14 吹っ切ったようです。
落とします!
ルリエの魔法被害。
自陣 : 対魔結界装置18個 レイの尻尾の先一センチ
敵陣 : 全滅(というか骨もない)
「…えぇ…何と言うか、MPの暴力って存在しますよねえ」
「あら何よ。あんただって言うなれば美味の暴力だわ?あたしあんたを料理長に任命したいくらいよ」
いや、旅行先の即席キッチンじゃいくらなんでも限界がある。手の込んだ煮込み料理なんか出来る訳ないし、そんなに材料だってある訳じゃない。
「落ち着いたところで料理ができれば言うことないんですけどねぇ」
「何だ、お前あれだけの腕で料理人になりたいのか?」
うーん、考えて見ればそれもいい。落ち着いて家庭を持って、腰を据えて常連さんとゆったり話しながら忙しく動き回る……。
「ううむ、それもいいかもしれませんが、今はやはり皆で当てどなくフラフラしたいですねえ」
「言うと思ったわよ。それにしても、そのステータスで良く刀なんか振れるわね?」
そうだ。レベルが多少なりとも上がったとはいえ、STRは未だ8。一桁なのである。
泣きたい。
それでも、僕が剣を触れる理由は。
「うーん、この世界では、ステータスっていうのはボーナスポイントみたいな感じなんですよ」
「ぼー……何よそれ?」
「身体を鍛えてもステータスは変動しません。けど、筋肉はついて確実に腕力やらは上がります」
「まぁそうね。それで?」
「限界まで鍛えたそれでも、ヒトや種族を超えたチカラは手に入れられません。ですが、ステータスは…」
ここでようやくルリエがハッとした顔をする。
「要するに、ヒョロイモヤシでもステータス次第でムキムキに対抗できるってことなのね?」
「……ええ」
何だろう、間違ってないけれど釈然としないのだけど。
「あーなるほどな。純然たる肉体勝負って訳じゃねぇからな。その細腕でも剣を振れたのは納得だ」
「レイさんもついてこられたんですね」
「俺をバカにしてんのか!?」
スカッ。
スカッ。
スカッ。
……。
「くっそおおおおあたらねえええええ」
「わーなんかごめんなさーい」
「その棒読み腹立たしいわ!あーあ、ソーム俺を癒してく」
(ヌルッ)
(スルッ)
「ぐおおおおおおおさわれねええええええ」
「ウチのソームに何をしますか。あ、そう言えば、一度ルリエのステータス見ようとしたんですけど、弾かれたんですよねえ」
「あれ?ああ、隠蔽だけじゃ心許ないから、詐称を使うの」
「え?そうなんですか」
快くステータスを見せてもらった。
======
ルリエ=ペルバリエ=ディナンシェール 称号 : 魔王 恋する乙女
Lv@!28#
HP |"[+371!9@
MP ∞
STR }"]*_+}%
INT }>[+"*@
AGI |"{%[<\+[
DEX 43
種族付与効果 魅了 瘴気 覇気
能力 王族の加護 闇の化身 魔法特性「/8610(
特殊スキル 理破り
======
「もっ…文字化けっ…DEX以外文字化け…!?」
数字よ、発明された意味を教えてくれ。∞、君はいい仕事してるよ。
倒せなさそうなことしかわかんないけど。
……あれ?今から行く先で勇者加えて、このパーティー無敵じゃないですかね?
「まぁいいですかね。考えても無駄なことです。ルリエが頭おかしいってことは、きっちり分かりましたしね」
スカッ。
ドォォォォン!
あしもとの じめんが われた !
「ルルルルルルルリエ!?これ僕じゃなきゃ死んでますよ!?」
「あらいいじゃない?透にしかやらないもの」
「…ならいいですかね」
「オイコラ良かねぇよ!落ちただろうが魔王!」
「あら?いたの。別にいいじゃない、透治してくれるし?」
「ハァア!?ううううううううっせえ!つ、つぅかね、狙っただろ!?」
凄まじい動揺。
「気にしないでください。膝の上で寝ても尻尾の焦げた部分のカットは綺麗にやって、その尻尾をモフ…(じゅるり)」
「こんな下心丸出しの親切はじめて見たわ!」
「獣耳は正義なのです。迫害?ヴァカ言わないでください。全力でルリエけしかけますよ」
「あら、安くないわよ?」
「ふっ…お料理の力には勝てません。ましてや異世界料理です。僕のレパートリーはもっと多いですよ?」
「やらせてもらうわ国一個くらいなら」
涎拭いてください魔王様。威厳なんてゼロじゃないか。
「…まぁ、それがいいんだけどな。不用意に差別されないのはいいな」
「レイさんはつまらない好感の抱き方しますね。好きなら好き、嫌いなら嫌いでいいんじゃないですか?」
何というか、身も蓋もないけれど。
そうやって言い切るのが一番大変なんだと思う。
好きな人が嫌いな奴と親友だったり、自分の手の中にあると思っていた奴に騙されたり、親友に嘘をついていたり。
それが人と関わっていくことなんだと思う。
「レイさんは自分らしくあればいいんです。誰も彼もがあなたを貶め見下したとしても、僕やルリエ、そして君の大切な人たちは分かってくれると思います」
「俺は……ってか俺らしくって、んなモン分かるか」
「ええ実は僕もサッパリです」
「そりゃねぇだろ!?」
「あら、分からない?」
ルリエがどや顔。
「一生かかるから分からないのよ」
「……おぉう」
納得してしまった。本人が分からないも他人がわかる訳ないじゃないかとイチャモンめいた言葉で片付けようと思っていたのだけれど。
「ルリエ…含蓄のある言葉言いますね」
ロリBBAだからかな。
「いらんこと思わなかった?」
「いいえ全然」
ッチィ、いいカンしてる。
このポーカーフェイス検定準一級の僕に…。
「食料調達、しましょうか」
そそくさと誤魔化す中、レイは今までになくスッキリした笑い声を上げていた。
いまいちレイが落ちる理由が甘くてね。
レイ「あー、うー、って何で俺呼んだよ…話しづらいったらねぇ」
今までは好感を寄せられていたから気になってたけど、今回の発言で完璧に落ちたレイでーっす。
レイ「作者…お前はいずれ俺が倒す!」
…え、何そのアツい少年マンガの一幕のセリフ。
レイ「次回はメシだな」
なんっ……だとっ……!?(バタッ)




