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転生したら桶でした  作者: 玉葱将軍


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五十九話 内風呂の完成と新たな発見


 ある日の朝。


 ゴルドが上機嫌な様子で湯けむり亭へやって来た。


「完成したぞ」


「えっ!?」


 ミリナが立ち上がる。


「内風呂だ」


 ゴルドは胸を張った。


「まだ細かい内装は残ってるがな」


「浴槽は完成した」


「試しに入ってみろ」


 その言葉に。


 皆の顔が一気に明るくなった。


 新しい温泉棟へ向かう。


 中へ入った瞬間。


 全員が思わず足を止めた。


「うわぁ……」


 ミリナが思わず声を漏らす。


 広い。


 とにかく広い。


 以前の何倍もある内風呂。


 複数の浴槽。


 ゆったりとした空間。


 まだ装飾は途中。


 だが。


 それでも十分すごかった。


「本当に完成が見えてきましたね……」


 ルーナが感動したように呟く。


「まだ途中だぞ」


 ゴルドが笑う。


「洗い場」


「脱衣所」


「細かい内装」


「やることはまだある」


「だが完成は近い」


 職人らしい言葉だった。


「じゃあ入ってきます!」


 ミリナが嬉しそうに言う。


「感想聞かせろよ」


 ゴルドはそう言って入口近くで待つことにした。


 そして。


 女湯。


「広いですー!」


 ミリナが大はしゃぎする。


「落ち着け」


 シャルネが即座にツッコんだ。


 ルーナは浴槽を一つずつ確認している。


「こっちは少しぬるめですね」


「長湯用かな?」


 バルミナは満足そうだった。


「いいねぇ」


「混雑もかなり減りそうだ」


 エナ達も大喜びだった。


「広ーい!」


「すごいです!」


「早くお客さんに見せたいです!」


 皆それぞれ。


 新しい湯けむり亭を楽しんでいた。


 しばらくして。


 全員が風呂から出てくる。


 入口で待っていたゴルドが聞いた。


「どうだった?」


 一瞬。


 皆が顔を見合わせる。


 そして。


「最高です!」


 全員の答えが揃った。


 ゴルドは少しだけ照れ臭そうに頭を掻いた。


「そうか」


 それだけだった。


 だが。


 職人にとっては十分だった。


 その後。


 今後の予定も確認される。


「サウナは露天風呂側だからな」


 ゴルドが説明する。


「営業始まってからでも工事できる」


「だからまずは温泉棟完成が優先だ」


 ルーナとバルミナが顔を見合わせる。


「よかったですね」


「うん」


「サウナは逃げないからねぇ」


(お前ら本当にサウナ好きだな)


 桶さんは呆れていた。


 その夜。


 皆が寝静まった後。


 桶さんは久しぶりに自分のステータスを開いてみた。


(そういや最近見てなかったな)


 いつものスキル一覧。


 その中に。


 昔から存在する謎の項目がある。


【???】


【83%】


(あれ?)


 桶さんは首を傾げた。


(こんな数字だったっけ?)


 昔からある。


 だが。


 何のスキルなのか分からない。


 説明もない。


 発動方法も分からない。


(まぁ……)


(増えてるのは増えてるみたいだな)


 しばらく眺める。


 だが。


 答えは出ない。


(そのうち分かるか)


 結局。


 いつも通りだった。


 今考えても仕方ない。


 それよりも。


 湯けむり亭の完成が近い。


 今はそちらの方が大事だった。


 桶さんは静かに目を閉じる。


 新しい湯けむり亭。


 その完成の日は。


 もうすぐそこまで来ていた。

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