33限目
目玉一つが高性能とは一体どういうことなのか。なんか適当なこと言ってないか? 俺はそう思ったんだが、先輩の反応は意外と良い。
「お目が……高い」
「お、わかるのか? マキシアは魔眼持ちなんだ」
「魔眼っすか」
魔眼、魔眼て言うとあれか。特殊な力がある眼。ぶっちゃけオットーとモディエフの強み弱みを見抜く眼も魔眼といえば魔眼になるかな。
ん?
「いや、なんでわかるんだよ? 相手の強みを見抜くのはオットー の方の特技だろ」
「おう。でもなんとなくある程度わかるんだよ。同類は」
「なんだお前も魔眼持ちなのか?」
「同類……?」
「っても見抜くだけの弱い魔眼だけどな」
「ほう」
「仲間……」
窓の隙間から抜けてくる声は相変わらず小さい。けど、なんか喜色があるか。そういえば魔眼持ちって珍しいんだっけ? 俺知り合いに三人もいるから全然珍しい気がしないんだけど、俺以外はみんなすごい珍しいものを見てるって感じで喋ってる。
「まあ、妹と二人揃って一人前みたいなもんだけな、この眼は」
「どんな効果なんだ?」
「それはまあ、班 を組まない奴には言えないなぁ? そうだろマキシア先輩よ」
「……そう?」
「おれ、マキシアの知ってるんだけど。麻痺と金縛りと恐怖だろ?」
「右眼ね……左は催眠……」
……。
「化け物じゃないっすか」
「……まあね」
得意げっすね先輩。俺思わず暴言吐いちまったのに。
いや、でもやばいだろそれは。麻痺と金縛りと恐怖、それぞれ肉体的魔法的精神的な抵抗力を連続で試されるってことだ。数秒目があっただけで力つきる人間も居るんじゃないか? それに耐えて疲弊したところにもう片方から飛んできた催眠で良いようにされる、と。
っていうかこれ話にのぼると結構学内で過ごしにくいんんじゃないか? みんな目を合わせたがらないだろう。もちろんそういうのはみんなちゃんと制御できてるもんで、本人のその気がなければ合わせてもなんてもないものだけど、心情的にね。
実際オットーとモディエフが魔眼持ちだって噂が流れた途端、廊下で人波が割れるようになったぞ。
まああっちこっちから班 への誘い もガンガンきたけど、そういうのは二人が魔眼を精一杯活用して心を折りに行ってた。
「先輩すごいっすね、学校で鍛えたんですか?」
「……金縛りと……催眠以外は」
「うーん、先公にでも相談すっかな」
お前の魔眼伸びしろあるの?
「……石化目指して……頑張れ」
何すかその応援。もしかして先輩まだ伸ばしてるんですか? この上石化まで行ったら無敵ですね。惜しむらくはかけらも燻製作成に関わりなさそうなところなんだけど。
っていうか、腹減ったんですけど。
「なあ、流れ的にもう言って良いんじゃないか? その……なにちゃんだっけ?」
「こいつの名前はモディエフですよベスティカ先輩」
「そう、モディエフちゃん、君の魔眼が気になるんだよ」
「んー……面倒だなぁ」
「もうそこは実体験してもらえばよくね? 俺、この先輩方のことちょっと気になるよ」
その前に腹充したいんだけど。
「おう、じゃあなんかよくわかんないけど少し腰据えて話すか。燻製肉でも食いながら」
「……そういえばそんな話だった。今持ってくる」
「よろしくな」
すっと窓の間から目が消える。改めてかなり怖いんだけど。
「っていうか食中毒になったら話せなくなりません?」
「あ」
いつも読んでくださってありがとうございます。




