閑話 勇者圭一の驚愕
久々です。
俺は眞月圭一。
あの例のゴブリンの後に、何とか鶏やウサギの解体から始めて、どうにかこうにか肉やら骨やらを断つ感触に慣れて、そして3日後に何とかゴブリンたちを蹴ちらすことが出来た。
「ねぇ、マリアさんたち怒ってないかな?」
「そりゃ怒ってんだろ。俺らだって、状況をわかってないわけじゃなかった。それを無視して、魔法を使えたり剣が使えるってことに胡座をかいてたんだよな」
「…圭一、あんた成長したわね」
「んだと⁉︎何かひでぇよなお前…」
この幼馴染、いい意味で何でも言い合える友であり、悪い意味であけすけだ。
「俺だって好きで成長したわけじゃねぇよ」
そんな言葉を聞いて、はっと胸を突かれたように黙り込む。
「ごめん、ちょっと当たった。今さっきのナシ」
「俺だって、きっとお前の立場だったら当たり散らしてたよ。つか、戦いだって、お前が一番役に立ってるだろ?」
「補助呪文だよ?実際に戦ってるのは圭一じゃない」
俺は首を左右に振った。
「やっぱり、嶺緒の助けがなかったら、俺は数十回死んでたよ」
「……チッ、圭一のクセにこういうことだけカッコつけてさ。まぁいいや」
そう言うと彼女は、俺の頬へ手を伸ばした。
「死なないでね」
「誰が死ぬか馬鹿」
と、嶺緒が首に噛み付いた。
「んなっ⁉︎」
「ん、ちゅ……っぷはぁ」
いや訳がわからん。こいつどういうつもりだ?
キスマークにしてはどうも噛み付いた方が強かった。
「ふっふーん、やっぱ聞いてなかったね。今日の授業で言ってたでしょ?首筋に噛み跡残すのってこの世界では『私の恋人です』って意味があるんだって」
「…えと、それって」
「好きだよ?」
「何で疑問系なんだよ」
「大変です、隊長!」
「どうした⁉︎」
シグムントが駆け込んできた部下に怒鳴り返す。
「迷宮都市に、ルリエ・ペルバリエ・ディナンシェールが現れたそうです!目撃者の情報によれば、他に二名同行者がいるらしく、人質になっていた商人もいたそうで」
「その同行者は?」
「それが、ですね…」
ちらちらと歯切れが悪い。
「構わん、言え」
「……ハッ。イチノセトオルだとのことです」
マリアの持っていたお盆が滑り落ちて、けたたましい音を立てた。
「じゃ、もう一人の同行者はマリアから聞いていた通り、」
「………あ、ああ。レイという冒険者だ?Bランクの」
Bランクの冒険者。
俺たちの今の実力で、一人前の冒険者と言える実力の、Cギリギリなのだ。その力量は、一つランクが違うだけでものすごい差が生まれる。
「これ、まずいんじゃないの?」
嶺緒の言葉に俺は頷いた。
「イチノセトオルに怪我を負わせたそうですが、今現在ドラグニアの国境を越えられまして、追えません」
「…ドラグニアか。国交断絶中だな」
そう言ってシグムントが大きくため息をついた。それに呼応するように周りにもどよんとした空気が広がる。
「ぁぁぁー………クソが」
低くつぶやかれた声に数人の隊員が笑う。確かあの人たちは、この特別隊の創設前からシグムントの部下だとーー。
「マリアとその他俺の部下はココに残留。人数だけいても意味はない、すぐに本国へ待機人数を回せ、城の守りを厚くせよ」
そんな言葉を言い残して、彼はその数人が去ったのを見届ける。
「くっはあああああああ!なにしてくれてんだあのクソ坊主!俺の猫かぶり剥ぐ気か⁉︎」
「「「「だれおま」」」」
マリアがフン、と笑う。
「ここから正規ルートでお前らはドラグニアを目指せ。私たちはドラグニアに転移する」
転移?
「いやいやいや待ってくれよマリアさん。転移の術式って今は失われてんだろ?あるわけないじゃん」
「馬鹿が。俺が作り直したに決まってんだろ」
うわーシグムントさんすげー。ナメプしてすんません。
「さて、お前らには先に知ってもらいたいことがある」
「なんですか?」
蓮夜が尋ねると、シグムントさんはものごっつい笑顔になった。
「お前らは魔王を倒すとエルセリアの英雄、そして他国では凶悪犯に見られるってことだ」
…………は?
透「筆者はどうやらエタらなかったようですね」
頑張ってるよ!
褒めて欲しいね。マジで辛いもん。
透「ときに部屋にある落書き類を放置してきたそうですが、一体ーー」
ごおおおおおお!忘れてた…!




