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騎馬戦記⭐︎ガールズナイツ  作者: mutsu!(=むったん)


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108/115

本編再開16 メビウスは裏返る。

「楔形陣――解除!!」


「おー!!」


 号令。


 その瞬間。


 前へ。


 前へ。


 ひたすら。


 流れ続けていた。


 巨大な楔がその形を崩壊させる。


「全騎、減速!!」


「はい!」


「中央へ寄りなさい!」


「右後方!」


「左後方も来ます!」


「分かっていますわ!」


 夏華が戦場を見渡す。


 一周。


 状況を俯瞰する。


 十二時。


 遥。


 十時。


 瑠衣と玉狩部隊。


 四時。


 和音。


 よしお。


 郁佳。


 その後方に。


 結女。


 八時。


 縦島。


 元副部長。


 前後左右。


 瀬戸際高校。


 ならば——


「全周防御!!」


 夏華が。


 右手を。


 大きく回した。


「方円陣!!」


「了解!!」


「方円!?」


 郁佳が目を見開く。


 背水乃陣高校全騎が高速で動く。


 前列が。


 左右へ。


 後列が。


 中央へ。


 互いにぶつからず、絡まない。


 走りながらその位置を入れ替える。


「速っ!」


 遥が思わず声を上げた。


「これ走りながら組むの!?」


「練度がおかしい」


 瑠衣。


「バグってるわよ!」


 背水乃陣高校が縮む。


 広がっていた楔の先端。


 中腹。


 後方。


 それら全てが一ヶ所へ。


 集まる。


 丸く。


 丸く。


 夏華を中心に。


 囲っていく。


「外周!」


「盾と薙刀、前!」


「はい!」


「内側の騎馬は外周を援護!」


「はい!」


 四時。


 和音。


 よしお。


「食らいつけ!」


「ウェーイ!!」


 四騎が倒され、残った二十騎が一気に。


 迫る。


 だが。


 先ほどまで背中だった場所が。


 今は正面。


「来ます!」


「受けなさい!!」


 ズバンッ!!


「っ!」


 盾。


 薙刀。


 槍。


 背水乃陣高校外周の騎馬が。


 和音達を。


 正面から。


 受け止める。


「硬っ!」


「さっきまでと違うぞ!」


 八時の方角。


 縦島。


 元副部長。


 残四十九騎が共に喰らいつく。


「押せ押せー!」


「今こそ俺の名前を――!」


 ガンッ!


「うおっ!?」


 だが。


 止められる。


「守り固っ!」


「当たり前ですわ!」


 夏華が。


 方円陣。


 その中央から。


 叫ぶ。


「後ろがあるから弱い!」


「なら!」


 くるり。


 その場で。


 一回転。


「全部、前にして差し上げますわ!!」


「……なるほど」


 郁佳が目を細めた。


「騎馬による全周防御。火力に劣る一人騎馬を相手にこれ以上の防御策はない」


 瀬戸際高校も無傷ではない。既に七騎が沈んでいる。


 一人騎馬と二人騎馬。攻守のステータス値で攻撃判定に七倍、防御判定に五倍の数値差がある。


 現時点での損耗数は。


 背水乃陣高校五騎、瀬戸際高校七騎。


 騎数差は35対113である。


 しかし、攻撃のステータス値で見るなら、依然として、およそ245対113。


 防御力・耐久力においても175対113の戦力比がある。


 もちろん数の暴力という点で、一人騎馬に大きなアドバンテージがある以上、完全な戦力比とは言えないが、それでもまだ瀬戸際有利とは言えない。


「うんー」


 結女が。


 にこにこ。


「上手ねー」


「結女、ものすごく楽しそうじゃない」


 遥がインカム越しに笑う。


「そうねー。学校対抗の敵はイロモノばかりだったからー、シンプルに強い敵って、燃えちゃうわねー」


 結女のハイスペゲーム脳がワクワクしていた。


 遠く。


 十二時方向から戻った遥が、にやりと笑う。


「食べ放題は終わりみたいね」


 瑠衣が返す。


「閉店」


「もう少し開けてくれていても良かったんだけどね」


 十時。


 玉狩部隊。


 接近。


「狩る」


「左外周!」


「はい!」


 瑠衣の指示で玉狩部隊の三騎が、同時に踏み込む。


 スパンッ!


「くっ!」


 受ける。


 もう一撃。


 スパンッ!


 盾。


 防ぐ。


「…………」


 瑠衣が思案顔をする。


「硬い」


「でしょうね!」


 夏華が。


 胸を張る。


「いつまでも好き放題させると思わないことですわ!」


「でも六枚」


「今それ関係ありますのぉぉぉ!?」


 夏華の胸パッドが何枚かは知らない。


 いや、本当にどうでも良かったりする。


 そんな中。


 郁佳が方円陣を見つめる。


「……でも」


「なあにー?」


「これ、守れるけど」


 郁佳の視線が。


 円。


 その中央。


 夏華へ。


「動けないよね?」


「そうねー」


 結女が返す。


「瀬戸際が周りを固めたら、このまま包囲できる?」


「無理なんじゃないかしらー」


「どういうこと?」


「おそらく二時の方向ー」


「二時の方向?」


 方円陣。


 その中央。


 夏華が。


 動いていた。


「なるほど。何かするみたいだね」


「…………」


 結女が。


 にこっ。


「一番薄いものー」


 夏華が。


 右手を。


 斜め前へ。


 上げた。


「二時方向!!」


「!」


 郁佳。


「外周!」


 夏華が。


 叫ぶ。


「開きなさい!!」


「はい!!」


 方円陣。


 その。


 一ヶ所。


 二時方向。


 騎馬が。


 左右へ。


 割れた。


 円に。


 穴が。


 開く。


「結女! 来たよ!」


 郁佳が身構える。


「見えてるわよー」


 結女が夏華を見る。


「うまく穴を開けたわねー」


 方円。


 その。


 開いた一端。


「先頭四騎!!」


「はい!」


「外へ!!」


「了解!!」


 四騎。


 飛び出す。


「二時!」


 郁佳が叫ぶ。


「塞いで!」


「行くぞ!」


 瀬戸際の一人騎馬。


 数騎が。


 出口へ。


 殺到。


「道を空けなさい!!」


 夏華。


「はい!!」


 背水乃陣高校。


 先頭。


 二人騎馬。


 四騎。


 突撃。


 真正面。


 ぶつかる。


 ズバンッ!!


「うわっ!」


 一人騎馬が弾かれる。


「抜けた!」


「後続!!」


 夏華が。


 間髪入れず。


「続きなさい!!」


「はい!!」


 さらに。


 四騎。


 その後ろ。


 また。


 四騎。


 円から。


 外へ。


 外へ。


 流れ出す。


「……あ」


 遥が走りながら全体を見る。


「これ」


 円。


 ではない。


 出口。


 そこから。


 部隊が。


 外へ伸びる。


 上空から見れば。


 まるで。


「Ω」


 瑠衣が。


 呟いた。


「おめが?」


「形」


「ああ!」


 方円陣。


 その一端が。


 切れ。


 そこから。


 背水乃陣高校の騎馬が。


 一本の。


 帯のように。


 外へ。


 はみ出していく。


「止めるな、後ろから追撃するんや!」


 縦島が出口へ向かう騎馬へ追撃の指示を出す。


 二騎、落とした。


「くっ!」


 夏華が苦虫を噛むように縦島を睨む。


「!」


「外へ出た部隊!」


 夏華が右腕を大きく振った。


「そのまま外周を回りなさい!!」


「はい!!」


 瀬戸際高校の。


 さらに。


 外側。


 そこへ。


 背水乃陣高校。


 先頭部隊が回り込む。


「外!?」


 郁佳が。


 目を見開く。


「僕たちの外に出るつもりだ!」


「正解ですわ!!」


 夏華。


「囲んだつもりでしたわね!」


 さらに。


 騎馬が。


 方円から。


 流れ出る。


「ですが!」


 外。


 外へ。


「包囲など!」


 一端。


 また一端。


「その外へ出れば!」


 続々と。


「ただの内側ですわ!!」


「…………」


 郁佳が思わず。


 笑った。


「上手いなあ……」


「ふみちゃんー」


「なに?」


「楽しそうねー」


「結女もでしょ!」


「うふふー」


 だが。


 瀬戸際高校も。


 ただ見ているわけではない。


「出口を叩け!」


 和音。


「出てくるところを横から狙え!」


「おう!」


 四時側。


 一人騎馬が出口へ。


 迫る。


 八時側縦島達も。


 回る。


「来ます!」


「構わない!」


 夏華が。


 叫ぶ。


「多少の犠牲は許容します!」


「はい!!」


 一騎。


 出口。


 攻撃を受ける。


 ドボン!!


『背水乃陣高校、一騎リタイア!』


「部長!」


「止まらない!」


 さらに。


 一騎。


「外へ!!」


「はい!」


 スパンッ!


 攻撃。


 受ける。


 だが。


 抜ける。


「出口を閉じるな!」


 夏華。


「流し続けなさい!!」


 方円陣。


 縮む。


 外へ伸びた。


 帯が。


 長くなる。


「……守るためじゃない」


 郁佳が。


 気づいた。


「方円陣は」


「うんー」


「時間を作るため……!」


「そうねー」


 結女が夏華を見る。


「一回止めてからー」


「…………」


「形を作り直したのねー」


「……やっぱ強いね」


 遥が少し嬉しそう。


「あらー?」


「今それやめて!」


 最後尾。


 方円陣に残っていた騎馬。


 その数も減っていく。


 そして。


「総大将部隊!!」


 夏華自身。


「外へ出ますわ!!」


「はい!!」


 護衛。


 三騎。


 夏華。


 出口へ。


 一気に。


 駆ける。


「夏華が出る!」


 遥。


「狙う!?」


「まだー」


 結女。


「え?」


「まだよー」


 夏華が外へ。


 抜ける。


 そして。


 最後。


 殿。


「方円陣――」


 一騎。


 二騎。


「解除!!」


 全騎外へ。


 出た。


 円。


 消滅。


「よし!」


 夏華が。


 戦場を見る。


 瀬戸際高校。


 内。


 背水乃陣高校。


 外。


 さっきまでとは。


 逆。


「ここからですわ!!」


 右手。


 横へ。


「先行部隊、左右へ展開!」


「はい!」


 左手。


 反対へ。


「後続、続けて!!」


「はい!!」


 外へ出た。


 二人騎馬。


 それが。


 今度は。


 左右へ。


 走り始める。


「……まさか」


 郁佳。


 その形を。


 知っている。


 中央。


 夏華。


 左右に大きく開いていく。


 二本の翼。


「鶴翼……」


「配置っ!!」


 夏華が叫び、両腕を広げた。


 左右へ。


 大きく翼を広げた。


「全騎――鶴翼陣!!」


「はい!!」


 背水乃陣高校。


 展開。


 右。


 左。


 中央。


 瀬戸際高校を。


 外側から。


 覆う。


 翼。


 巨大な。


 鶴翼。


「…………」


 遥が。


 呆気に取られる。


「楔から」


 郁佳。


「方円」


 瑠衣。


「Ω」


「それ陣形名じゃないからね?」


「そして」


 和音が目を細めた。


「鶴翼か」


「おーっほっほっほっほ!!」


 夏華の高笑いが戻る。


「さあ!!」


 鶴翼中央。


 夏華が。


 結女を。


 指差す。


「後ろから削るのでしたら!」


 翼が羽ばたいた。


「後ろそのものを!」


 左右。


 瀬戸際高校の。


 外へ。


「なくして差し上げますわ!!」


「…………」


 結女が。


 鶴翼を見る。


 右。


 左。


 大きく。


 大きく。


 広がった。


 背水乃陣高校。


「うふふー」


「……結女?」


 郁佳が。


 嫌な予感。


「何?」


「ううんー」


 結女が。


 にっこり。


「広がったなー、ってー」


「…………」


「…………」


 郁佳が。


 鶴翼を見る。


 左右。


 広い。


 その分。


 中央。


「……あ」


「あらー?」


 結女が。


 インカムへ。


 指を当てる。


「みんなー」


『はい!』


「今度はー」


 左右へ。


 散っていた。


 瀬戸際高校。


 その全員へ。


「大きくまえにーならえー」

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