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僕は魔法少女に変身する  作者: マナマナ


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ミアンの挑戦

 真っ白な機体がフライトを終え空港に着陸。

「懐かしい・・・って言ってもまだ一ヶ月くらい?」

 窓から見える景色は夏の色は残っていない。これから訪れる冬の色が漂い始めていた。


『当機は無事着陸しました。皆さまお忘れ物無いようお願いします』


 英語と日本語のアナウンスが流れると共に乗客達は各々の荷物を取り出したり出口に向かって歩き出す人でゴタゴタし始めている中、ゆっくりと立ち上げってサングラスを外して見える瞳にはやる気という気合いが漲っている。


「隣りで楽しかった。またどこかで会えるといいね」

 隣りにいる黒髪の女の子が話し掛けてきた。たまたま隣りになったことで話すようになっていた。彼女も一人で日本に来日していた。一週間。母方の実家にお世話になるとのこと。

 実は二人はある目的があって来日していた。けれどそのことはお互い話してはいなかった。


「うん。ん〜・・・近いうちに会うような予感がする。あたしも楽しかったよ」

「私の名前は『芥川紫苑』なんだか私も同じこと思った。名前教えてもらってもいい?」

「あたしはミアン。運命なら会えるよ。じゃあね紫苑」

 ミアンは軽く手を振って搭乗口を目指して歩いた。紫苑は後ろ姿を見送ってからようやく席を立つと機内にはほとんど乗客の姿はなかった。

「ミアン・・・いい名前。それに可愛い。気に入っちゃった」


 スーツケースを受け取って空港ロビーに降り立つと

「ん〜久し振り。やっぱり日本がいい。ただいま」

 ミアンは大きな声で旅の疲れを癒すように大きく伸びをする。そしてそのまま電車に乗って鏡一郎の家に向かった。

 

☆☆☆☆☆☆ 

 

 昼になって僕は約束通り社食に向かう。片手には弁当の入った巾着袋を持って。

 弁当を社食で食べるのは初めてのこと。

 別の誰かに弁当の内容を見られるのが嫌だとかではない。どちらかというと一人で静かに食べるのが性に合っているだけなんだ。


「混んでる。席空いてるのか?」

 備え付けのセルフのお茶を持って見回すと小さく手を振っている立花さんを確認。

 お茶をこぼさないように気をつけながらなんとか到着。

「見えたみたいで良かったです」

「目立っていたからすぐにわかったよ」

 僕達はとりあえず空腹を満たすことに専念する。

 弁当は健康と年を考慮した内容になっている。鮭がありほうれん草があり卵焼きにレンコンのきんぴら。加工肉は妻の方針でほとんど食卓に上ることはなかった。ホントはソーセージとかベーコンは好きな部類なのに・・・だからメニューの都合で出たときはいたく感動してしまうようになっていた。

 それでも健康第一で考えてくれるのは嬉しいことだ。職業柄健康でないと説得力がない。という妻の持論がある。おかげで今は健康診断では優良でいられるのだ。

 対して立花さんは・・・さすがに若さの賜物と言ったメニューだ。ミックスフライなんて正直胸焼けナンバーワンだ。油・・・若いから耐えられたのに今は敬遠したい一品になってしまっていた。

 それも仕方のないことなのだ。彼女だってあと二十年もしたら僕と同じ気持ちになっているのかもしれないんだ。


「どうしたんですか?私のご飯、変ですか?」

「いや、そんなことない。気に障ったなら謝る。ただ若さが懐かしいと思ってな。僕はだんだんそういう油物は食べられなくなってきているんだ。本当は大好きだったのに。老いというのは残酷な結果しかもたらさないのかなって」

「そういうことですか。でも、この間は唐揚げ食べていたじゃないですか」

「あれは気の迷いだった。あの後胃もたれしてクスリを飲んだんだ」

「なんか悲観的だし主任の顔には悲壮感が漂っています。生きている限り老いることは避けて通れないんです。いずれ私だって主任の気持ちを理解する日が来ると思います。だから今の内に楽しんでおくんですよ。楽しむことは若さの特権ですからね」

 その言葉に瑠璃さんの顔が浮かぶ。今頃厨房に立っていろいろ勉強しているんだろうな。

「主任?私、もしかして失礼なこと言ってますか」

「いや。それより食べて話をしようじゃないか」


 お茶はすっかり温くなっていた。

 そうだ。今度くまさんからもらった長命草茶を持参しようかな。健康維持のために。

 今は常用している薬はない。

 けれどもっと年を取ったら?


「主任」

「ん?なにかな?」

「パセリ。食べないんですか?」

「ああ、これって食べるの?ただの彩りかと」

「知らないんですか?一番最後にパセリを食べることによって口臭予防になるんですよ」

「そうなんだ。知らなかった」

「私はいつも食べてます。無駄に添えているわけじゃないんです」

「心しておくよ。ありがとう」

「健康に必要なのはどこか悪くなってからじゃないんです。日々の積み重ねなんです」

「確かにその通りだと思う」

「病気になったり怪我をするのは仕方のないこともあるでしょう。けれどちょっとだけ気をつけているだけでずいぶん違うはず。それに見たことありますよね」

「なにを?」

「中年域に入ってこんなに」

 立花さんは手を使って実際に大きさを示す。

「大きな袋に薬をたくさん持ち歩いている人。一日に飲む量だって一食分に近い人」

「ああ。確かにいるね。あれは大変だろうな。管理もだけど薬は飲み合わせによって効果が変わってしまう場合もあるから。その辺りがなかなか難しいところだよね」

「私達の仕事って一つ一つの病気に対応する薬を作っています。けれど将来たった一つでなんにでも効く薬を作ることが私の理想の形なんです」

 確かにそんな薬が作れたらどんなに画期的で素晴らしいことだと僕だって思う。

 あの有名な漫画に出てくる『仙豆』が理想の形の一つだと思える。

 しかし、現実は甘くないことも分かっている。今はそんなことよりも自分の将来を語っている若き研究員の気持ちを知れた方が喜ばしい。

 理想無くして未来に発展はないんだ。


「すみません。つい熱くなってしまいました」

 立花さんの頬が赤いのは熱くなってしまったからなのか、自分の将来像についてうっかり喋ってしまったことに対する羞恥からなのか。どっちもだろうな、と推測。

「そんなことはない。そういう思いはもっと持っていい。アイデンティティを持つことは大事なことだよ」

「アイデンティティ・・・だなんて大袈裟です」

「まあ。この辺はジェネレーションギャップと言った方がいいかな」

 とりあえず落ち着くためにお茶を飲んでから

「ちょっと脱線しましたけど本題に入りましょうか」

 脱線なんてとんでもない。これから脱線するんだ。

「その前にコーヒーでも飲もうか」

「私が持ってきます。トレーを戻すついでに」

「分かった。頼むね。ありがとう」

「ミルクと砂糖は必要ですか?」

「いや。ブラックで」

 頷くと立ち上がって返却口に向かう。後ろ姿を見て僕にはもう輝かしい若き日は遠くなったとあらためて寂しさを感じていた。

 立花さんが戻ってくる間。ジーアの映像をスマホで拾う。とにかく検索を掛けただけでもこれだけの量がある。やはり魔法でないと消すことが不可能なレベルになっている。

 どうしてあの時元の戻さなかった?

 自分で自分を責めても仕方がないのは分かっているのに、いつもやっていることをしていればこんなことにならなかった。単純なミスが後で大きくなってしっぺ返しを喰らうなんて大人なら常識なのに・・・完全に自分の判断ミス。で、ここまで広まってしまった。


「お待たせしました」

「いや。こちらこそありがとう」

 立花さんの視線は僕のスマホ画面を見ている。

「はっきり映っている」

「そうなんです。まさか女の子だったなんて」

「今までの発光現象と関連があると思うかい?」

「そうですね・・・」

 いきなり話の核心になった。立花さんはコーヒーを飲んだので僕も一口。少し煮詰まっている味がする。

「私の中ではほぼ決まりです」

「その根拠は?」

「光の色が同じが決め手です。自然界でピンク色になる単体元素はありません。炎色反応でいうとリチウムです。カリウムもピンクですがどちらかというと青色に近い。花火だと銅にストロンチウムを混ぜて色を作ります。でも花火は一瞬です。長くは光っていられない。仮にドローンでわざわざピンク色に光らせることもあるでしょう。でもドローンは画像の中には存在していません。どこからどう見てもこれは非科学なんです。なら。光の元が彼女自身だとしたら?原理は分かりませんがそう考えた方が妙にしっくりくるんです」

「ネットでは合成とかAIと言われているけど」

「朝。主任も言っていました。自分の意見ではないことも」

 立花さんの興奮が伝わってくる。もしかしてSFとかファンタジーがもの凄く好きなのだろうか。

「ああ。確かにそう言ったね」

「聞かせてください。主任の意見を」

 さて。どうしたものか。本当のことを話して後で記憶を消す。

 今の彼女は楽しいのかもしれない。自分の好きな世界が目の前にあること。空想は想像となってさらなる大きな空想になる。普段現実的な世界で仕事していることが拍車をかけているのかもしれない。


「僕もこれは現実のモノだと思って考えることにしている。そうすると疑問だらけなんだ。だから答えはない。立花さんとならいろいろ議論ができると思っている。これが現段階の見解かな」

 僕の答えを推量るような視線でコーヒーを飲んでいる。カップを置くと

「良かったです。否定されなくて」

 初めて見た。こんな笑顔するんだ。まだまだ若くて幼い。普段の彼女を垣間見た気がする。

「言ったはずだよ。僕も興味がある。彼女は何者で何をしているんだろうって」

「何か目的があったからこんな場所にいる。どうやって行ったと思います?」

「素直に答えるなら自分で飛んで行った」

 立花さんの瞳が大きくなったように見える。

「主任でもそんなこと思うんですね」

「それはそうだろう。実に簡単なことだ。こういうと変な誤解を与えるかもしれないけど、これでも子供頃は漫画とかアニメが好きだった。現実ではない空想が詰まった世界が好きだった」

「想像できません」

「今は見ていないけど昔のアニメなら結構詳しいんだ」

 あれ?こんなこと言って引かれないか?でも話せば話すほど楽しくなってくる。

「私は今でも深夜アニメは全部チェックしています」

「深夜アニメ?」

「知らないんですか?」

「ああ。家だとテレビは見てないんだ」

「ネットでも見れますから興味があったら、ぜひ」

 こんな会話をしていると年の差なんて感じなくなる。友達と話しているみたいだ。

 ずいぶん話が逸れたところでタイムアップ。

 僕と立花さんの距離がかなり縮まったような気がする。

 人との距離って些細なことで近づいたり離れたりする。


「あの今日って残業ないですよね。どこかでお茶でもしませんか」

 突然の申し出に正直戸惑ってしまう。上司と部下。男と女。おじさんと若者。

 僕達の間には目に見えない社会的壁がたくさん存在している。

 果たしてこの誘いには乗るべきなのだろうか。他の人に視線も気になる。でも無下に断ることも人として気が引ける。

「分かった。コーヒー1杯だけの時間なら」

「はい。じゃ場所はあとで連絡入れます。会社の人と会う心配はないと思います」

 どうやら僕の気持ちを察してのことなのか、それとも自分が見られることを恐れてのことなのか。どちらでも捉えることができるが、面倒は避けれるなら避ける。実に良い提案だと思う。

「了解した」

 了承すると一足先に戻ってゆく。ちょっとだけ胸がドキドキする。

 あれ?・・・・・・楽しみにしている?


 終業時間。

 僕は連絡でもらった場所を目指すため電車に乗り込んでいた。


☆☆★★★☆


 満天の星空。南十字星が見える。

「じゃあ、やってみる」

『そうそう。どこまでできるか実験だもんね』

「うん。カード達・・・あたしとミアンの願いを叶えて」

 銀色の光がエアーズロックの上で光る。まるでダイヤモンドに反射するみたいな強烈な光が弾けて世界を包んでゆく。

 ミアンはゆっくり瞼を開ける。

「う〜ん。上手くいったかな」

『もちろん。カード達は絶対だから』

「だよね。よし。頑張るぞ」

『いいぞ。その調子。頑張れ鏡一郎。これから思いっきり楽しむんだから』

「もちろん。あの子のことも気になるからね」

『じゃ早速行動あるのみ』

「だね」


☆☆☆・・・・☆☆


 いつの間にか電車で眠っていて気が付いたら目的駅に着いていて発車ベルが鳴っていた。

「あ!降ります」

 慌てて荷物を持って閉まりかけているドアの隙間からなんとか外に出た。

「あ〜・・・間一髪」

 ヤケに周りの視線を感じる。

「あらら?・・・あはは。ごめん。寝てたから!」

 ホームにいた人達に一言。あとは何もなかったかのように改札に向かった。


「ただいま・・・って誰もいないけど」

 玄関を開けると停まっていた空気の匂いがする。

「とりあえず掃除。それからお風呂、お風呂」

 鼻歌混じりで掃除機を取り出す。

「あれ?動かない?・・・あ、ブレーカーか」

 ミアンの身長ではブレーカーの位置は高い。軽く浮いて

「スイッチオン」

 家中に電気が入ると家は眠りから覚めて息を吹き返したように感じる。

「う〜ん。こんな時は魔法だね」

 掃除機は諦めてカードをドローして家中あっと言う間にキレイにしてしまう。

 ついでもアラームの音。

「さ。キレイになった。今度はあたしの番」

 ミアンは服をスルスル脱ぐと湯船に飛び込んだ。

「あ〜気持ちいい。やっぱり家のお風呂が一番落ち着く」


 二時間後。


「あ〜あつい・・・お腹も空いた」

 しばらく裸のまま身体の火照りを取る。それから着替えるとミアンは街中に向かって歩き出す。繁華街は徒歩圏内。まだ身体には熱が残っていたが夜風が冷たく次第に落ち着いてゆく。


 繁華街は予想以上の人で賑わっていた。

 ここは日本でも屈指の場所。飲食店も多いし娯楽施設だって多い。夜になると子供の姿なんてほとんどない大人の街。

 普段は近寄ることはないが久し振りの光景に楽しく感じていた。


「う〜ん。迷う。何食べよう」

 立ち止まって周りを見る。たまたま目に入った看板にトンカツの文字。

「向こうじゃ食べてなかった。よし。ここで決まり」

 ミアンは暖簾をくぐるとカウンター席に案内される。

「何にしようかな」

 ウキウキした気分でお品書きを見る。

「お嬢ちゃん日本語上手いね。一人?」

 カウンターの中の大将らしきおじさんが話しかけてきた。

「うん。心配しなくてもお金は持ってるよ。迷う〜いろいろ食べたい」

「どこから来たの?」

「オーストラリア」

「そうか。最近は外国のお客も増えて英語苦手だから日本語喋ってくれるのはありがたいし日本語読めるのも嬉しいねぇ」

「う〜迷う迷う」

 大将の声は耳に入っていないミアン。

 トンカツは外せない。それと海老フライも食べたい。ホタテフライもいいなぁ・・・

「食べたいもの言ってみな」

「トンカツ。海老フライ、ホタテフライ」

「じゃあそのミックスにしてやろう」

「え!いいの?」

 嬉しい提案につい銀色の光がチラチラ舞う。

「いいって。可愛いねぇ」

「楽しみだな。お腹空いた」


 ウキウキした気持ちで出されたお茶を飲んでいると

「え!もう・・・せめて食べてからが良かったな」

 ゆっくり立ち上がって

「ごめん。おじさん。あたし行かないと」

「どうした?もうできるぞ」

「迷惑かけちゃったね。お金置いてくから」

 カウンターに適当に代金を置くと

「なら三分。いや、二分。包んでやる」

「ん〜・・・ま、いっか。ありがとう。もらうね」


 揚げたて熱々の揚げ物の包みを持って再び繁華街を歩く。

「えっと・・・いた。あっちか」

 反応に従って歩く。

「ここだよね・・・やっぱり」

 ゲームセンターにはたくさんの人達がごった返している。

 その中をミアンはかき分けるように入ってゆく。

 奥の方では一際たくさんの人が集まっていた。


「おい。いきなりやって来てもう三連勝か」

「おい。次お前いけよ」

「やってやろうじゃん」

 そんな声が飛び交っている。

 ミアンは様子を窺っていると次に対戦した男の人はあっと言う間に負けていた。画面には『K・O』という文字が見える。

 対戦型格闘ゲーム。勝った相手は反対側にいるから姿は見えない。

 けれど誰が座っているか。そんなこと日本に来た時から分かっている。

 相手の行動は把握した。それに向こうはミアンの存在に気が付いていない。

 まだ問題はなさそう。

 そう判断してゲーセンを出るミアン。

「今夜はまだいいか。それよりお腹空いた。食べてからまたお風呂入ろっと」 


★★★★★・・・☆


 立花さんが指定した場所は新宿歌舞伎町の中にある喫茶店だった。

 正直こんな場所。若い頃だってほとんど来たことがなかった。貼付されている地図をたよりに歩くけれど歩きにくいことこの上ない。避けて歩くか避けられて歩くか。自分がシューティングゲームの機体にでもなっている気分がする。


「えっと・・・ここを曲がる」

 いくら人目に付かないとは言えせめて駅で待ち合わせることはできなかったのだろうか。

 そんなことを思いながら角を曲がると

「ん?」

 なんだかとても懐かしいものを見たような気がする。ついもう一度確かめたくなって早足になる。

「あの銀色の髪・・・」

 今時銀髪なんて珍しくないが気になったのはそこじゃない。銀色に光るエフェクト。こんなことは一般の人にはできない。

「まさか、ミアン?」

 帰ってくるなんて一言も聞いていない。そもそも自分から連絡するようなことはしない。チャットだってなかなか既読がつかないくらいなんだ。


「・・・見失ったか」

 どうする?連絡してみるか?

「いかん。待たせてる」

 確認は後でもいいだろう。それより今は待ち合わせに向かうのが先決なんだ。


「ここって・・・」

 目に映る店は喫茶店なんかじゃなかった。

「名前も場所も合っている。本当か?」

 一応入ってみよう。もし違ったら謝って出ればいい。

 地下に降りる階段。突き当たりにあるドアを開けると喧噪と煙草の臭い。


「あ、ここです」

 手を振る立花さんを発見。どうやらここで正解らしい。

「悪いね、ちょっと迷った」

「ここなら会社の人は来ないですよ。私の行きつけなんです」

「そうなんだ。てっきり喫茶店だと思っていた。まさかパブだなんて」

「すみません。でもいいですよ。騒がしいですけど秘密の会話をするには持ってこいです」

「それは森の中に木を隠すようなことかな」

「まあそんな感じです」

 声の調子はいつも以上に明るい。

 それもそうだろう。彼女の前に置かれているのはどう見てもカクテルだ。

「もしかして立花さんってお酒が好きとか」

「そうですね。飲み会だとソフトドリンクしか頼まないので会社の人はびっくりするんじゃないかな。ホントは大好きなんです」

 お酒好きの若い女性。瑠璃さんと重なるのは仕方のないことだな。

「すまないが僕は飲めないんだ」

「大丈夫です。コーヒーも置いてありますよ。注文します?」

「そういう約束だから」

「分かりました。私もおかわりするので一緒に。言っときますけどみんなには内緒ですよ。普段は大人しいキャラで通してますので」

「分かった。誰にも言わないよ」

 意外な一面。驚きもあるが素の彼女の方が人として魅力的に感じる。

「どうしてそんなキャラを作っているの?」

「知りたいですか?」

「まあ、聞いてしまったっというのもある。でも無理にとは言わないよ」

「気になります?」

「少しは」

 僕達の前に注文した品が届く。

 コーヒーはちゃんと豆から挽いていることが匂いで分かる。インスタンドではこの匂いは出せない。

「立花さんは何を飲んでいるの?」

 キレイなピンク色をしたカクテル。

「これはですね。ルビースターって言います。今日はピンク色を中心に飲んでます。まだ二杯目ですけど」

「へ〜ピンク色のカクテルってそんなにあるんだ」

「ありますよ」

 ピンク色・・・相当ジーアのことが気になっているみたいだ。

「じゃあ乾杯でいいのかな?コーヒーだけど」

「そういう約束ですから」

 僕達は静かに乾杯する。

 この一杯が終わるまでにどんな話ができるのか。

 そんなことを思いながら最初の一口を飲む僕がいた。

明日は七夕。天気が怪しいけど。

読んでいただきありがとうございます。

今年は梅雨が長い?近年の気候が暑過ぎてよく分からなくなっている私です。

そしてまた台風。心が痛みます。

良いことがありますよう。明日は天に祈ります。

また変な展開になっているし、どうなるのか私にも分からん。

てな感じで進めていきますので次回も読んで・・・欲しいな。

また来週です。よろしくお願いします。

明日ですよ。織姫さんと彦星さん。

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