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騎馬戦記⭐︎ガールズナイツ  作者: mutsu!(=むったん)


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本編再開17 手羽元

本編再開17 手羽元

「大きくまえにーならえー」


『了解!!』


 返事は即座に返る。


 左右へ散っていた瀬戸際高校が。


 一斉に。


 中央へ。


 向きを変える。


「大・急・ぎ・で・、縦列を組んでー」


「大・急・ぎ・、ね。」


 郁佳が。


 ちらり。


 結女を見る。


「そうよー」


 にこっ。


「了解」


 それだけ。


 郁佳も。


 それ以上は聞かない。


「最前衛! 縦島くん、重音先輩、よしお君、元副部長!」


「よっしゃー!」


「了解」


「うぇーい、一応俺も先輩なんだけどなー」


「なんで俺だけ肩書き!?」


 左から。


 縦島。


 和音。


 よしお。


 元副部長。


 四人が中央前方へ。


 一気に集まる。


 横一列。


 その背後へ一人騎馬達が次々と並ぶ。


 細く。


 長く。


 瀬戸際高校が一本の縦列へと姿を変えていく。


「はるちゃーん」


「了解!」


「瑠衣ちゃんー」


「了解」


「五人ずつー」


「分かった!」


「任せて」


 これも説明はいらない。


 遥が直属急襲部隊から五騎。


 瑠衣が玉狩部隊から五騎。


 それぞれ連れ出す。


 遥と五騎。


 合計六騎。


 瑠衣と五騎。


 こちらも合計六騎。


 左右。


 遠く離れていた二つの精鋭部隊が。


 中央、形成されつつある縦列の、その最後尾へ。


 殿の位置へ向かって走り出した。


「…………」


 夏華が。


 目を細める。


「縦列陣。ここは黒姫と言えど、セオリー通り、ですわね」


 夏華が指示を飛ばす。


「でしたら……」


 左右へ大きく翼を広げた。


 背水乃陣高校。


 その中央へ。


 瀬戸際高校が。


 戦力を。


 集めていく。


「中央突破なんて……」


 細く。


 深く。


「させるわけないのですわ!」


「あらー?」


 結女。


 にこにこ。


「どうかしらー?」


「惚けていても、見れば分かりますわ!!」


 夏華が戦場を見る。


 瀬戸際高校。


 収束している。


 だが。


 まだ完成していない。


 縦島。


 和音。


 よしお。


 元副部長。


 前衛は。


 すでに。


 並んだ。


 その後ろへ。


 一人騎馬が。


 続々と。


 集まっている。


 遥も。


 瑠衣も。


 精鋭を引き連れ。


 最後尾へ。


 向かっている。


 全軍。


 中央へ。


 集まろうとしている。


 しかも。


「…………遅い」


 夏華が呟いた。


 結女は確かに言った。


 《《大急ぎで》》。


 なのに。


 縦列の形成が。


 ……遅い。


 走っている。


 全員、急いでいる。


 だが。


 それなのにまだ。


 揃わない。


「焦っていますわね」


 夏華が。


 にやり。


「陣形変更が間に合っていない!」


 夏華は自分達の練度に自信があった。


 おそらく彼らは遅くはない。


 自分達が速すぎるのだ。


 陣形を組み上げる練度に関しては、どの学校も背水乃陣高校には遠く及ばない。


 そう、確信する。


「…………」


 郁佳がその声を聞く。


 そして小さく。


「大急ぎ、ね。」


 もう一度呟いた。


「今ですわ!!」


 夏華が。


 両腕を。


 一気に。


 内側へ。


 振る。


「両翼!!」


『はい!!』


「閉じなさい!!」


『おおおおおっ!!』


 背水乃陣高校。


 鶴翼陣。


 動く。


 左右へ。


 大きく広がっていた。


 二本の翼が。


 前へ。


 そして。


 内へ。


 曲がる。


「来るよ!」


 郁佳。


「うんー」


 結女。


「総員! 防御体勢! 盾を掲げろ! ……今っ!!」


『おおおっ!!!!』


 郁佳が鋭く指示を出す。


 左右挟撃に対して、最前列四騎以外全てが防御に徹した。


 迷いはなし。


 瀬戸際高校。


 縦列形成を続行。


 急がない。


 止まらない。


 ただ。


 予定通り。


 少しずつ。


 少しずつ。


 中央へ。


 集まる。


 右。


 背水乃陣高校。


 一翼。


 左。


 もう一翼。


 その両方が。


 瀬戸際高校の。


 細長い縦列へ。


 迫る。


「おーっほっほっほっほ!!」


 夏華の。


 高笑い。


「そのまま!」


「全軍まとめて!」


「挟み込みますわよ!!」


『はい!!』


 ズバンッ!!


 右翼。


 激突。


 直後。


 ズバンッ!!


 左翼。


 激突。


「っ!」


「耐えろ!!」


 和音。


「中央を崩すな!」


「おう!」


「ウェーイ!!」


「名前を――!」


「後でええやろぉっ!!」


 左右。


 二人騎馬。


 その。


 圧倒的な。


 攻撃力。


 防御力。


 それが。


 瀬戸際高校の。


 縦列へ。


 食い込む。


「右、来る!」


「詰めろ!」


「左も!」


「間を空けるな!」


 内へ。


 内へ。


 背水乃陣高校。


 両翼。


 閉じる。


 細長い。


 瀬戸際高校。


 縦列。


 その。


 両側を。


 二枚の翼が。


 挟み込む。


「おーっほっほっほっほ!!」


 夏華が結女を指差した。


「見覚えがありますわね!!」


「あらー?」


「全国大会一回戦!」


 翼がさらに閉じる。


「厨二岳高校を!」


 右。


「挟んで!」


 左。


「潰した!」


 ズバンッ!!


「うわっ!?」


 一騎。


 瀬戸際高校。


 外へ。


 弾き飛ばされる。


 ドボン!!


『瀬戸際高校、一騎リタイア!』


「あなた方お得意の!」


 夏華が。


 右の拳を。


 ぱんっ。


 左の掌に合わせた。


「ホットドッグですわ!!」


「うわー」


 遥が。


 後方へ向かいながら。


 苦笑する。


「やり返された」


「因果応報」


 瑠衣。


「今それ言う!?」


「今度は!」


 夏華が翼を。


 さらに。


 閉じていく。


「あなた方が!」


 瀬戸際高校。


 縦列。


 その両側。


 二人騎馬。


 密着。


「魚肉ソーセージですわ!!」


「魚肉なんだ!?」


 遥が叫ぶ。いや、突っ込む。


 だが。


 走る方向は。


 変えない。


 縦列の最後尾。


 そこへ。


 遥。


 六騎。


 瑠衣。


 六騎。


 両方。


 迫る。


「牛島遥、残り十五メートル!」


「玉狩姫も!」


「すり潰してあげますわ!」


 夏華が笑う。


「そのまま!」


 十。


「全員!」


 八。


「翼の!」


 五。


「中へ――!」


「はるちゃんー」


「はいよ!」


「瑠衣ちゃんー」


「承知」


 結女。


 にこっ。


「反転ー」


「了解!!」


「有意」


 キュッ!!


 即座に遥と電光石火部隊の全六騎。


 瑠衣と玉狩部隊、全六騎。


 十二騎。


 同時に。


 百八十度。


 反転。


「…………」


 夏華。


「は?」


 縦列へ。


 入る。


 寸前。


 二つの精鋭部隊が真逆へ走った。


 外。


 閉じた。


 背水乃陣高校。


 鶴翼の翼の、そのさらに外側へ。


「なっ――!?」


 夏華が。


 目を見開く。


「何をしていますの!?」


 遥。


 加速。


「見たままよ!」


 瑠衣。


「反転」


「それは見れば分かりますわ!!」


 夏華が。


 結女を見る。


「合流するのではありませんの!?」


「あらー?」


 結女が。


 首を。


 傾げる。


「合流するってー」


 にこっ。


「言ったかしらー?」


「《《大急ぎで》》縦列を組めと言いましたでしょうが!!」


「うんー」


「どこが大急ぎでしたのよ!!」


「あらー?」


 結女。


 楽しそうに。


「大急ぎに見えたー?」


「…………っ!!」


「だから」


 郁佳が。


 小さく。


 笑う。


「大急ぎ、ね。」


「…………」


 夏華が戦場を見る。


 中央。


 瀬戸際高校。


 縦列。


 その。


 右。


 背水乃陣高校。


 一翼。


 左。


 もう一翼。


 確かに。


 挟んだ。


 瀬戸際高校を。


 完全に挟んだ。


 だが、そのさらに外側。


 遥と精鋭部隊の全六騎。


 もう一方。


 瑠衣と玉狩精鋭五騎。


 合計六騎。


「…………」


 夏華の頬がひくっ、と動く。


「ちょっと」


「なあにー?」


 結女さんはにっこりだった。


「これ」


 中央。


 瀬戸際。


 その外。


 背水乃陣。


 その。


 さらに外。


 瀬戸際。


「私達の翼まで」


「うんー」


「挟まれてますわね!?」


「そうねー」


「そうねー、ではありませんわ!!」


「はるちゃんー」


『おっけー!』


「瑠衣ちゃんー」


『位置取り完了』


 結女が。


 両腕を。


 大きく広げる。


 そして。


 何かを抱き締めるように。


 ゆっくり。


 閉じた。


「お外からー」


 にこっ。


「抱きついてー」


 その目に冷ややかな光が一瞬、瞬いた。


「翼をー」


「…………」


「もいじゃってー」


『了解!!』


『有意』


 遥。


 六騎。


 一気に。


 加速。


 瑠衣。


 六騎。


 同時に。


 踏み込む。


 瀬戸際高校を。


 左右から。


 挟み込んだ。


 背水乃陣高校。


 二枚の翼。


 その。


 さらに外側。


 一気に二つの精鋭部隊が。


 食らいついた。

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