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僕は魔法少女に変身する  作者: マナマナ


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50/51

一人でもやれること

再開が遅くなった(←自分の中で)。マナマナです。

本当は章を分けて書きたかったのに・・・

やり方が分からず断念。というか出来るのかな?

よって

一旦完結したのですが『続き』ということで始めさせていただきます。

一人でも多くの方に読んでいただけたら幸いです。よろしくお願いします。


 「・・・はぁ・・・はぁ・・・」


 秋雨前線の影響で大雨な天気の中、ジーアはずぶ濡れになっていた。

 今夜もなんとかドリーチェを倒すことが出来た。

 見上げても何もない真っ黒な空がジーアの瞳に映っている。

 今日で何体倒したのだろう・・・正直疲れていた。


 ミアンがいないから時間を止める魔法がない。だから戦いの時は人目が気になるようになっていた。


 それでも最後には全部元通りにするのだから問題はないのだけれど。


「全てを元通りに・・・スラーン」


 やっとの思いで空中に飛んで、そして呪文を唱える。ピンク色の光がジーアを包む。その光はどこか弱々しい光だった。

 ジーアが再び目を開けた時にはいつもの世界が、いつもの生活がある。


 なのに・・・どこか造られた世界のような気がする。

 

 雨は相変わらず激しく地上に降り注いでいる。ジーアも変わらず雨に打たれていた。

 しばらく世界を見てやっと家路に着く。

 部屋に戻るとジーアと少し会話をして元に戻った。


 「・・・はぁ〜」

 『疲れた』という言葉すら口にするのが億劫だった。タオルで濡れた髪を拭く。

 そのまま机に向かって今日のことを振り返りながら卓上カレンダーを見る。

 みんなそれぞれの場所に行ってしまってから二週間が経っていた。


 (・・・もうそんなに?)


 歳を追うごとに時間の速度が加速しているように感じるのは僕自身がそれなりに歳を取ったという証拠だろうな。

 

 なぜ歳を取ると時間に対してそんな感覚になるのだろう。

 それには幾つか仮説がある。その中で一番分かりやすいのはこれだろうな。


 最初に1メートルくらいの真っ白なタスキみたいなモノを連想して欲しい。幅は問わない。その真っ白な状態を生まれたばかりの時間感覚にする。

 これが最初の一年という時間に長さと仮定する。

 そして一年経ったら1メートルのタスキのちょうど半分の位置に縦線を引いてみよう。

 その線を生きた年数と経験値とする。さらに一年。三歳になった時には1メートルは三分の一になるように縦線を入れる。

 そうやって歳を重ねる度に縦線が増えて一年の幅が狭くなる。狭くなるということは当然一年の感覚が短くなっている。

 だから今の僕は実年齢で四十二分割されている。自分の一年の長さが短いことを実感せざるを得ない。という理論だ。

 だからくまさんに至ってはもっと一年を短く感じているはず。


 こんなのはただの理論だ。人によってはやはり一年という時間の感覚はまちまちになる。


 ぼんやりと一人になったこの状況のことを考えていた。


 ふと時計を見る。もうそろそろ明日になろうとしている。意識を現実に戻すと浮かぶ言葉。


 明日も仕事だ。


☆☆☆☆☆☆


 いつもの時間に起きるとまだ疲労が抜けきっていない。そろそろ疲労回復のサプリメントの導入を真面目に考えてもよさそうだ。

 さあ。今日も・・・頑張ろう・・・気持ちを切り替えて部屋を出た。


 気がつくと定時になろうとしていた。


 今夜も残業を覚悟していたがどうやら回避できそうだ。有り難い。これならゆっくり身体を休めることも出来るし、家族と一緒に夕食を取ることも出来る。

 妻に連絡を入れると想定外だったみたいで用意はないとのこと。娘と二人ですでに出掛けているとのことだった。合流しようかとも考えたがそれぞれでという結論で終わった。

 

 窓から見える沈みゆく夕陽を見ながら『何を食べようか』なんてことを考えていた。


 時間になって他はどんどん帰宅してゆく。

 僕はこのチームの責任者だから最後に鍵を掛ける必要があるからみんなが帰ってゆくのを静かに見送っていた。やはりみんなの話題は夕食がほとんどを占めていた。


 やっと一人になって帰宅準備を始める。せっかく早く帰れるんだ。こんな日はドリーチェには出て欲しくない。というかここのところ連続だったから今夜あたりは勘弁してもらいたい。

「今夜・・・静かだといいな」

 つい本音が言葉になる。もしかしたら日本ではなく別の国で出現しているかもしれない。

 今まで応援要請がないってことはみんなそれぞれ上手くやっているってことでいいのだろう。


 定時を三十分ほど過ぎてようやく会社を後にする。道には家路へ急ぐ同じようなサラリーマンが同じ方向、つまり駅に向かって歩いていた。

 スマホを見ながら、とか、電話しながら、とか、同僚と話しながら、とか。みんなそれぞれに自身の生活を楽しんでいる。

 一人ぼっちの今の僕にはそんな風に映る。

 そう言えば友達と呼べる仲間との会話なんていつ以来していないのだろう。

 最近でいうと仲間と言ったら魔法少女くらいになる。


 あらためて意識すると僕はずいぶん孤独な人間になっていることに気がついた。


 人それぞれいろいろな人生がある。そういうことで片付けてしまうにはあまりにも自分が今の世界に馴染んでいないみたいに感じるのはきっと一年後のことを知っているからなのかもしれない。

 いや違う。

 僕は今の自分の環境を周りと比べて嫉妬しているんだ。じゃなかったらこんなに他の人のことが気になるはずがない。


 ・・・寂しいんだ。そのことをちゃんと受け止めないとならない。


 僕が魔法少女でみんなの未来を守る立場だということを心のどこかで叫びたいのかもしれない。一日一日経つ度に運命の日に近づいていることが知らず知らずの内にストレスになっている・・・のかもしれない。


「はぁ・・・」


 自分でもビックリするくらいの溜息が出た。それに道ゆく人が何人か振り向いた。

 彼らの目には『仕事と人生に疲れた中年男』として映っていることだろう。


 駅に到着して改札を通ろうとした時だった。ふいに出汁のいい匂いが鼻を翳める。その匂いの元を探していると、なんとエキナカに新しい立ち食い蕎麦屋があるではないか。

 いつの間に?

 普段感心がなかったせいか突如現れた蕎麦屋に引き寄せられるように入口にあるメニューを覗き込んでいた。

 出来上がったばかりの店舗は当たり前だがとても清潔で店員さんも感じの良さそうな男とアルバイトなのか、とても若い、たぶん高校生?の女の子、二人の姿が見えた。

 それになかなかの繁盛ぶり。カウンターのほとんどが客で埋まっていた。

 そう言えば何年か前。駅ソバはいろいろな規制ができたおかげでかなりの数が姿を消していた。僕だって何度か利用したことあった。それなのに無くなってしまった時は

(これも時代の流れ)

 なんて達観しようとしていた。

 しかしあたらめてその姿を見るとあの頃を思い出して気がついたら暖簾をくぐっていた。


「いらっしゃいませ。食券お願いします」

 アルバイトの声が聞こえる。とてもよく通る声だ。その声で自分が店内にいることを把握した。本当に無意識だった。

 だが、入ってしまったからには後戻りはできない。それに僕は自分で夕飯を用意しなければならないという課題もあった。

 こうなってしまったのも何かの縁。ということで言われた通り食券機に向かう。

 さて・・・何を食べようかな?

「お、あった・・・懐かしい」

 ボタンを押して定期券でチェックを済ませる。実にスマートだ。

「お水はセルフなので自分でお願いします」

 またしても声が聞こえる。ここも言われた通りの動きをする。

 昔みたいに一人入れるスペースを見つけると軽くお辞儀をして身体を滑り込ませる。両隣にいたのは歳の近いサラリーマンだ。だからか、当時の勝手を知っている。なにも言うことなく僕はカウンターに場所を確保することが出来た。

「はい。お待ちどう」

 調理担当の男の人が手渡してくれた。まだ食券を出していないのに・・・なんて思っていたが今がどんな時代かを考慮すると答えは簡単に出てくる。

 食券機のボタンを押した瞬間、情報は厨房に届いているのだろう。少しでも提供時間の短縮と人の回転を早くするためのシステムが構築されているはず。

「あ、ども」

 どんぶりを受け取ったあとに手元にある食券を渡す。このやり取りも実にスマートだ。

「いただきます」

 出来立ての湯気がこれでもかと立ち昇っている。このビジュアルを見るのは本当に久し振りだった。

 手を合わせてからの流れで割り箸を取って顔の正面で割る。

 お、キレイに割れたな・・・こういうのって気持ちいいな。さて

「お・・・うまい」

 どんぶりを持って先ずは出汁を一口。澄んだ色の出汁はとても素直な味をしている。次いで


 ずずず・・・ずず・・・ず〜


 歯ごたえがいい蕎麦だ。味もしっかりする。正直久し振りというのもあってこの時点でかなり満足している。

 では。いよいよメインにいこうかな・・・まだ衣がしっかりとしているコロッケを箸で一旦出汁の中に沈めてから崩す。

 僕は立ち食いというとほとんどをコロッケ蕎麦に捧げていた。出汁を含んで崩れたコロッケの食感と味が好きなのだ。ここで再び巡り会えたことに感謝した。

 自分でも驚くほど瞬く間に平らげてしまう。懐かしさと空腹が後押しをしているみたいだ。

「ごちそうさま。美味かったです」

 颯爽と店を出る。後ろから

「ありがとうございました」

 と、実に気持ちの良い返事をいただいた。

 食べ終わったらさっさと出る。実にスマートではないか。

 今はスマート溢れている。自分自身さえスマートで軽やかになったみたいだ。


 店を出て改札を通ろうとしたけれど良い気分はまだ続いている。久し振りの感覚をもう少し噛み締めていたい。急に一駅分歩きたくなった。今なら冷たい秋の北風だって気にならない。むしろ内側から熱さが滲み出てくる。

 それに今すぐ帰っても家には誰もいないのだ。

 少しの解放と少しの自由が僕に羽根を与えてくれたみたいに心を軽くしてくれた。


 しかし。

 歩き始めてすぐに後悔することになる。今になってさっきの蕎麦が満腹中枢を刺激する。血糖値が上がる。正直歩ける自信がなくなってゆく。仕方ない。

「戻るか」

 踵を返して戻ろうとした時だった。スマホが震える。あの時から初めてのことだ。

「お。誰だ?」

 見てみると有栖だった。これってもしかして協力要請なのか?

「もしもし。神谷です」

「お久し振りです。今、時間大丈夫ですか?」

 まだ二週間しか経っていないのに懐かしいし声が聞けたことにテンションが上がる。

「ああ、久し振り。もう帰るところだよ」

「よかった。私も今起きたばかりです」

「そっか・・・時差か。そっちは順調か?」

「二週間ですよ。でも問題はありません。ドリーチェもまだ現れていないです」

「そうなのか?こっちはあれから連日で・・・」

「それは大変でしたね。わたくしは魔法少女のリーダーとしてみなさんの近況を把握しておくことが必要だと思いまして。それで神谷さんを最初に他も順次連絡してみようかと思っています。時差を考えると難しいですね」

「そうなのか。応援要請ではないんだな」

「はい。今のところ平和に時間が流れています」

 いつものお嬢様的口調に安心している自分がいる。

「それは良かった。それに元気そうだ」

「はい。とても充実した毎日を過しています」

「羨ましいよ。こっちはこれから夜がやってくる。今夜はゆっくりしたいよ。正直疲れてる」

「そうですか。ゆっくり出来るといいですね。でもわたくしから言わせてもらうなら神谷さんこと羨ましいです。実践で鍛錬できるわけですから。わたくしは自主練しか今のところやっていませんし」

「そっちの方が有効だと思うな。こっちはドリーチェを倒すのが精一杯で自己の開発なんてできていないのだから」

 会話が楽しい。こんなに喋ったのは本当に久し振りなんだ。簡単に言葉が溢れてくる。

「それで全員の賛同が取れたらグループチャットを展開しようと思っています。その点について神谷さんはよろしいでしょうか」

「もちろん。その方が情報が共有できる。僕は賛成だ」

「分かりました。結果はあとでお伝えします。それではそろそろ朝食の時間になりますので失礼します」

「・・・そっか・・・ああ。分かった。がんばれ有栖」

「はい。もちろんです。それでは」

 有栖の方が先に電話を切った。僕はまだ繋がっているかを確かめるみたいにスマホをじっと見つめていた。けれど電話は確実に終了していた。

 時間にして五分となかったと思う。心が喜んでいるはずなのに現実に目を向けるとさっきよりも三割増しで寂しさが込み上げてくる。

 仕方ないんだ。

 僕達は別々になりたくて今に至ったわけじゃない。

 一番しっかりしないとならない立場なのに今は一番寂しがり屋のただの疲れた中年じゃないか。

「よし。こうなったら魔法の追求だ。もっとできることを増やさないと」

 早足で改札を抜けると発車間際の電車に無理矢理飛び乗った。おかげで周囲から冷たい視線を浴びせかけられることになった。行儀の悪いサラリーマンとして見えたとしても早く家に帰りたかった。


 家に帰るとまだ二人は帰って来ていなかった。

 僕はその足で洗面台に行って顔を洗った。水道水にはもう夏は感じられない。冷たくキリっとした水が蛇口から出てくる。冷たい水は僕の心をすっきりとさせてくれた。

 部屋に戻って早速ジーアに変身する。誰もいないから気を使うことなく無事変身は終了。そして窓を開けて上空を目指す。ここまでくれば人目を気にすることはないだろう。


「こんばんはジーア」

 鏡に向かって話し掛ける。

「こんばんは。ドリーチェじゃないよね」

「うん。これから自主練しようかなって」

「なんだかずいぶんやる気みたいね」

「当たり前。今のままじゃ絶対に勝てない。私一人でもシャハトクラスを倒せないとならない。それは他も一緒だと思う。もっと強くなりたい。もっと上手く原子を使いたい。もっと・・・」

「分かった。そこまで言うなら二人で考えましょう」

「うん。魔法原子以外にも既存の原子で何かできないかって。一人だから単体元素になる。今はレパートリーが少な過ぎる。『オリハルコン』は欠点が多いし『アダマス』に至っては集まる確率が低過ぎる。すぐには使えない。それに時間も魔法力も使う」

「確かに。凄いのは分かっている。けど隙が出来過ぎる。集めるまでに攻撃されること間違いなしってとこかな」

「まあね。でも最近は『オリハルコン』でなんとかなってるんだけど」 

「だったらそれでいいんじゃない?」

「だから。欠点が多いって言ったよね。それに元素単体ってなるとほとんど集めるだけで終わってしまう」

「そうなの?」

「そうなのってジーア自身のことじゃん。例えば水素は集めやすいよ。でもそれを爆発させるためには熱源が必要になる。ナトリウムみたいに。でもナトリウムは時間が掛かり過ぎる。ティーナがいれば簡単なんだけど私にはそんなことできない。まさかライター持って自分で着火するなんてドリーチェだけじゃなく私だって一緒に吹き飛ぶってことなんだよ」

「あはは。それ面白い」

「面白い?なに笑ってるの?」

「だって・・・自分で・・・ライター?その姿を想像したらおかしくて」

 ジーアも同じように想像した。

 確かにどこか情けないというかカッコ悪い。そんなの絶対スマートじゃない。

「あのね。笑い事じゃないの。現実なのよ」

「困ったもんね」

「あのね。それ私の台詞だと思うんだけど。ちょっと質問してもいい?」

「なにかしら」

「グローってさ水がメインだよね」

「そうね」

「それ以外にもイナズマを操ったりサイコキネシスみたいな能力がある」

「うらやましい、とか?」

「違うよ。そんなんじゃないよ。思ったのよ。ジーアにも原子以外の特殊能力ってないのかなって」

 しばらく沈黙が訪れる。ジーアは答えを待っているしかない。

 どれくらい時間が経っただろう。そろそろ帰らないと、なんて思い始めた時になって

「ごめん待たせたね」

「うん。待ったよ」

「今ね。自分に刷り込まれている記憶を探ってたの。魔法原子のこともあるしジーアの言う通り私には私も知らない能力があるのかなって」

 そんなことしてたんだ。

 これだけ待ったんだ。ちょっと・・・いやこれはかなり期待できる返答があるのではないだろうか。ワクワクして言葉を待っていると

「なんかあるみたいなんだよね」

「?なにそのホワホワした答え」

「だから。記憶がぼんやりとしか出てこないのよ。イメージになるけど」

「いいよ。言ってみて」

「えっとね・・・なんて言ったら伝わるかな・・・私に見えるのは波紋?波?それが伝わるみたいな。それから使うのはステッキじゃなくて口・・・かな」

「口?・・・かな?」

「うん。口?・・・あ・・・声?」

「声?・・・ますます分からない。今こうやって喋っていても何も起こらないよ」

「う〜ん・・・それ以上は私にも分からない。でもヒントはあったね。よかったよかった。それに見つけるのはジーア、あなたってこと」

「は?ジーアは?私任せってこと?」

「も、もちろん・・・私だって・・・考える」

「は?なによその歯切れの悪さ」

「だ、だからさ。お互い見つけよう。それでいいかしら」

 この口調。絶対にやる気ないな。

 口、それと声。

 とにかくヒントはもらえた、でいいのかな。あとはこれがどんなものか見つけるだけだけど・・・

「じゃあね。今日はもうおしまいでいいでしょ。またね」

「そのつもりだけど。なにか分かったら教えてよね」

 ジーアは笑顔のまま消えてゆく。ったくなんなのよ。せっかくのヒントなのに。

「何か変だった。なにかあったのかな・・・帰ろ」

 ジーアは家に向かって降下してゆく。


 ・・・口・・声・・ヒントはこれだけ。ホントなのかな?見つけてくれたんだ。信じてみよう。

 

 私にも原子以外に出来そうなことがあることが分かった。

 どんな正解が待っている?どんなことが起こるのか。ドリーチェにとって有効ならいいけど。

 そんなことを思っている内に部屋に到着。


 もう一度。変身を解くためにジーアにアクセスをする。

「え?なにこれ」

 鏡に映し出されているのは真っ黒な色だけだった。

「ちょっとジーア。どうしたの?返事して。何が起こっているの?」

 呼び掛けに応じる声がない。

「どうしよう・・・これじゃ元に戻れない。ジーアお願い出てよ、顔を見せてよ」

 何度も何度も声を掛ける。けれど声を掛けるほど鏡の中の黒色が濃くなってゆく。

「困ったな・・・そうだ!」

 時間を見て時差を計算する。授業中かもしれない。でも緊急事態が起こっている。ちゃんと説明してちゃんと謝れば有栖には分かってもらえる。

 スマホを出して電話を掛ける。

「え?・・・圏外って・・・そんな」

 有栖が駄目なら瑠璃さんは?鏡一郎は?

「・・・圏外・・・そうだ。くまさんなら」

 くまさんに通じるように想いを込めて話し掛ける。

「ブーア・・・繋がって。お願い」

 しばらく話し掛けていたが

「なんで?聞こえてないの?あ、変身してないのか?電話・・・・・・駄目だ。一体なにが・・・」

 呆然とその場に座り込む。何がどうなっている?考えても答えは出ない。ステッキもスマホも手から滑り落ちて床の上で乾いた音を立てて転がる・・・コロコロ。

 

 心の中には不安と困惑と・・・恐怖が心を支配し始める。

 時間の流れが重く感じる・・・でもなんで?今は変身しているのに・・・


 一体何が起こっているの?その言葉だけが頭の中をグルグルしている。


「こんばんは。ジーア・・・・・・いやジーアの依り代よ」


 どこからか声が響いて聞こえてくる。


「まさか・・・・・・・ドリーチェ?」

 

 急いで空中に飛び出して周りを見た。声の主の姿は見えない。見えるのは鏡と同じ黒い色をした世界。こんなの見たことなかった。


「こっちです。お久しぶりです。覚えていますか?」

 遥か上空。こちらを見ている視線があった。真っ黒の中に二つの光る緑色。

 その光がジーアに向かって近づいてくる。

 やがて・・・姿が現れる。

「あ・・・まさか・・『ヘーン』」

「わらわの名前。覚えておいていただけて光栄です」

 扇子で隠れている口元が笑っているのが分かる。

「戦いは好みません。少しお話したくて」

「は、話?・・・」 

「そう。これからのこと。お時間ありますよね。ぜひ、そう言ってくださいませ」


 ヘーンの静かな笑い声が世界中にコダマしている。

 ジーアはただ黙って固唾を飲むしかなかった。

気がつくと5月ですって。今までのんびり過しておりました。

読んでいただきありがとうございます。

原子って単体より混ぜてナンボです。

主人公の言葉通り出来ることが少ない・・・勉強不足という声もある。

だから・・・まあ・・・はい・・・いろいろ悩みました。

これからの展開をお楽しみに?私も楽しみながら書いていきます。

次回もよろしくお願いします。

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