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裏通りの東大生  作者: Jzou
ゲームから学ぶ

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25/61

第二章:(11)完

沢山の作品の中からこの作品をご覧頂き、ありがとうございます。


この作品はロサンゼルスのギャングの世界の空気感を描くために、一部バイオレンスが描写が含まれておりますが、基本は主人公が偏差値30から東京大学へと進学していく過程ときっかけを描いたものとなりますので、楽しく読んで頂ければと思います。

翌日は約束通りJはミッシェルと食事に行った。


とは言えかしこまって行くほど気合を入れるのもJのスタイルでは無いため、放課後遊びに誘い、モールでミッシェルのウィンドウショッピングに付き合った後、そのまま市内のイタリアンの店へと向かった。安くも無いが、高級店でも無い為、普段着でも入りやすい。


「も~、言ってくれたらちゃんとした格好したのに」


ミッシェルは店に着いた時から文句を言うが、それでも嬉しさは隠せず、文句の合間は笑顔になっている。


「ちゃんとした格好されちゃったら、もっと高い店になるだろ」


Jは冗談っぽく言いつつ前菜2品にピッツァをオーダーする。ランチタイムはビジネスマンで溢れる店だが、夜はデートのカップルも多い。ドレスを着た女性もいる中で、Tシャツにシャツを羽織っただけでは恥ずかしくなるかもしれないが、それで許されるのが高校生の特権だろう。


前菜はシーザーサラダにスピナッチ・アーティーチョークディップだ。ほうれん草とアーティーチョークがたっぷりと入ったクリームチーズベースのディップで、トルティーヤチップスを付けながら食べればワインも進む一皿だ。ただ、今日はミッシェルに合わせてアイスティーで乾杯をした。


前菜が片付いた頃、熱々で運ばれたのはシシリアンというピッツァだ。ペパロニピザは普段食べるもの。デートとなればもう少し工夫が欲しい。ペパロニピザにイタリアンソーセージがトッピングされたのがシシリアンだ。イタリアンソーセージの旨味も加わり、少し洒落た時には食べたくなるピザだ。


美味しさと2人の会話の楽しい時間の中で、デートらしい時間は流れていく。



店を出てシビックに乗り込むとミッシェルが口を開く。


「今夜もジャック?」


「いや、今夜はミッシェル専属のドライバーだ。次どこに行く?」


言い終わらない内にミッシェルがどんどん笑顔になる。


「じゃぁ、ドライバーさん。サンタモニカまで」


「ずいぶん遠くまでですね、お客さん」


笑いながら答え、シビックは北へのルートを取る。ロサンゼルスの中心部からは20キロ程南に位置するJたちが住む街からサンタモニカまでもやはり20キロ程、2、30分のドライブとなる。しかし、サンタモニカに着くことが目的ではないため、ラジオからデュラン・デュランの「Ordinary World」が流れる中、スピードを無理に上げずに、2人でいる時間を楽しんだ。


その内カーラジオから何の曲が流れているのかも分からなくなるくらい、2人は話し続けていた。特に内容のある話しでもない。しかし、確実に価値ある楽しい時間が過ぎて行く。


20分程走らせるとサンタモニカ大通りに着く。夜のビーチに行くことが目的でもないため、Jは通りを東に、ハリウッド方向へと進み始める。ミッシェルも同じ考えのようで笑顔で話し続ける。その内ラジオからシェリル・クロウの「All I Wanna Do」が流れる。サンタモニカ大通りを夜流すには最適な曲だ。



午前0時を迎える前にはミッシェルを家へと送った。少し長くキスをして別れた後、レースの気分では無く、一人ドライブに向かった。


パロスバルデス半島の先端まで今夜は裏道で行く。街灯一本もない真っ暗な峠道で、山の斜面に合わせて左右に曲がる道は走っていて面白い。しかし、スピードを出して全力で攻めるよりは、ドライブを楽しんでいる。流すステーションもミッシェルと聴いていたポップステーションのままだ。シンディー・ローパーの「タイム・アフター・タイム」が流れている。


やがて半島の先端まで山を下り、半島の外周を回る道に出ると、海岸線の道を走る。夜の太平洋の水面に反射する月明かりが一筋の光の帯を作っている。曲はA-HAの「テイク・オン・ミー」に変わっている。


車が殆どいない真っ暗な道、明かりは道を照らしていくシビックのヘッドライトと海を照らす月明かりだけだ。軽快なリズムに自然とスピードも上がる。


暫く走ると一台の車が前方に見えたが、レースをする訳では無いので静かに後ろに付く。そしてJはゲームについて考え始めた。


「シミュレート」という行為は様々な分野で実際に活用されているが、それをゲームとして楽しむ中で、情報収集力・分析力・大局を見渡す視野・総合的判断力が培われる。それはPCのシミュレーションゲームでも、将棋やチェスでも同様だ。自分が指したい手だけを打っても勝つことは出来ない。相手がどう動くのか、何を考えているのかと予想し、その上で二手先、三手先を見据えて動く必要がある。それを遊びながら身に着ける機会となるのがシミュレーションゲームだ。


そして、それは学習においても貴重な財産となる。自分が進むべき道に対して、必要な知識、実際に自分が持つ知識と足りない知識などを客観的に分析することで、学習効率の向上を図ることも可能だ。シミュレーションゲームが上手ければ、勉強もゲームもレースも上手にこなし、警察に捕まることだってない。


「それにしても前の車遅いなぁ」


Jは車線を変え、スピードを上げて追い抜く。


バックミラーに映る抜き去った車の前にもう一台車が現れ、サイレン音と共に屋根に赤と青のライトが光る。見覚えのあり過ぎる車のヘッドライトだ。


「あれ・・・?」

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