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スルースキルが最強で。  作者: ふぁくとりー
1 巻き込まれたので。
35/43

32 実食のようです。

遅くなったけど…マンドラ餅。

ごま油がなかったので、別の油で代用しておいたが、どうも色が黄色くなっているような気がする。むう、もしかして焼いたりすると性質が変わる食材だったのか?


僕は自分の迂闊さと鑑定の低スペックに舌打ちをしたくなりながらも、それをお皿に入れて出す。


「へぇ、火を通したのね〜」

「ん…さっきのサラダとはまた違う匂いだな」


大根餅の胃袋になっていたのに。

食べたい。なぜか大根餅食べたい。


箸を入れると、まずは味噌をつけずに一口。



「⁉︎」

ーー衝撃が、走った。


この味、まごうことなく栗の味。そして、その歯ごたえは、どっしりとした重みを感じさせる、ほくもっちりだ。甘味を片栗粉のモチモチが包み込み、いい感じである。

大根餅なんか吹っ飛んだ。


味噌に手を伸ばす。味が殺されてしまわないか少し心配だったが、そんなことはなかった。

自己主張の強い味噌とクルミが上手く包み込まれ、優しい甘さになっている。


「美味しいわね…!」

「前火を通した時よりずっと甘い…⁉︎おい透どういうことだ⁉︎」

「んー…旬か…あ、もしかして少し塩気を入れたからでしょうか?」


塩を少量だけ入れると、甘さが引き立つ。それを見越して入れたわけではないけれど、美味しくなったので結果オーライだ。


「塩を入れると…あ、ミロロンの実に塩かけるとちょっと甘くなるやつだな!」

「そうです」


いやミロロンが何かは知らんけどもね。


「…(うずうず)」

「…(そわそわ)」

「ウォー……」

「レイさんがそれやると洒落になりませんよね」

「テメェ…くそう、からかうためか⁉︎」


「いいえ、思わぬ副産物でした」

「ウォーッ……偶然…だと⁉︎」


その後は、その思わぬデザートのもっちり感とレイのフサツヤ尻尾を堪能して終わった。



僕らがこんなにゆっくり旅している理由?

まだ言っていなかったようだな、ふっははは(真顔)。


僕は、地力では神に対抗できるほどだ。しかしそれは、僕の神格を奪いかけた、弱いウヘルモノ。

トカゲとトカゲの戦いでは、首がもげることすらない。


僕はそれでも、向こうにあったオリジナル神具の『斬』を使いようやく体だけ消滅させられたのだから、その程度も知れるだろう。


互いに力を奪い合ったとはいえ、あの時は所詮壊れかけの社と、何の言い伝えも持っていない生まれて十数年の小童が一人戦っただけ。


けれど今は、あれが力を持っている。しかもこちらでもう一つの神格を得て。


御神体がなくとも体を乗っ取って生きながらえることが出来るのは、絶えず強い信仰を受けているから。


今のウヘルモノには、僕の相手は役不足と言ったところだろう。


ーーまぁ要するにレベルが足りないのだ。


そうは言っても、経験値の源魔物さんたちはそう道道ひょいひょい湧いて出てくるものではない。なまじルリエがいるために、下手な魔物も寄ってこない。

フェンリル公国の中央にはダンジョンがあるらしいので、そこに行くまでは先のようにのんびりと魔物と相対しながら行かなければならないのだ。


「透、そう言えばカツラしたまんまなんだな」

「ええ、道々混乱を避けるためにもと思ったんですが…ダメでしょうか?」


「いや、むしろカツラとってるほうが混乱が少ないと思うぞ。お前、よく考えてもみろ、この先行くフェンリル公国は獣人しか住んでねぇんだぞ。人間は奴隷商人が多いから忌避の対象だ。その格好じゃ、拙い」


なるほど、そこまで頭が回らなかったようだ。どうやらまだ少し、焦りが残っていたらしい。


「ご指摘有難うございますレイさん。15モフポイント貯まりました」

「何だそのポイント⁉︎」

「1モフポイントは10秒モフモフされるポイントです」


レイさんが頭を抱える。

「透にそんなことされたら確実に1時間は立てねぇ…⁉︎」

「気持ちよすぎるんですかね、色んな意味で」

「おまっ⁉︎恥じらいとか少しはねぇのかよ⁉︎」


僕は無の中にこっそりドヤ顔を潜ませながら、レイの方を見る。

「ふ、恥じらいなどレイさんの餌にしてしまいました。レイさんが恥ずかしがり屋なのはそのせいです」


「……ちょっと待て。今若干俺を馬鹿にしながら実は本当のこと言ってなかったか?」

「おや……君のようなカンのいいガキは嫌いですよ」

「せ、正解なのかっ⁉︎」


「そんなことあるわけないじゃないですか?僕は生まれた時から恥じらいなど持っていませんでしたよ」

「そっかそりゃ安心…出来るかぁっ‼︎」


「ねぇ、さっきの透がドヤ顔してたってどれのこと?ソーム」

『わかんないの…でも楽しそうなのはわかるの』

ルリエとソームは若干僕への評価が酷い気がする。


こうして夜は、レイの尻尾を1時間ぐらい弄り倒して、腰を砕かせていたのを僕とルリエが生暖かい目で見た。生まれたての子鹿もあそこまでプルプルしないと思う。


ちなみに、僕の首筋の傷跡はあの薬を使う機会がなかったために自然治癒してしまった。治った傷跡は消えないので、致し方ないのかもしれない。

レイ「く、くっそぉ、俺の気もしらねぇで…!」

ルリエ「いや、あんた盛大に告ってたじゃないの」

レイ「はっ⁉︎からかわれてんのか⁉︎」

透「クスクスクス(無表情)」

ソーム『ますたぁが怖いの…』

次回、戦闘と新キャラ…ではなくとうとう本編登場!あの人(?)が!

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