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転生したら桶でした  作者: 玉葱将軍


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第三十七話 温泉棟会議


 受付棟の営業が始まって数日。


 以前よりもスムーズになった受付周りに。


 常連達からも好評の声が増えていた。


 だが。


 湯けむり亭の改築はまだ終わっていない。


 むしろ。


 ここからが本番だ。



 閉店後。


 いつものメンバーが集まっていた。


 ミリナ。


 バルミナ。


 ルーナ。


 シャルネ。


 エナ。


 ミア。


 ドロシィ。


 ゴルド。


 そして。


 机の上には。


 当然のように桶さんが置かれている。


「じゃあ始めますか」


 ミリナが机に広げられた図面を見る。


「次はいよいよ温泉棟です!」



「まずは内風呂だな」


 ゴルドが口を開く。


「今のままじゃ流石に足りねぇ」


 皆頷く。


 現在の男湯は。


 大きめの浴槽が一つ。


 そして。


 かなり熱めの小さい内湯。


 二種類だけ。


 女湯は。


 それに加えて薬湯があるくらいだった。


「これをどこまで増やすかですね」


 ミリナが言う。



(まず種類増やしたいな)


 桶さんが念話を送る。


「種類ですか?」


(今ってシンプルすぎるんだよ)


(せっかく広げるなら温度とか効能で分けたい)


「なるほど」


 ミリナが頷く。


「例えばどんな感じです?」


(ぬるめの風呂)


(熱め)


(薬湯)


(深め)


(寝湯とかも面白い)


「寝湯?」


 ミアが首を傾げる。


(浅いお湯に寝転がる感じ)


「なにそれ気持ちよさそう!」


 ドロシィが食いついた。


「女性人気出そうですね」


 エナも頷く。


「長風呂しちゃいそうです」



「サウナも当然入れるんだろ?」


 ゴルドがニヤリと笑う。


(もちろん)


 即答だった。


 すると。


 ルーナとバルミナが嬉しそうな顔をする。


 完全にハマっている。


「水風呂もしっかり作りましょう」


 ルーナが真剣だ。


「今度は広めで」


 バルミナも頷く。


「大人が本気でハマってる……」


 ミリナが苦笑した。



「次は洗い場だな」


 ゴルドが図面を指差す。


「今の倍以上は増やせる」


「ありがたいですねぇ……」


 今は混雑時。


 洗い場待ちも発生している。


 かなり問題だった。



「あと蛇口ですね」


 ミリナが言う。


「今はお湯と水が別々ですけど」


 現在の洗い場は。


 お湯用。


 水用。


 二つの蛇口がある。


 温度調整は自分でやる方式だ。


(シャワーとかも一瞬考えたけど……)


(俺は桶でザバーって流すの好きだからなぁ)


 桶さんは心の中で呟く。



(でもお湯と水を混ぜて)


(ちょうどいい温度で一箇所から出るようにしたい)


「それ便利ですね!」


 ミリナが驚く。


「できるか?」


 ゴルドが考え込む。


「構造次第だな」


「ただ魔道具使えばいけそうではある」


「洗い場増えるなら便利そうですね」


 エナも頷いた。



「最後は脱衣所ですね」


 ミリナが図面を見る。


 ここがかなり難しい。


 内湯。


 洗い場。


 どちらも広げる。


 となると。


 脱衣所のスペースが圧迫される。


「単純に広げるにも限界あるんだよな」


 ゴルドが言う。


「壁壊してもスペースには限度がある」



「だったら」


 ルーナが手を上げる。


「二階使えません?」


 皆がそちらを見る。


「二階?」


「はい!」


「受付棟できたから前より部屋空きますよね?」


 確かに。


 以前よりはかなり余裕がある。



「悪くねぇな」


 ゴルドが頷く。


「脱衣所を上下で分けるか?」


「もしくは休憩スペースも作れる」


「湯上がりにゆっくりできる場所欲しいですよね」


 エナも言う。



(それ良いな)


(風呂上がりに休める場所は大事)


(畳とか置きたい)


「畳?」


 ミリナが首を傾げる。


(まぁゴロゴロできる床みたいなもん)


「絶対気持ちいいやつですね!」


 ルーナが即反応した。


「お昼寝したい……」


 ミアがぼそっと呟く。



 会議は夜遅くまで続いた。


 新しい内湯。


 新しい洗い場。


 新しい脱衣所。


 そして。


 サウナ。


 少しずつ。


 新しい湯けむり亭の形が出来上がっていく。



 だが。


 同時に。


 一つの問題も見えていた。


「……やっぱり」


「長期休業は避けられませんね」


 ミリナの言葉に。


 皆静かに頷いた。


 湯けむり亭最大の改築。


 それは。


 長い休みと引き換えになる。


 だが。


 より良い温泉のため。


 その決断は必要だった。

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