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転生したら桶でした  作者: 玉葱将軍


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第二十六話 新たな仲間


 その日の営業終了後。


 ミリナは男湯と女湯、それぞれへ顔を出していた。


「皆さん!」


 ぱんっと手を叩く。


 視線が集まった。


「今回、桶さんを探すのを手伝ってくださって、本当にありがとうございました!」


 ミリナは深々と頭を下げる。


「なので今日は!」


「お礼をさせてください!」


「夜は食事処ノボリベツに集まってください!」


「湯けむり亭代表として、ご馳走します!」


 一瞬の静寂。


 そして――。


「うおおおおお!!」


 歓声が爆発した。


「マジかよ!!」


「ノボリベツ貸切か!?」


「最高!!」


「今日は飲むぞぉ!!」


 常連達は大盛り上がりだ。


 そんな中。


 古参常連の一人が目頭を押さえていた。


「ミリナちゃんが……」


「こんな立派になってぇ……」


「お、おい泣くなって!」


「いやでもよぉ……!」


 周囲もなんとなくしみじみしている。


(親戚かお前ら)


 桶さんは呆れ半分。


 でも少し嬉しかった。


 そして。


 その日は少し早めに営業終了。


 戸締まりを済ませ。


 一行は街の食事処、ノボリベツへ向かう。


 もちろん。


 桶さんも一緒だった。


「桶さんも連れていきます!」


「そりゃそうだろ!」


「主役だしな!」


 常連達も納得である。


 そして。


 ノボリベツ到着。


 大きな座敷には、すでに料理が並んでいた。


「おぉぉ……!」


「今日は豪華だな!」


「肉だ!!」


「魚もあるぞ!!」


 皆が席についたところで。


 バルミナが立ち上がる。


「よし!」


「今日は無事解決ってことで!」


「飲めぇ!!」


「おおおおお!!」


 宴会が始まった。


 酒が飛ぶ。


 笑い声が響く。


 冒険者達は今日の出来事を盛って話し。


 常連達は風呂談義で盛り上がる。


 ルーナ達も楽しそうだった。


「シャルネさん強かったですね!」


「まぁ、あれくらい普通」


「いや絶対普通じゃないですって!」


 そんな賑やかな時間が流れていく。


 しばらくして。


 少し酔いも回った頃。


 ミリナとバルミナは店の外へ出ていた。


「いやぁ」


「しかし今後も大変だねぇ」


 バルミナが空を見上げる。


「今回みたいなの」


「また来るかもしれないよ」


 ミリナも真剣な顔になる。


「……ですよね」


「評判が広がるのは嬉しいですけど……」


「厄介なお客さんも増えそうです」


「となると、護衛は必要だねぇ」


「はい……」


 その時だった。


「なら」


 後ろから声がした。


 二人が振り返る。


 そこには。


 シャルネが立っていた。


「その役目」


「あたしにやらせてくれないか?」


「シャルネさん……?」


 シャルネは少し照れくさそうに頭を掻く。


「今回みたいなこともあるし」


「湯けむり亭、放っとけない」


「それに」


 ふっと笑う。


「あたし、お風呂好きになっちゃったし」


 ミリナは思わず笑った。


「……ふふっ」


「シャルネさんなら安心して任せられます!」


「ぜひお願いします!」


 シャルネは少し驚いた顔をする。


「即決?」


「もちろんです!」


「頼りになりますから!」


「……そっか」


 シャルネは少し嬉しそうだった。


 そして。


 宴会終了後。


 一行は夜道を歩きながら家へ帰る。


 酔っ払った常連達を見送り。


 ようやく湯けむり亭組だけになる。


 そこで。


 ミリナが改めて皆へ話した。


「えっと!」


「今日からシャルネさんが、湯けむり亭の護衛として一緒に働いてくれることになりました!」


「おぉー!!」


 ルーナ達が拍手する。


「よろしくお願いします!」


「頼もしい!」


「これで安心ですね!」


 シャルネは少し照れながら手を振った。


「まぁよろしく」


 すると。


 ミリナがふと思い出したように言う。


「そういえばシャルネさん、今って宿暮らしですよね?」


「ん? そうだけど」


「もしよかったら!」


「お家で一緒に暮らしませんか?」


「……え?」


 シャルネが固まる。


「部屋も空いてますし!」


「みんなで住んだ方が楽しいですよ!」


 ルーナ達も頷く。


「ぜひ!」


「歓迎します!」


「賑やかな方がいいですし!」


 シャルネは少し黙り。


 やがて。


 ふっと笑った。


「……じゃあ」


「宿引き払ったらよろしく頼むよ」


「はい!」


 ミリナは嬉しそうに笑う。


 その横で。


(また家族増えたなぁ)


 桶さんはしみじみ思うのだった。

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