19 バレてしまったようです。
グルメとか思わないことだ
僕らは長蛇の列をなしている最後尾についた。皆勇者効果を狙ってきたのだろう。
「透~!空腹よ、何か出して!」
「俺もなんか腹にいれねぇと無理だ」
「…分かりました、分かりましたよ。アイテムボックス様様です」
僕は寸胴鍋を取り出した。うん、まだ湯気が立っている。肉を捌きながら留まっている時間を利用してシチューを仕込んでおいたのだよ!
転んでもただでは起きないのだ。
「いっただっきまーす!」「あはぁ~、いい匂い」「何や?オホッ」
オホッって…シュナイダーさんェ…
さて、ソームにも食べさせてあげよう。湯気の立ったそれを亜空間のソームに渡す。『うほぉぉぉぉぉおお!』とかアーアーキコエナイキコエナイ。
さて、僕も頂こう。
よそっている間もいい香りだったが、メメトゥーを手に入れたのが良かった。デミグラスソースもきちんと売られていたし、この世界は異世界人ちょくちょく来てるんじゃないだろうか。
ただ、メメトゥーをケチャップ化しなかったのは、多いなる痛手。
トマトは世界をも制す味だと言うのに。
それはさておき、僕が丹精込めて四時間以上は煮込んだ(体感である)ビーフ(?)シチュー。
スプーンで掬うと、垂れないうちに口へ運んだ。香辛料は少しばかり痛かったが、とても旨い。肉はほろほろとほぐれるような食感。ティポトもほっくりしつつ、見事に汁と馴染んでいる。
シュナイダーさん曰く、「煮込む…んなこと旅の間に出来へんて!ちゅうかあんたそないな手間暇かけた料理王宮くらいやろ」と言われた。
因みに異世界宿屋の定番はシチューだと思っていたが、あれはそもそも油が皿についたりするから、負担をちょっとでも減らすためにスープには油物なんか使わないらしい。
結果何か水っぽいスープが出て来たりするのだ。
がっかりだ。
「よう兄ちゃん」
どうせ宿だから安い材料でできるだけ低コストを目指しているのだろう。
「おい、聞いてんのかよ」
ああ勿体無い。その削減がのちの集客に影響したりするだろうに。
「おいてめー調子付いてんじゃねぇぞ!?俺様はなぁ、Cランカーの」
お肉が柔らかいのは正義。この魔物なんだったっけ?あ、ブラッディーホーンだ。
「無視してんじゃねぇ!」
「透?」
「何でしょう、レイさん」
0.1秒で居ずまいを正して向き直ると、呆れ果てた顔をされる。
「後ろで呼ばれてたぞ」
「生憎僕の真思考モードはパーティーメンバーのみ解除できるんですよ」
「何だよそのモード」
「俺を無視するんじゃねえええええ!!」
「はいはい。それで何用ですかオジサン」
「俺は23だああああ!!」
「で?何の用ですか?」
「ん?…あ、ああ。ゥォッホン!俺はCランカーのアルフレッドだ!お前みてぇなひょろいガキが食うようなもんじゃねぇんだよ、それは」
首をこてんと傾げた。
「十文字以内で説明してください」
「美味そうだからくれよ」
おお、ちょっきり十文字。
「要するに、Cランカーの冒険者アルフレッド様様がFランカーの僕にたかりに来た、と?」
「おうわかってるじゃねぇか。よこせ」
と、その態度に二人と一匹の食欲魔人(言い得て妙だ)がガチ切れし、そして一人のグルメな兄ちゃんが立ち上がった。
「おうちょっと面貸せや?なに透脅してんだコラ」
「この分だけでも後二週間は保つーーじゃない、それはあたしたちの食べ物!」
『まだ食べ足りないの!』
「そいつは脅したらあかんで、モジャールの件はわいも恩を感じとるんや」
一番最初のレイは何かが違う気がする。
「へっ、獣人がいたってこんなヒョロモヤシと美幼女連れてたって、「誰がロリよおおおおおおおお!!(ドッゴオオオオオ)」
あ、あれは飛び過ぎだよルリエ。あーあ、丘一つ越えて来たはずなのに。
南無阿弥陀仏。
効果があるのはさておき、少々面倒なことになった。
ルリエが人一人吹っ飛ばした癖にランクは冒険者でも最低のFランカー。
今の今まで修行なんかしていたら、うわさにならないはずない、ということだ。
そして悪いことに、ポジティブキャンペーンをやってきたことで、顔バレがエルセリアの隣国のフェンリルやらには凄まじい。それは当然エルセリアでも同じで、上層部は幾度か目にしたことだろう。
そして、今現在のルリエの立場と言えば。
「ま、魔王…そうだ、魔王だっ!」
誰かのそんな叫びが、僕らに突き刺さった。
透「ハイばれました、感想をどうぞ」
ルリエ「イラっとしてやった。後悔はしていない」
しろよ!つかバレるの早いし今までどうやって敵国の中歩いてたんだよ!
ルリエ「え?伯爵令嬢か何かを装って護衛の馬車と扇子とかで、こう顔を隠してよ?」
あれ?馬車は?
ルリエ「あの時殴ったら壊れたわ」
……常識、売ってないかな?
透「次回はちょっとほのぼのからは遠ざかる気が…あ、保険のR15役立ててくださいね?」
何かキャラに使われている…。




