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怪奇討伐部Ⅵ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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まずは腹ごしらえ?

第三十二話 城へ




「作りすぎだって!ヘラぁ~!」

「こんな人数なんだ、これくらい余裕だろ」

「……パーティーか?これ」

「うるさいうるさい!黙って食え!」

「わっ、すっごく美味しい」

「さすがヘラね!この一ヶ月、部屋の中見てたんだけど、いい茶葉とか置いてるからどんな感じなんだろって楽しみにしてたのよ」

「うっま……!」


 皆がそれぞれ感想を言いながら食事をする。皇希が教えてくれた『オムライス』や『グラタン』、『お鍋』や『お好み焼き』などなどを作ってみた。みんな喜んでくれてるみたいで嬉しい。


「それで焦げたフライパンや食器が散乱してたのか……」

「りょ、料理は苦手なの!」

「これでよく一ヶ月過ごせたな」

「あなたのお姉さんが手伝ってくれたおかげよ」

「姉ちゃんが料理を!?!?み、見たかった……」

「いつもヘラが作ってるもんねー!」


 プチトマトを冷蔵庫に入れながらムジナが笑う。……おいおい、ずっと持ってたのかよ、アレ。


「でもずっと作り続けて、こんな一流シェフみたいな味になったんでしょ?ある意味才能よ、ヘラ」

「そ、そうかっ?!」

「えぇ。だいたいの人は同じ味で満足したり、時間がなくて渋々その味のままで料理の腕を磨かなかったりする人が多いの。だからヘラみたいな子供のうちから料理の腕を磨くのはとてもいいことだと思うわ」

「そういう考え方は、料理以外にも通じることがある。ほら、戦いだってそうだ。昔からの習慣が役に立つときもある」


 月光がパンを俺に手渡しながら微笑む。

 戦いも、か……。いつか戦わなくてすむ暮らしに戻りたいな……。


 シフと一緒にいることは叶わなくなっちゃったけど……。……せめてムジナとだけは。ムジナとだけ……は……。

 …………。本物のムジナは、もうどこにもいないのかな。


「……ヘラ?」

「何でもない。ごめん。俺も食べる」

「無理するなよ」

「元々食事のためにここに来たってのもある。体を休めるのに無理もあるか」

「確かにそうだな!」


 レインはオムライスを美味しそうに食べる。前一緒に食事したと言っていたムジナに好みを聞いておいてよかった。


「ねぇ、ヘラ。おにぎりって食べたことある?」

「おにぎり……?」


 おっ、おにぎりか。と月光もこちらを見る。桜花や月光たちにとって身近な料理なのだろう。


「んー、じゃあご飯残ってる?」

「ある」

「じゃあ、これをしゃもじですくって……」


 てきぱきと見本を見せてくれる。綺麗な三角だが、アレンジ次第で花の形とかができそう……?


「これはね、お弁当として持ち運ぶことができるのよ」

「そうなのか!?」

「えぇ。便利でしょ?」

「おぉ……おおーっ!!」


 画期的すぎる!正直人間界と魔界のどっちが技術的に進んでるのかわからなかったが、確実にあっちが上だ!


「はは、桜花もすっかり仲が良くなったなぁ。感心感心」

「月光さんは桜花さんのこと知ってたの?」

「もちろん。火雨家は有名だったからな」

「じゃあじゃあ、リストとかも知ってるのかなー?」

「リスト?」

「うん!リストもね、江戸時代?の人なんだよ」

「そうか。なら知ってるかもね」

「おー!」


 __________


「おにぎりは持ったか!」

「持った!」

「水筒は!」

「オレが持つ」

「ムジナ、プチトマトは持ったか?」

「持った!」

「武器は万全か!」

「問題なーし!」

「行くぜ!!」

「おおーっ!!」


 ヘラの点呼に皆が声を上げる。まるでままごとのようだが、やることはガチ。『恐ろしい』の言葉以外に何と例えればいいのだろうか。


「はぁ……お前らさぁ……いつもこんなのなのか」

「そうだ。月光、作戦は覚えているな?」

「一人放り出されて狂気状態で暴れ回る」

「そうだ」

「いつ聞いても酷い内容だな」

「うるせぇ。活躍に期待してるぞ」


 ヘラが月光おじさんと話している。作戦の確認のようだ。作戦というかあれはただ暴れ回るだけなんだけど。


 それにしても、よくもまぁ少人数で攻め込もうと思ったな……。


「レイン?なにボーッとしてるんだ?お腹いっぱいで眠いのか?」

「いや……考え事してただけ」

「レインがぁ?考え事ぉ?」

「な、なにありえないみたいな顔してるんだよ!失礼な!お、おお、オレだって考え事くらいするわ!」

「冗談だって」

「タチの悪い冗談だな、おい!?」


 ……と返してみたはいいが、ヘラの顔は少し暗いままだ。


「……なぁ、ヘラ。心配事があるのか?」

「……い、いや……」

「言ってくれないとわからないだろ」

「……。本当に勝てるのかってこと」

「言い出したのはお前だ。やり抜く以外あるか」

「ない」

「なら行くぞ。やるしかないんだ」

「レイン……」

「今はムジナのことを忘れろ。ムジナだってカリビアのことは大切なはずだ。だから妙な動きはしないと思う」

「……もし、もし、だ。ムジナが裏切ったりして、結界がいつまで経っても解除されない場合はテレポートでこっちまで来い。そのために月光には思いっきり暴れろと伝えている。作戦を中止することはありえない。幸い、ヘッジさんはクノリティアにいるらしく、目は届かない。どんな手を使ってでも、完遂する……!いいな!」

「わかってる。あとは覚悟の問題だった。今、決めたよ」

「頼りにしてるぞ、レイン 」


 去っていくヘラを見届け、さてと、と振り返る。


「お前はお前で何だその格好?!」

「なにって戦士」

「戦士~~っ?!」

「そうよ」


 メリアがヘラの本棚から引っ張ってきたのはファンタジー系の小説。その挿し絵を見せてきた。


 鎧を着た、戦闘向きの女性だ。


「魔界といえばファンタジー!そんなところの戦いといえば、こうでしょ!」

「そんなことねぇよ!!」


 まったく、何の話をするかと思ったらよくわからない話を……。まずなんでそんな本をヘラが持ってんの!?


「ま、強そうだしこれで行くわ」

「マジか」

「でも武器は光線銃なのよね。剣とこれ、どっちが強いのかしら」

「それ」

「えー」

「嫌なら聞くなよ!」

「わかったわよ、光線銃にするわ。呪いで跳ね返ってきても知らないわよ」

「それは……可能性はあるな」

「その時はその時よね!」


 ____一時間後。

 勘付かれないように少し離れたところにテレポートした。ここから別行動だ。作戦通り、ムジナとヘラは結界破りに出る。


「気を付けろよ!二人とも!」

「当然!そっちもな!」


 そう言って一瞬で消えた。


「早いなぁ……。キリル、無理してついてこなくても良かったんだぞ」

「いや。カリビアを一人にしたのは、オレたち刑事だ。せめて助け出すことくらいはしないといけない。それに……刑事だぞ?人質を助けるのが仕事だ。あと人間として当たり前だ」


 そういえば、マリフを追っていたのは黒池だけでなく、キリルも同じだった。一人でなんとかできるほどの火力を持った銃を持っていたそうだが、マリフの確保は黒池に譲った。マリフを送り届けるには人間界に戻ることが必要不可欠なので、こっちにいたいキリルにとっては不利なものだったのかもしれない……。


「わかったよ」

「それで。あれが噂の呪術師か」


 かなりの人影が見える。数は……四十くらい。一人で八人くらい倒せればなんとかなりそう。


「よし、出____」

「まだだ」

「がくっ!?何でだい!?」

「まだ遠いだろ。もうちょっと近づいてからだ。チームワークが大切なんだよ」

「おじさん、暴れるのが仕事なんだけどなぁ」

「先に走ってったら、追いかけるのはこっちなんだよ」

「そうか……そうか……」


 ……しばらくして。


「よしGO!」

「イヨッシャア!!」

「腰やるなよー!……って聞こえてないか」

「獣ね」

「人間、野生化したらあんな感じになるのかな……」


 桜花とキリルが呆れている。二人とも、まずあの人がご老人だということを忘れていないだろうか。


「来たぞ、反逆者どもだ!」

「ここで落としてやる!」


 炎が飛んできた。よく見ると、紫色に輝く板に……なんて適当なことはやめよう。そう、これは炎を結界で包んだもの。途中で消えないし、ガラスのように鋭いので、その鋭いやつが当たったあとに中身が爆発するという最悪な二段構えの攻撃だ。オレは剣で攻撃する派なのでこれは使わないが、遠距離型の呪術師は一味も二味も追加させた攻撃なのだ。まったく、一体誰がこんな攻撃方法を教えたんだ。


「よっ!ほっ!はっ!へっへーん、当たらねーよ!」

「……大丈夫か?」

「そっちこそ」

「牛の怒りを思い知れー!」


 避けるオレと、撃ち落とすキリル。桜花は斬って、メリアは光線銃で焼いた。


 最初より飛んでくる炎が少ないのは、向こうで月光が大暴れしているからだ。


「よしよし!これはなんとかなりそうだな!」

「それはどうだろうな」

「!!」


 煙に混じって殴ってきた者がいた。オレは咄嗟にレイピアを体の前に持ってきてガードする。しなやかなレイピアだったが、結構ヤバい曲がり方をした。

 オレの体は後ろに押し返され、踵が土を集める。


「っくぅうっ!」

「さすが悪魔だな」


 ふん、と前髪を払ったのは、銀色の髪と縦に長い瞳孔、薄黄色の瞳を持った……サメだった。


「サメ!?なんで!?」

「俺は一ヶ月前、あっちでふんぞり返ってるヌタスに負けたんだ。仲間になれって言われて連れてこられた。俺は今あいつに世話になってる。すまねぇな。俺の力不足で」


 サメは話しながら格闘術の「臨戦態勢」を組んだ。サメがいるなんて予想もしなかった。だが、相手が格闘術を仕掛けてくるのであれば、こちらは遠距離攻撃をすればなんとかなるはずだ。サメは元々はただのジンベエザメと聞いた。なら、魔法の耐性があるわけない。


「ふーん……魚の分際で、悪魔に挑むなんて……百万年早いぜ!」


 オレは下がったその場からあいつらと同じ結界炎を放った。


 だが、サメは耐えた。サメはニヤ、と笑う。


「どうした?もっと来ないのか?」

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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