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僕は魔法少女に変身する  作者: マナマナ


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魔法少女の夏休み 13

 小気味いい音がする。何か野菜を刻んでいる。トントン、トントン。


 キッチンの扉を開けるとハーブの匂いがする。グツグツと寸胴鍋から湯気が立ちこめている。さらに何かを焼く音と匂い。ジーアのお腹が景気よく音を出す。


       グウゥゥゥゥゥゥ


「お帰りっていうか今凄い音したよ」

 ミアンの出迎えにジーアは顔を真っ赤にして更にお腹を手で押さえながら

「聞こえた?」

「聞こえたって音じゃないよ。ご飯の後はいよいよ本日のメインイベントだから着替えないで顔だけでも洗ってきたら?はい、これ」

 ミアンは笑いながらグローとブーアに、そしてジーアにもタオルを手渡した。


「いい匂いだな、何を作ってるんだティーナ」

「・・ブーケガルニを落としてっと・・・アクアパッツァ完成っていうかブーア知ってる?」

「いや分からん。が、とにかく美味そうだ」

 ブーアは鍋の傍にまで行き、蓋をずらして中を覗き込む。

 隣でティーナは水着の上からエプロンをして料理をしている。角度によっては裸エプロンにも見えそうな、そんな風にジーアは思って見ていた。


 ティーナはミアンの要望通りエビに着手し始める。

 近所のスーパーでも見かけたことのないほどの立派な車エビを慣れた手つきで剥き始めた。


 背ワタを見事に抜いてから形を整えて、小麦粉、卵、パン粉の順にエビを潜らせ文字通り衣をあっという間に纏わせてしまう。確かに料理の腕はありそうだ。

「後は揚げるだけ。さ、いよいよティーナ様特製のタルタルいっちゃおかな」

 その言葉にミアンは両手を挙げて大喜びしている。


 グローは横目で見ながら

「シーフードで攻めてきてます。さっきのことがまるで夢のようですわ。現実ってこういうことなんでしょうか」

 今度は溜息をついて顔を洗いにキッチンを出て行ってしまう。ジーアも後を追い洗面台に向かった。


「グロー待ってよ」

「ジーアはどう思ってます?」

「うわ〜・・・広い洗面室。私の部屋くらいある」

「聞いてます?」

「ああ、ごめん。で、何の話だっけ?」

「さっきまであんな体験しておいて海のもの食べれるのかって聞いてるんです」


 グローの気持ちも分かるジーアだが、ここは一つ気持ちの切り替えが必要だと説明する。


「まあ・・・そうだね。グローの気持ちも分かる。でもね、私達は自分達の生活の場所に戻ってきた。だから食べてあげないと折角の料理が台無しになっちゃう。びっくりだけど美味しそうだよ。ティーナってあんな特技持ってたなんて」

「ま、まあ、確かに・・・その通りです・・・それにティーナの意外な面が見れて驚きました。正直、美味しそうです。けど・・・わたくしは躊躇してしまいます」


 お嬢様はかなりセンシティブになっている。やはり私が頑張らないと、とジーアは続ける。


「でしょ、でしょ!私達は無駄な殺生をしてるわけじゃないんだよ。有り難く海の生き物の命を貰ってるの。だからさ、グローの気持ちも分かるけど食べてあげないと可哀想だよ」


 ジーアの言葉の真意を考えている。グローなら大丈夫。そう思うジーアだった。


「・・・それもそうですわね。・・・おかげですっきりしました。ねえジーア」

「どうしたのあらたまって」

「あ、あの、一度しか言いませんから・・・その・・今日はありがとう」

 そう言うとグローは頭を下げた。ジーアはキョトンとしてから驚いて

「どうしたのよ一体・・・グロー・・・」

 グローは顔を赤くしながら下を向いたまま

「わたくし、ジーアに助けてもらってばかり。海のことだって、今だって。わたくしはまだまだ子供で知らないことがたくさんあるのです。だからジーアが仁さんがちゃんとした大人で安心してることが多いんです。ドリーチェとの戦いだっていつも冷静で・・・そんなわたくしでもリーダーとして認めてくれて・・だから今言わないとと思ったのです」


 ジーアはなんだか可笑しくなって


「なんだ、そんなこと」

「そんなこと?」

 グローは顔を上げるとじっとジーアのことを見て

「そ。そんなことよ。だって実際そうなんだし」

 ジーアはふと洗面台にある鏡を覗き込んで

「でもね。私もおんなじ。みんなに感謝してる。魔法少女に感謝してる。いつもいつも同じ毎日に少しだけ変化をくれた。魔法少女になったおかげで見えないものが見えるようになった。大人ってね、孤独なんだ。社会ってその孤独な大人が集まって作っているの。だからいろいろな職業があったり、すれ違いがあったりする。子供はやらないのに大人は戦争とかしちゃうの。だからさ、これから大人になって社会に出ていく有栖や鏡一郎、それに社会に出たばかりの瑠璃さんにはそういう間違ったことをしない社会を作って欲しいって思ってる。私だってそんな社会が来ないことを祈っている。けど不思議。大人になっても気付かされることってたくさんあるの。ううん、むしろ大人になってからの方が多いかな。確かに人生経験は上だけど私はみんなと何も変わらない。だから知ってることは教える。知らないことを埋めていくことが大人への一歩なら私は自分の知識や経験を出し惜しみしない。それにグローにだって教えてもらうことだってあるしね。だからお互い様。

 今はこうやって同じ魔法少女でいる。でも元に戻れば大人と子供に分かれてしまう。有栖はそのまま変身してるからだけど、私はもうあの頃には戻れないの。だからかな、この姿になると人生をやり直してるような錯覚にとらわれちゃって、つい元の自分を忘れてしまう。私、もう一度子供に戻りたいのかな・・・戻れるものなら戻りたいのかな・・・戻りたい・・」


 ジーアの言葉に反応したのだろうか。


「きゃあああああああああ」

 グローが突然大きな声を出した。


 僕は慌てて振り向く。


「駄目!こっち向かないで!」


 僕はもう一度鏡を見てみるとそこに映る姿に意識が真っ白になる。


「ひえええ!な、何で元に戻ってる?何でだ!」


 僕はジーアの時に着ていた水着をそのまま引き伸ばしたような格好で大変なことになっている。反射的にグローは僕のホッペをビンタする。僕の目の前で星が舞った。


「ウガ!イタタ、叩かなくたっていいじゃないか!」

「変態変態!やっぱりこの変身には無理があるんです。早く何とかして下さい!」

「な、何とかって・・・・」

 その騒ぎにキッチンの方からこっちを窺おうとする声が聞こえてくる。僕は慌ててバスルームに逃げ込む。ドアの外からみんなの声が聞こえてくる。


「まいったな。もう一回変身しないと」

 とりあえずジーアに文句を言うのは後回しにして急いでステッキを振る。バスルームはピンク色の光に包まれていく。

「よ、よし。変身完了。これで・・・・ん?・・ん!・・きゃあああああ」

「どうした?ジーアか?」

 ブーアがドアを開けるビロビロに伸びた水着を着て鼻血を出して倒れているジーアの姿があった。


「・・・おいおい、一体何があったんだ?ジーアは倒れてるし、グローは泣いてるし」

 ブーア達三人はただ事態の終息を見守るしかなかった。


 ここ・・どこだろ?

 暗い所をふよふよと漂っている。あれ?何してんだろ私。すると今度は急に視界が開けてくる。あまりにも眩しくて思わず目を閉じる。


「ジーア、聞こえる?」

 私はその声に瞼を少しずつ開けていく。その光に慣れていく。


「その声・・ジーアなの?」

「ようこそ、アルガトネオルに」

 私はその言葉に目を思いっきり開いて

「こ、ここがアルガトネオル?な、何で私ここに来てるの?」

 驚いている私にジーアはにっこりと笑って

「ジーアが私に海や夕焼けを見せてくれたから。今度は私からお返し。これは私のイメージをジーアに見せているだけだからホントのアルガトネオルにはいないけど、これが私達魔法少女の世界アルガトネオルなの。どう?」

 どこまでも続いている果てのない世界。銀色の雲なのか草原なのか分からないけどその光に、優しい光にまるで心が洗われるような気分になる。そうジーアに言う。

「きれいな世界・・・ジーア達が住んでいる世界。私、好きだよ。こんなきれいな世界があるなんて知らなかった。海の世界、魔法少女の世界、そして私達人間の世界。みんなみんなきれいで美しい。ジーアありがとう見せてくれて。ねえ、私達の世界はどう?」

「楽しそうな世界。私達の世界にないものが溢れている世界。そして命が輝いている世界」

 そしてジーアは少しだけ伏し目がちになって

「私も行けたらいいのにって・・・でもいいの。仁が変身していれば私にも何となく伝わるから。私も楽しかった。海の世界、そしてキト達。ジーアがみんなと楽しい思い出を作ってくれたから。だから私にも大切な思い出。私こそありがとう」

「私達二人の思い出でもあるのよ。私、魔法少女になってよかった。ジーアが私を選んでくれて本当によかった」

「うん。だって波長が合ったから。私ね、見つかりそうよ。私の願い事」

「ほ、ほんと?それって何なに?」

 ジーアはそっとジーアの唇に指を立てて

「ひ・み・つ」

「秘密?ケチだなぁ・・・・あ!」

「あら、どうしたのかしら?」

 私は急に思い出す。

「どうしたもこうしたもないでしょ!どうして変身解いたのよ!おかげでグローにビンタされたんですけど」

 ジーアはくるりと後ろに振り返って

「あはは・・・ごめんね。戻りたいって言うから、てっきり」

「てっきり?うっかりでしょ!」

「まあまあ、私だって、その、勘違い?ってあるし、ね」

「もしかしてジーアって結構おっちょこちょいとか?」

 また振り返る。私達は向かい合う。

「あ、あら意外なこと言ってくれるわね。うっかり戻りたいなんて言う仁の方がおっちょこちょいなんじゃないの?」

「私のせいにするの?」

「仁こそ私のせいにするの?」

 しばらくお互いをジッと見つめ合う。しかしだんだん可笑しくなって

「ふ、ふふふ。そんな可愛い顔で睨まれたら許しちゃうよ」

「あはは、私って結構可愛いのね、自分で言うのもなんだけど」

「ほんとほんと。じゃあまたねジーア。私、帰らなきゃ」

「うん。これからもよろしくね、仁」

「もちろん!ところでどうやったら戻れるのかな?」

 ジーアはにっこりと微笑んで

「そんなの決まってるじゃない」

「ま、まさか」

 私、本日二度目の星を見ました。

エビとは。

読んでいただきありがとうございます。

私的には食べられるために存在しているように思えます。←身勝手

さてさて皆さまはどんなエビ料理がお好みですか?

いろいろありますよ。

さて。料理法はいろいろありますが、エビだって種類がたくさんあります。

皆さまは何エビがお好みですか?

私は個人的衝撃を受けたのはウチワエビです。うむ。いろんなのいるな。

あ、こんな話しばかりですみません。

本題に戻ろう。次回もよろしくお願いします。

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