↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Project:OVER セイラム編  作者: Migu・黄波戸井ショウリ
PR
10/13

第二章 消却者と反逆者①

「『アンチホープ』……?」


 マドレーヌの言葉を反芻しつつシャルロットはレオナルドを見やる。


 ここまでの道程を見られている以上、名前くらいは知られていて当然だ。


 しかし『アンチホープ』なる単語は一度も出ていない。レオナルドも想定外だったのか不機嫌そうに眉を顰めている。その様にマドレーヌの口角が少し上がった。


「くく、魔女に隠し事はできぬと絵本で読まなかったかな?」


「生憎と、教養の類とは無縁でな」


「それは失敬。もっとも種を明かせば簡単よ。妹から貴様のことを聞いただけだ」


 妹。その言葉にシャルロット以外の全員が反応した。シフィナが言葉を選ぶようにゆっくりと尋ねる。


「『アンチホープ』を知ってるってことは、あなたの妹が?」


「左様。自身こそが消却者(ロスト)だと名乗りおった。名をサフィールという。そして……」


 そこで言葉を切り、マドレーヌは両腕を広げた。


「この先を聞きたければ、取引だ」


「取引?」


 カイトが首をかしげると、魔女はにやにやと感情の読めない笑みを浮かべてみせる。


「レオナルド・ヴェルメーレン。貴様の身の上と、消却者(ロスト)について知る限りのことを話せ」


「なんでそんなことを聞く。目的はなんだ?」


「質問しているのは我だ。貴様らは話してサフィールの情報を得るか、話さず手ぶらで帰るか、二つに一つ。言うまでもないが、妹についてならば大概のことは知っておるぞ?」


 マドレーヌの言葉に嘘がないか、シャルロットはじっと見極める。


「言っている意味は私には分かりかねますが、偽りはありません。彼女は真剣です」


「そうか。だがな……」


 レオナルドがシャルロットをちらと見て頭を掻く。


 自分の前でどこまで話すべきか悩んでいるのだ、とシャルロットも容易に察することができた。


 レオナルドたちは何か自分の知らないことを知っており、知らないものと戦っている。それがおそらく、知ればもう戻れないものだ。


 わずかな沈黙ののち、カイトが見かねたように手を挙げた。


「受けようぜ。こんなとこで腹の探り合いしたってつまんねえよ。それに聞いてる感じ、マドレーヌも消却者(ロスト)の敵なんだろ? 敵の敵は味方、腹を割って話すほうが建設的ってもんだ。シャルロットにも聞いてもらったほうがいいと俺は思う」


 シフィナはまだ迷いがあるのか不安げな表情を浮かべる。


「でも……。この世界の人を巻き込んでいいの?」


「もう巻き込んでんだろ。シャルロットも仲間だ。レン、俺からも頼む」


 カイトの意見が気に入ったのか可笑しいのか、マドレーヌはレオナルドに向かってくつくつと笑う。レオナルドも「それしかないか」とため息をついた。


「くく、顔は同じでも、あちらはずいぶんと素直なものだな」


「余計なお世話だ。何から知りたい?」


「全て……と言いたいが、あまり長いと文字通りに日が暮れてしまう。貴様が消却者(ロスト)と戦う理由と、彼奴等について知ることを聞かせてもらおう」


「言っておくが、面白い話じゃあねえぞ」


 そうして淡々と語りだした彼の身の上は、シャルロットの理解をあまりに超えているものだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。