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スルースキルが最強で。  作者: ふぁくとりー
1 巻き込まれたので。
36/43

33 意外なようです。

ドラゴンでるよ!


「国境ってまだなんですかねぇ」

「そりゃ徒歩だもの。無理よ」

「あ、じゃあ走れば少しは楽になりますかね?」


僕はその場で走れる地面かを確認した。


うん、問題ない。石なんかも割と平気で走れる。


「少し走っていきましょう」

ルリエがちろりとこちらを伺う。


「全力で?」

「僕に合わせてください」

ルリエの首がガクッとうなだれた。


とはいえ、僕の基礎体力プラスステータスで、かなりのスピードが実現されている。

少なくとも馬車より早い。

ルリエが全力を出したいのもわかるけれども、ウヘルモノと僕との対決は、神格を賭けたもの同士だからスキルという概念が有効に使えるというわけで。

そういえば、ウヘルモノの体って、あの勇者①なんだっけ。名前…黒岩だっけ?


勇者①も、浮かばれないことだろう。体を何せ乗っ取られて——。


……んん?


はたと足が止まる。

レイは気づいてすぐに止まったが、ルリエは止まらなかった。

車は急には止まれない。

ルリエも急には止まれない。


そんな馬鹿なことを考えながらも、今さっき引っかかった点を洗いなおしていく。

ウヘルモノに対抗するため、僕は本物の神格をお祖父様から借りた。

ウヘルモノは現在、スキル上位互換の神格を持っている。

ウヘルモノは現在、体を勇者①から乗っ取っている。


…諸々の点から推察した僕の結論は、最悪だった。


「ルリエ、今すぐ、指名手配を止めてください。ウヘルモノの体が未だに勇者①なら、ウヘルモノのスペックは上がっちゃいますよ」

「……‼︎そういうことね、すぐに手配させるわ」


「決戦に向けて人を集めるのは必要だけど、絶対挑ませちゃいけない…ってことか」

レイの言葉にこくりと頷く。

あくまであれは憑依されているだけ。勇者の体はステータスが上昇する恐れがあるのだ。


ピィー!とルリエが指笛を吹くと、どこからともなく巨大な影が現れ——目の前に降り立った。


「「ドラゴン…」」

『如何様か、主よ』


……参考までに言おう。ドラゴンとは炎のような赤や、大地の茶、海の青、光の銀、夜の漆黒、そんな色で構成されるべきであると僕は思っている。

そして、僕たちのドラグニルとは一線を画した壮麗さが見える、群れを作らない何者にも従わない孤高の種族であるとあのお祖父様が仰っていたのだ。


はっきり言おう。

ドラゴンの鱗の色が、ショッキングピンクだった。鱗一枚一枚が、目に優しくない。


「うふ、いい子ね。よーしよしよし」


そう決して、ルリエが愛玩動物にやるように、撫でまくるものではない。

「今日も可愛い鱗ねぇ、イービル」

『ふ、ふん!それで用件はなんだ!』


ドラゴンのツンデレって、需要はあるのかな。


「国にこの書状を持ってってちょうだい。あと、ドラグニルの樹にも。ロアスにも持っていってほしいけど、最優先はドラグニルね」

『確かに。本国までとなれば、ロアスとは逆の地理となるだろうしな、往復をすればドラグニルの使者がロアスに行く方がより早かろう』


ルリエの書状を前足で持つと、彼…彼女?は飛んで行った。



「イービルは私が卵で拾って育てたのよ」

「なるほど、刷込みってすごいですね」

「ちなみにママ呼ばわりさせようとした部下は、牢獄に2ヶ月水だけで放り込んでやったわ」


ちなみにこの世界で、魔族は6ヶ月ほどならご飯を食べずとも省エネモードになれば余裕で耐えられるらしい。


「あ、それでね。イービルはもともと(シキ)が拾ってきた卵なのよ。でも、ドラゴンっていうのは、母親を成人と同時に食い殺して巣立つから、ママは避けたかったのよねー」

話がヘビー級で嫌すぎる。走りながらなので、もうちょっと軽やかな話題にしてみたらどうなんだろう。


話題転換だ。

「あ、昨日称号の所に、『真理に気づきし者』って称号が入ってきてました」

「「それ結構大事なんじゃない⁉︎」」


おや、方向性を間違えてしまったみたいだ。僕は何食わぬ顔をして、「国境まだでしょうか?」と言う。


「流すなよ‼︎大事なお話だろうが!」

「そうよ透!あんたの仮説が正しいってことが証明されたのよ⁉︎」

「僕は果たしてもふもふ天国で耐えられるのでしょうか…じゅるり」


「無言でよだれを垂らすな阿呆‼︎」

「こうなったら、レイさんに犠牲になってもらうしか…ごくり」

「生唾を飲み込むなっ!」

と、ルリエがふっとスピードを緩めた。


「何かあったんですか?ルリエ」

「前の方に誰かいるわよ。このスピードで行ったら驚かれるわね」

僕もスピードを落とすと、その人物を目視して——膝を曲げ、矯めた木が弾かれるように彼女に向かって飛び出した。

「「透⁉︎」」


「バステトさーーーーーんっ!」


むにゅっ。

豊満な女性の凶器が、僕を柔らかく包み込む。

僕も大きいようだけれど、この人はその1.732168倍だ。やわわ。


「あら?ドラグニルの知り合いなんていた?」

「僕はまだ忘れてませんよ。バステトさんの柔らかな尻尾の感触、その艶やかな毛並み。まさに古代エジプトの豊穣の神、安産の神だけあって良い|モノ(尻尾)持ってますよね!」

「ふにゃっ⁉︎」


バステトさんの尻尾を手でくしけずり、耳の根元を強く揉んでは先の方をそうっと撫でる。エロい事は断じてしていない。

百合でもない。


「ふにゃっ…あひゅう、そんなのっ…ぁ、んんっ!」

「ふふふふ、バステトさん相変わらず良い感度ですね」

「やっ、…へん、たい…バカッ、ぁぅ…透」

「ようやく思い出してくれましたか?…何やってるんですか、レイさん」


「伯母さんが、神様…だと?」


なんとなく、家族会議が起こるような気がした。

透「じゃーん、久しぶりの登場です。ゲストはこの方——バステトさん」

バステト「こんにちは、レイの伯母よ!エジプトの女神なのよ!ふふん!」

そういえばこの世界って神様の話題出してるけど、批判食らったりしないの?

透「良い質問ですねぇ。えーと、この話は作者の個人的見解と、入れたい要素を詰め込めるだけ詰め込んだ作品なので、ぶっちゃけ作者は信仰なんてものを真面目にまともに考慮して書いてないのが現状です」

うんうん。

透「なので、神と出てきたら、それはラッララレレルパッパラな頭の作者が適当に作った、いろんな種族の上位種と考えたり」

ん?

バステト「又は『全部作者(おまえ)のせいだ!』というものもOKよ」

ちょ!作者の扱いひどくぬえ⁉︎

透「バステトさんのスリーサイズの前では、すべての情報操作は無効…即ちその抗議も、無駄無駄無駄無駄ァ‼︎…ハァ、ハァ、…やったか」


次回ッ…国境に…ついたよ…

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