16 夢オチは便利なようです。
ちょっといちゃいちゃ出てきます。
甘いの嫌いな方にはごめんなさい。
迷宮都市ディアナ。魔物が湧く塔、迷宮がある場所。
「何それ行きたいわ!」
「ルリエが本気で暴れたら、迷宮が崩壊しますよ…」
ルリエの鶴の一声、という訳ではないが、一応僕のレベル上げのためにもとディアナに向かおうとして。
「…そう言えば、髪どうしましょう……」
「「あっ」」
結論から言えば、ドラグニルも大勢いると迷宮都市に向かう商人のシュナイダーさんに聞くことができた。
「あんさんら徒歩で来たんかいな?」
「そうなのよ。連れて来た部下が盗賊に負けちゃってね…」
「ほぉう、それで冒険者二人雇いはったんやな」
僕はフードの隙間からふ、と微笑んだ。
「どないしてん?もしやあんさん、ドラグニル?」
「ええ。髪色がですね、目立ちすぎて。何とかしたいんですが…隠せるものをこの間壊されまして」
「そやったんか…あ、いいもんあるで。モジャールの毛皮や。髪の無いおっちゃんとかよう使うねんけど……ええい半額や!」
出された毛皮を見て、唸る。値札がついている。
金貨一枚。
「染めた毛皮欲しくないですか?」
「染められる、言うんかいのう?」
モジャールの毛皮は禿げた貴族やなんや、そういう御仁が使うらしい。そして特徴的な、鮮やかな黄緑色であるため、使っているとばれる。染めても一日で戻ってしまうらしい。
「染色に魔法を使うねんけどな、ダメやねん」
「ふむ」
『ものづくり』発動。「赤い色素」へ緑の色素を変換。他にも茶や青、金などいろいろな色へ変えていく。
「本当に一日経っても大丈夫なら、わいがただで売っちゃる!」
「ふ、面白いですね」
何せこの毛皮、防汚効果が付与されている。外から染めるというやり方は非効率甚だしい。
「シュナイダーさんはどこに行くんですか?」
「ああ、わいは迷宮都市やな。何でも勇者が来る言うて、街がお祭り騒ぎなもんで」
勇者、ね。
マリアが来るかもしれないし、会って損は無いはずだ。
クラスメイト?いやいや、僕は完全に空気やってたからね?
修学旅行の班で仲間はずれの挙句先生にいないものとして扱われたからね?
旅行先で迷子になっていたのに土地神に助けてもらうまでそのままだったからね?
…悲しくなってきたのでやめておこう。
シュナイダーさんのご厚意で、護衛がてら馬車に乗せてもらえることにもなった。移動速度は徒歩から格段に上がったし、嬉しい誤算である。
「ドラグニルの坊ちゃんは儲けてるようやけど?」
「あはは、ご謙遜を。僕は確かにこの二人と旅をしているんですけど、料理の準備を戦闘がわりに行ったり、目的地が一緒だからです」
「雇うにも金はかかるやろ。金もなしに、飯だけで金ももらわんと…」
僕は思わず苦笑する。
「ドラグニルは商売も上手いですけど、僕に限って言えばそんな事は欠片もありません」
「と、言うと?」
「単にこの二人は圧倒的物量戦士なだけなのです」
ルリエの魔法もそうだったが、僕がレイを守るために魔結界装置18個使い切ったのもそういう事だ。
褒めてないからね?
そこの断崖を誇らしげに張るルリエ、尻尾を振りつつチラッとこちらを見るレイ。
ルビで『ぶきよう』と振ったのには気づいていない御様子。
そんなところがいいんだけど、
がたごとがたごと。
「はぁ…(モフモフモフ)、二人ともそのうち(ふにふにふに)うっかり油断で(モフモフ)倒されそうですね(モミモミ)」
「ふわぁ…」
ふふふ、肉球ぷにぷにで培った僕の技術!出でよモフ神!
…まぁでて来る訳ないっすよねー。
『うちを読んだのはお前か?』
「何だとぅっ!?」
え、本物ですか!?
『モノホンだ。うちのことが疑わしくば、その銀狼の兄ちゃんの耳を撫でてみよ。これは試練だ!試練にうち勝てば、うちの力でその銀狼の毛並みは生涯衰えぬものとしてやろう』
「うぉっしゃおらあああああああ!」
「はっ!?どうした透…え、ぁっ…くぅん…きゅ~っ…」
無心なり。指先から伝わる心地よい弾力、ピコピコ動く耳、今はただひたすらこの感触を味わって…!
やべ。レイが倒れた。真っ赤になって気絶してるぜ!
『ふっ…主もやりおる。うちの加護を授けよう。撫でると毛並みがツヤツヤになり…ぐふふふ』
「レイ…よし、膝枕しながら堪能することにしましょう。いつも尻尾だけですし」
『ちょっ!?おまっ…羨ましい!?めっちゃ羨ましいやん!うちにも一撫で!後生や!』
「ふふふ、(モフ)レイは僕の(モフモフ)専用機」
『なぬっ…いいもんウチには『オイコラ仕事しろ!また獣耳に欲情してやがったのか!?』
『あ、ちょーどええわ。うちのアヌビスかわえぇやろ?』
いや、まさか……オシリス?
『お、正解や。さっきも威厳欲しいな思て、けったいな喋り方してたんやけどなぁ…無理やわ。ちょいちょいボロ出とってん』
んな身も蓋もない。
ってか地球と兼任だったのかい。モフ神呼んで冥界の神呼ぶとかアリエナス…。
「…ま、御神託は大事にしますよ」
「…ぅえ?」
「ん、……ぇ?」
レイが目の前にいる。というか、抱きかかえられるようにして眠っていたらしく、僕は一瞬ポカンとしてしまった。
レイは現実を把握し切れていないようで、トロンとしている。
夢じゃないことはわかる。さっきの御神託は明らか夢だった。
というか、夢じゃなかったら幻滅物ではあるから、夢であって欲しい…。
少なくとも外気のひんやりとした感じと、レイの息遣い、鼓動まで、全てがリアルで。
「夢…なら、…」
ぽそりとそう呟かれた。
目の前に、整った顔立ちがあり。
唇に柔らかな感触があり。
要するに、
「これは、夢っ…です!」
ーー現実逃避をしなければやってられないのである。
透「次回の勇者とか言って普通にブラブラしてるじゃないですか」
ああ、あれ?次回の勇者ってのは、閑話ごとにしか出てこないから次回の閑話まで待てってことなんだよ?」
透「チッ、屁理屈吐きますね」
ルリエ「透、顔赤いわよ?風邪でも引いたn「何でもないです」
ルリエ「でも顔赤いわよ、熱だけでm「なんでもありません」
ルリエ「何でもないです…」
次回!レイ視t「なんでもありません」




