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裏通りの東大生  作者: Jzou
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第五章:(8)

沢山の作品の中からこの作品をご覧頂き、ありがとうございます。


この作品はロサンゼルスのギャングの世界の空気感を描くために、一部バイオレンスが描写が含まれておりますが、基本は主人公が偏差値30から東京大学へと進学していく過程ときっかけを描いたものとなりますので、楽しく読んで頂ければと思います。

静かすぎるピザ屋の空気感は、店員が気を利かせたことが理由なのではなく、ウィルたちゴールドの連中の登場によるものだった。ウィルを先頭に後ろに3人のゴールドのメンバーが席に近付いてきた。


「お前は空気を少しくらい読めないのか?」


Jにとってピンチなのか天祐なのかは分からないが、少なくとも先程までの空気感は無くなった。Jに大きな声で一喝され、脅しに来たウィルの方が目を白黒させている。


「今はお前にかまってられる程、暇でも平和でもねえんだよ」


Jは立ち上がってテーブルとウィルたちの間に入る。こんな状況に慣れている人間なんて少ない。ミッシェルもケイトも明らかに動揺している。


「えっ・・・と」


ウィルはJとミッシェルたちを交互に見る。

その状況に他のゴールドのメンバーも、思っていたシナリオとは異なる状況にメンバー同士が顔を見合わせる。


Jはその隙に身体を少しミッシェルたちの方に倒して


「この奥に従業員用の通路があり、そこから裏口に出られる」

と小声で急ぎ伝えた。


「うるせえ!お前が女連れで楽しんでる間にオレはビリーに相当ヤキを入れられ、金も取られた。お前を始末しないと恥のかきっ放しなんだよ」


状況を落ち着かせたウィルがまくし立てる。さらに近付くウィルに対して、


「Go!」


Jが2人に合図して、2人はウィルたちが居る入り口方向とは逆に向かって走り出す。それを見てゴールドのメンバーの2人が追い掛けるが、こういう咄嗟の動きに関しては先に動いた方が圧倒的に有利だ。恐らく2人は無事に裏口から逃げられるだろう。こういう時のために裏口の存在を知っていて良かった。


「キャー」


2人の声が聞こえる。


「どうやらチェックメイトだな、J」


ウィルがにやつきながら近付く。


静かになった裏口へと一緒に行こうとウィルが顎でそちらを指す。ミッシェルとケイトが捕らえられた以上、Jが逃げるわけにはいかなかった。


ウィルとゴールドのメンバーと共に裏口に向かうが、従業員へは目配せをした。恐らくすぐに警察には連絡が行くだろう。これで保険の1つをかけることが出来た。


裏口の扉を開けて裏路地に出ると・・・


「待ってたぞ、ウィル」


低い声で顎ヒゲを触りながら口を開いたのはラルフだ。スーツにサングラス姿で、完全にマフィアを決めている。


ウィルは裏路地にも2人待機させ、Jの動きに備えていたようだ。

裏口を開けたミッシェルとケイトが見たのは、ゴールドの2人のメンバーで、後ろから迫る2人もいて完全に挟まれてしまった。


しかし、その状況を待って、ブラックのメンバー8人が裏路地に現れ、逆にゴールドの連中が囲まれた状況となっていた。


「よ~J」


ブラックのメンバーの奥にはキングが用意したブルーの10人も控えている。


Jがかけた2つ目の保険だ。


ラルフやキングとの会話から、ゴールドの連中による尾行の可能性を感じていたJだが、案の定、放課後高校の駐車場からシビックを出すと、尾行してくる車があった。


こういう時の鉄則は家には近寄らないことだ。


家の場所がバレればより危険な状況となる。そして、道を何度も曲がる事。それで同じ車が背後にいれば、それは確実に尾行だ。


Jは公衆電話を見付け、キングに連絡を入れた。キングの家族が電話に出て、キングには繋がらなかったが、普段キングに連絡を入れることはないため、電話があったことを聞いた時点で、キングなら何かを察するだろうと思っていた。


キングは朝の会話からJに不測の事態が起こる可能性を考え、用意をするとともに、Jがミッシェルとピザ屋に行くことも知っているので、すぐにラルフに連絡を取り、駆け付けてくれたようだ。


「もう勝負が付いてるし、オレの登場はあまり格好良くないな」


と、裏口に店内の方から現れたのはリチャードだ。部下2人と共に表の入り口が担当となったようで、全員が裏口に向かったので、店内を通ってゆっくりと裏口にやってきた。


「それで、マイキーはどこだ?本当にいないんだな」


Jにも軽口を言う余裕が出て来たので、来るとは思っていないマイキーの名前を出した。キングやラルフ、リチャードたちは笑っている。


Jとキングでゴールドの連中からミッシェルとケイトを救い出した。もうゴールドの連中が抵抗することはない。


「警察が来るまであと数分ってところだろう。さっさと逃げておけ」


Jの言葉を合図にウィルたちは一目散に逃げ出した。


「みんな、ありがとな。そしてオレらも逃げるぞ」とブルーやブラック、ブラウンのメンバーに告げると、全員が一斉に車に乗り込み猛スピードでモールの駐車場を後にする。


Jもミッシェルとケイトをシビックに乗せて、モールを後にした。

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