表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スルースキルが最強で。  作者: ふぁくとりー
1 巻き込まれたので。
38/43

35 勘違いしているようです。

透「………(駄虎が)」

シェル「今なんか言った?」


首都まで出ると、活気のある呼び込みが僕の体を包んだ。

コロコロ移動するからだろうか?建物の作りもかなり簡略化されている。江戸の長屋を思わせるが、どこか異国情緒のあふれる街並み。


レイ曰く、ここはまだ下町であり、その言葉通り本街に入ると、塗り込められた白壁が目に入る。この白壁の材料は、グレーホワイトキャタピラという種の吐く粘液を乾燥させたものなんだとか。中は同じような木造簡易建築だという。


その芋虫の体色がグレー、吐く粘液が白いのでそんな名前らしいが、もうちょっと考えて名前をつけてほしい。しかも聞くところによれば、ホワイトイエローキャタピラなんて変異種もいるらしいんだから…。


白い街並みが目に眩しいが、さらに眩しいのはそこを歩く人々の耳尻尾…。

きてよかったです。


ここで、首都の街商人の呼び込みが僕の耳に入る。普通のところよりも声が小さめだ。耳の良いウサギの獣人などへの配慮だろう。


「安いよ安いよ!さぁ、よってらっしゃい!」

「今日のティポトはお買い得!今ならメメトゥーは半額!」


「待て透どこへ行く気だ」

「止めないでくださいレイさん。半額のメメトゥーが僕を呼んでいます」

「半額っつっても自分で取りに行った方がタダになるって忘れてやしねぇかお前⁉︎」


「おっと…つい『半額&〜割引』反応症候群が」

「んな病気はねぇよ⁉︎」

「ルリエはわかってくれるはずです」

「どうなんだ⁉︎」

「話聞いてなかったんだけど⁉︎なんで二人とも鼻息荒く私に迫ってくるわけ⁉︎」


『どっちなんだ(です)⁉︎』

「う、うーん…と、透かしら…」


無表情でガッツポーズを決める僕と、地面に崩れ落ちorzを体現するレイが後に残った。

「…まぁ、それはそれとして。シェル…だっけ?あんた」

「ん?うん。まおーさまはそこの悪趣味緑と何やってるわけ?」


悪趣味緑だぁ…?


僕の唇が自然と笑みを象り、ルリエが不穏な気配を感じ取ったのか目を逸らして口笛を吹き始めた。どうでもいいけど頭の後ろで手を組むところまで再現されるとイラっとくるのだが。


「お、怒るな透‼︎」

「レイさん。僕はこのトラさんとは永久に分かり合えないと思います」

さっきちょっとだけ手に尻尾が当たったんだけれど、手触りが最悪だった。

キューティクルの欠片もない。

レイは必死に止めるが、僕の怒りは収まらない。


「なによー。悪趣味じゃない」

「ハハッ、神龍の色を侮辱しようとはいい度胸ですねぇ」

ちなみにお祖父様と僕の髪色の感じは似ている。母は銀色が混じり込む、と言ったほうが正しいだろうか。僕とお祖父様は、反射の中に金やら赤やら、まったく別系統の色が混じり合うのだ。


「はぁ?だいたいあんた何者なわけ?」

「神国中央関係者ですが?そういうあなたはどうせ大した地位じゃないでしょう?耳尻尾の手入れがおろそかな虎さんですし?」

「これでも国境警備隊なんですけど。ってかあたしだって別に好きで毛の硬いトラなんじゃないけど?」

「ははっ、御髪の手入れもまともにできないくせして別の耳尻尾に憧れるなんて、使えない虎ですねぇ」

「な…なんですって⁉︎」

彼女の尻尾がきゅうっと立つ。僕は腕を組み直した。今はサラシを巻いているままだから、邪魔にはならない。


「自分も磨けぬ奴が粋がるなと言っているんですよ、駄虎が」

「あ゛ぁ⁉︎そっちこそ粋がってんじゃねぇぞコガネムシ風情がぁ‼︎」

「龍なんですけど。あぁ頭に加え目も悪いんでしょうか?ごめんなさい気がつきませんでした」


ばちばち。

僕は腰の斬に手をかけ、駄虎一匹をなんとかしてしまおうとする。相手も負けじと、ナイフを抜き放った。

が、僕はすっと頭の芯を冷やす。


「…はぁ…やめやめ」

「は……?」

「コガネムシではなく龍です。覚えられたらでいいんで、覚えて下さい」

「え、何。何なのいきなり」

「僕はこの国に別に殺し合いしにきたわけじゃないんですよね。あー、ダンジョン潜らないと」

「れ、レイ…どゆこと?」


「こいつら俺ん家に泊めるから、今お前と争っても得策じゃねぇってこったな」

「う、うがー⁉︎この男レイんちに泊まるの⁉︎」

「そのつもりだったので、あなたと無駄な喧嘩をしているつもりはないですねぇ。あ、あなたのことはもちろん嫌いですよ?」

「それ言わなくていいじゃん!なんでそういうこというの⁉︎私も大っ嫌いなんだからっ‼︎」

「あはははは」

「無表情で笑わないで‼︎んもー!」


…さてと、今思い返せばこの子僕のことを男と言ったか?

まぁ今そんな爆弾をぶっこまずともいずれバレることだろうしどうでもいいか。


透「なーんかこう見てるとイラっときてプチっとやっちゃいたくなるんですよね。蚊のようです」

ルリエ「蚊って何?」

透「虫ですね。羽があって、」

ルリエ「うんうん」

透「刺すんです」

ルリエ「⁉︎」

透「奴ら血を吸うんですよ」

ルリエ「向こうの世界ってそんな恐ろしい虫がいるの⁉︎」

透「は……?」


ルリエは魔族領にいる、二メートルくらいの黒い羽で飛行しつつ牙をぶっ刺し相手を殺す虫、デスモスラを思い浮かべています(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ