表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏通りの東大生  作者: Jzou
教えて覚える

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/61

第三章:(5)

沢山の作品の中からこの作品をご覧頂き、ありがとうございます。


この作品はロサンゼルスのギャングの世界の空気感を描くために、一部バイオレンスが描写が含まれておりますが、基本は主人公が偏差値30から東京大学へと進学していく過程ときっかけを描いたものとなりますので、楽しく読んで頂ければと思います。

「ブラックジャック」


Jは手札を見せ、もう5ドル出せと言う意味で上に向けた手のひらの人差し指と中指を数回曲げる。


「ガッデム!」


ジョーダンは眉間に皺を寄せて悔しがる。


キングに関わらない方が良いと言われている組織の気性の荒い男なのだが、ここ最近Jの賭場に出入りがある。あちらから来ている以上拒むことなく対応している。ただ、Jの背後にブルーやブラックがいることを知られていることが幸いし、特に問題なくギャンブルでの負けも払っている。


いつものビルの踊り場でのギャンブルだが、掛け金が5ドルのブラックジャックは普段に比べれば高い方だ。この日はあまり時間が無いことを告げると、じゃあ掛け金を上げようと提案したのはジョーダンの方だった。


「自分で掛け金上げて、自分で負けてりゃ世話ねぇな」


恐らくマリファナと思われる茶色の包みをふかしながら、ミックが薄ら笑いを浮かべてボソッと声を出す。例の一件(第一章)の後、暫くは見かけなくなったミックだが、ほとぼりが冷めたのか、最近また顔を出すようになっていた。場には他に先日カフェでラルフと共に会ったブラックのルービン、そしてマイキーがいる。


「あぁん?」


ジョーダンがミックを睨み付け緊張が走るが、Jがそれより先に次のカードを配ったため、特に何も起こらずに済んだ。


この日のゲームを終え、ビルの外に出るとキングが来ていた。


「よ~J、今日も勝ったか?だったらたまには奢ってくれよ」

と機嫌が良い。


ジョーダンやミックなどガラの悪い輩がいる状況であり、有難いキングの登場だった。


「俺には勝ったかどうか聞かないのか?」マイキーがキングに聞くが


「この面子を相手にお前が勝つようなら、明日は数年前のような大地震だな」


キングが笑って話すと、「強い面子」と持ち上げられたミックやジョーダンも、気を良くしたのか笑いながらルービン含めてそれぞれ自分の車へと向かって行った。


そして、この日はJの払いでキングとマイキーを連れてステーキハウスに向かった。


Jとキングはいつも通りスペアリブとジャック・ダニエルを楽しみ、マイキーはフィレステーキとスプライトを楽しんだ。他愛もない会話に花を咲かせた後、キングとマイキーががビリヤードに向かう一方でJはエイミーが待つバーに向かった。



「待った?」


Jはバーのカウンターに座るエイミーの背中に軽く触れ、隣の席に座った。白のワンピースにエイミーの黒髪が良く似合う。そこにグラスに注がれたカンパリシェークの薄い赤が見事な色彩美となっている。


「ううん、大丈夫。初めて会った日に頼んでくれたカンパリシェーク、気に入ってね。最近はいつも最初の一杯はこれ」


「良かったよ。じゃぁ、同じくカンパリシェークにしようかな」


Bill Evansの「Waltz for Debby」が流れる店内に小気味良いシェークの音がカウンターに響く。


「乾杯」グラスを合わせて一口飲み、


「それで、相談って何?」

Jが話を向ける。


「好きでもない男に言い寄られててね」

エイミーが困った顔で切り出した。


「そんな奴、エイミーなら軽くあしらうのもお手のものだろ?」Jが言うと、


「そうもいかないの。どうやらギャングのメンバーらしくてね。そこら辺の男なら軽く捨てるんだけど、私はギャングとかそういう世界知らないから」


ギャングだろうと色恋沙汰は基本的に個人間の問題だが、時に組織の力を誇示して強引に言い寄る男が居るのも確かだ。自分に欠けている魅力を、組織の名前で補おうとする男ほど無粋で情けないやつはいないが、ギャングに詳しくないエイミーにとっては怖くもあり、対処にも困る相手となることは想像に難くない。


「なるほどね。だからオレに相談ってことか」


ジーンズのポケットからマルボロを取り出し、ジッポで火を点けながら


「別にオレはギャングでも何でもないけど、友達には確かにギャングはいる。友達も、友達の友達も、似たようなもんだし、エイミーも友達にギャングが居るって言えば良いよ」

Jが提案する。


「そこは『友達』なんだね。『恋人』じゃなく」

エイミーは悪戯っぽい笑顔でJの顔を覗き込む。


「さぁ。それはオレが『友達』なのか、オレの友達がその『友達』なのか、どうだろうね」


Jは上を向いてマルボロの煙を吐いた後、エイミーを見ながら笑ってみる。カンパリシェークを飲み干し、ドライ・マンハッタンをオーダーする。


「あっ、ドライとは大人だね」


「この後、エイミーのこの問題、スイートな展開になるとは限らないからな。ドライに対応出来るようにね」


通常のマンハッタンはスイート・ベルモットを用いるが、ドライ・マンハッタンはライ・ウィスキーにドライ・ベルモットやビターズを合わせた辛口のショートカクテルとなる。


「でも、この『友達』って作戦、Jに迷惑がかからない?」


「別に個人名を出さなきゃいけない訳じゃないし、大丈夫だよ。後は何かがありそうな時の用意はしておくよ」


「ごめんね。ありがと」


Jに軽くキスをして、エイミーはジャックローズを頼む。そこから先は二人の夜となっていく。

【作者からのお願い】

『続きが気になる!!』『面白い!!』と思って下さったら、下にある【☆】をタップして評価やブックマークをして頂けると執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ