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14限目

時間ギリギリっす。量も少ないです。すいません。

読んでくださってありがとうございます。

 冒険者学校、というと世間の人間はどんな印象だろうか。

 世間一般はどうだか知らないけどここに来る前の俺の印象は……そうだな、学校自体が巨大な迷宮だったり、教師がドラゴンだったり、ドワーフとエルフが校庭で斧と魔法の決闘してたり。いや、別にエルフとドワーフに喧嘩してて欲しかったわけじゃないけど、何となく。

 実家から逃げるのが目的で来た場所ではあるけれど、当然それなりの夢を見て目指した新天地でもあった。


 では実態はどうか?


 門をくぐろうとすれば乞食を見るような目で見られるし、校舎とか寮とか、使う建物は確かに巨大だけど別に迷宮になってるわけでもない。

 エルフもドワーフもハーフリングも居たけど、微妙によそよそしくて、決闘どころか喧嘩もしてなさそうだ。

 子供のころ一度だけ行った街にある、普通の学校よりちょっと大きいくらいの、普通の学校でしかなかった。

 ……というかそう見えた。

 世の中には事実と真実の平行線というものあるそうなので、詳細は置いておくとして。一面として俺の夢が叶った部分もないことはない。

 学内に迷宮はある。それが試験競技場トライアルダンジョンだ。

 正確には迷宮ダンジョン闘技場コロッセオの複合施設なのだけど、迷宮の印象のほうが圧倒的に強い。


 なぜなら、人生で初めての冒険がこれだからだ。


 入学して半年、ひたすら座学と基礎体力訓練に明け暮れ、いい加減飽きたなー……などと不謹慎な、率直に言って舐めたことを考え始めた頃に、教室の床が抜けて文字通り放り込まれるのだ。

 正直に言って死ぬほど怖かった。

 恐慌状態に陥ったユーティエ他数名の同級生を宥めようと、咄嗟に出た言葉が『落ち着け! こんなところで我を失ったら喰われるぞ!』だったか。言っておいて自分でその言葉に恐怖した。

 恐怖ついでに失神しそうにもなったけど、恐怖が行き過ぎて逆に耐えられたのは情けなかったのか良かったのか。

 迷宮を抜け出した時へたり込んでしまってほとんどの奴には馬鹿にされたけど、彼女はそれ以来俺を割と全面的に信頼してくれてる気配がある。たまたま同じ日に入学したことでそれなりに仲は良かったけど、それ以上に。おかげさまでついつい虚勢を張ってしまうこともしょっちゅうだ。


『なんかのろけみたいだな、それ』

(違う……とも言い切れないかな。惚れてるとは言わないけど)

『そ・れ・で・?』

(ああ、まあそれで、今いるのがその試験競技場の迷宮だ)

『迷宮でゆっくり話なんかできるのか? お前完全物理耐性って言っても痛いもんは痛いんだろ?』

(安心しろ、この迷宮、害獣モンスターの類は出ないから)

『えー……?』

(罠だって見た目は相当だけど絶対怪我はしない……とまでは言い切れないけどよっぽどあたりどころ悪くなきゃ目が潰れたり動けなくなったりしない安心設計!)

『うええええぇー……?』


 うん、気持ちはわかる。

 だから俺も迷宮を抜け出た時に膝から崩れ落ちた。ずっと全力で気を張ってたのに、いざ抜ければそんな心配はなかったと言われてしまったのだから。

 同級生達はそれを見て途中でそんなことに気付けなかったのかと言って俺を馬鹿にしたけど、最後まで先導してたの俺なんだからな!


(あ、いまちょっと鬱になりかけた)

『お前、もうちょっとテンションあげてったほうが生きやすいぞ』

(意味はわかんないけど、機微はつかめるな。よく言われる。要するにあれだろ? 男は度胸ってことだろ)

『ちょっと違う』


 まあよくわからないけど、怯えて生きるのが楽しくないとかそんなことだろ。


「まあどうでも……おっと」


(まあどうでもいいさ)

『うん、まあ大事な話じゃないな』

(そうそう、大事なのはここならそうそう人に聞かれる心配はないってことだ)

『そうなのか?』

(正確に言えばここはその時入った迷宮じゃなくて、個人用の別の迷宮なんだ)

『他に人が入ってこないってことか?』

(そういうわけじゃないけど、まあ聞かれる心配はないし誰かに会うこともないよ)

『ふーん? えっと、それで何の話だっけか』

「ああ、確認したいことがあるんだ」

『声』

「あ……あー、めんどいな。喋らないって意外に疲れるんだな」

『そんなもんか?』

「お前はそもそも声でないもんな」


 いかん、脱線してる。


(ええい、とりあえず話戻すぞ)

『おう』

(お前何なんだ?)


 あ、なんか違うんだけど、何言えばいいんだろう?


(っていうか、校長先生の言ってることも正直よくわかんないんだよな。勇者とかなんとか)

『んー……まあ、あいつが何考えてんのかは知らないけど、お前が勇者になり得る素質があるのは確かだな』

(知らないのか?)

『オレは普段あの部屋に放置されてるからな。そもそも歴代の持ち手が知ってること以上のことは知らないし、ここ200年弱のうち外にいたのはほんの五、六年だろう』

(退屈そうだな)

『道具だからな。そういうのは気にならん。ただ、分解されたのは結構屈辱的でなー』

(分解された?)

『六つのパーツに……って言ったら想像できるか?』

(パーツの意味はわかんないけど、六つのってんで何となく意味はわかったよ)


 それはあれか。他の候補に勝ってそれを集めろってことか。

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