦い方をしますわね」


「あらー?」


「褒めてませんわよ!」


「残念ー」


「ですが」


 夏華が。


 薙刀を。


 握り直す。


 目は。


 まだ。


 死んでいない。


「まだ!」


 右手を。


 上げた。


「まだ終わっていませんわ!!


 両翼共に全速前進!!


 瀬戸際後方へ!!


 抜けなさい!!」

夏華、思いの外強いですね。


なんかもう、ただの騎馬戦とは思えない熱さになってきました笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。