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裏通りの東大生  作者: Jzou
ゲームから学ぶ

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17/62

第二章:(3)

沢山の作品の中からこの作品をご覧頂き、ありがとうございます。


この作品はロサンゼルスのギャングの世界の空気感を描くために、一部バイオレンスが描写が含まれておりますが、基本は主人公が偏差値30から東京大学へと進学していく過程ときっかけを描いたものとなりますので、楽しく読んで頂ければと思います。

その日の放課後、Jはレッドのアーサーの家のガレージに居た。二人とも上半身裸でファイティングポーズを取り、向かい合っている。


アーサーは気の良い奴ではあるが、筋トレを趣味にしているだけあり筋骨隆々の肉体だ。さらにムエタイの使い手であり、その鍛錬は日々欠かさない。自分の身体と武術への自信から、銃やナイフを使うのではなく、喧嘩や抗争においても格闘術で決着を着けようとする。


アーサーはムエタイ特有の両腕を上げて頭部を守る構えから、小刻みにリズムを刻んで身体を揺らし、左右どちらの蹴りも出せる構えだ。


一方のJは半身で構え、相手に面していない右腕は顔の脇に置いている。パンチに向けて既に振りかぶっている状態だ。Jは元々喧嘩が得意な方では無く、ムエタイを使うアーサーとまともにやりあって勝てるはずもない。そのため、とにかく強烈な一撃を一発だけでも、と右腕を既に振りかぶった状態にし、いつでもストレートを打てるようにしていた。


アーサーが近付き左のハイキックを繰り出すが、これをJは下がって避けた。しかし、アーサーはそのまま回転して右足の踵を後ろ向きから蹴り出して来る。


なんとかかわして構えていた強烈な右ストレートを出すが、これは簡単にアーサーが身体を左右に揺らして避けてしまう。


こうして、汗まみれになりながらやっているのは喧嘩ごっこだ。


Jとアーサーの付き合いは長く、一、二度拳を交えた喧嘩をしたことはあるが、あくまでも友人同士の喧嘩であり、日常的に軽口を叩く間柄だ。日本の漫画やドラマを通じて日本語も勉強していて、片言の変な日本語を話したりもする。レッドには属しているが、組織よりもJやキングなどと遊んでいる時間の方が長い。


喧嘩ごっこでは、しっかりと相手に当たりそうな時は寸止めをする。さすがムエタイの使い手だけあり、アーサーの一発がJに当たったことは無い。



「J、ゴールドって組織は付き合いあるか?」


喧嘩ごっこはアーサーの勝利で終わり、タオルで汗を拭きながらアーサーが聞く。


「いや、名前は聞いたことあるけど、特に付き合いは無いな」


Jもタオルで身体を拭く。こういう実力でぶつかる喧嘩は得意では無く、下がってはいけない時以外ではやらないため、場数を踏んだムエタイの使い手に負けても悔しさは無く、適度に汗をかいたスポーツ感覚で清々しい気持ちだった。


「Jはあちこち顔を出すのに、組織のこととか詳しくないからな~教えておくよ」

とアーサーは言い、簡単に説明を始めた。


「まず圧倒的に大きいのはブルーとゴールド。キングがブルーだから安心だけど、基本的にここは手を出しちゃいけない世界だな。ロサンゼルスは勿論、サンディエゴやサンフランシスコだけでなく、州まで超えて組織を持っているからな。メンバーの数が桁違いだし、やってる仕事もヤバめだから関わらないのが一番だ」


「そういや、こないだキングに付き合ってゴールドの連中は見たよ」


「ホントか?ヤバそうな連中だっただろ?」


「少なくとも友達にはなれなそうだな」


どちらも少しでも裏社会について知ろうとすれば耳にする組織だが、その実態までは何も知らないし、恐らく知らない方が良いのだろうとJは考えており、キング以外の人物に関しては名前も聞かないようにしている。


「それに次いで大きな組織はブラックだ。やつらも相当な組織力を持つから気をつけろよ」


「あ、ブラックなら幹部の奴知ってるぜ」


「さすがだな。ただ、あまり深入りすると危険だぜ。組織がロサンゼルス以外にも広がってないだけでメンバーは相当いるからな。そしてこの街に限って言えば、Jはこないだカモにしてきたみたいだけどグリーン、うちらのレッドって感じかな。このあたりに来ると中心は若手だな。後はガキの小さな組織はいくらでもあるから知らないけど」


アーサーは一通り組織の勢力関係について説明した。


「で、ゴールドがどうした?」Jが聞く


「あ、そうそう、ゴールドはデカいというだけじゃなく危険だから関わらない方がいいぜ。あそこは銃で人撃つなんて躊躇しない馬鹿が多いからな。まぁ、グリーンなんかも悪い噂しか聞かないけど」


アーサーがどこで買ったのか分からない足の長いドラえもんらしいキャラがプリントされたTシャツを着る。日本の漫画好きのアーサーは、学校でも英訳されたドラえもんを好んで読んでいる。


「ありがとな。気をつけておくよ。そういやアーサーは今夜ビリヤード行くのか?」


「いや、夜は筋トレしないといけないからな」


笑いながらアーサーは筋肉を見せ付ける。特別なパーティーでも無いとJがアーサーと夜遊ぶことは無かった。

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