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「逃げますの?」
小首を傾げる女王。宗孝もそれに便乗して彼我をあけた。
その刹那。光の柱が、女王を中心にして立ち上がった。
美鈴が物品を取り出せるのは、なにも神話の世界に限定されている訳ではない。彼女が読んだことのある物語、聞いたことがあるお話でも、その能力の範疇である。今取り出した物品は、SF小説から取り出した定点衛星型の地上攻撃兵器。その数100機。たった一点、女王をめがけて掃射された百発の一撃は、直径1キロメートル、深さ6キロメートルの大穴を一瞬で掘り下げた。
直撃を避けるため女王は、即座に防御結界と魔力の加速を行使しようとしたが、宗孝が封鎖の結界をはりそれを妨害した。彼女の使う光線よりも強力な光の柱が、直撃面積に比べてあまりに矮小な女王を飲み込む。
さらに追撃するように、巨大すぎる宇宙戦艦や、要塞、大量の大量破壊兵器。巨大すぎる茸雲がそそり立とうとするが、それを吹き飛ばすさらに強力な兵器が次々と顕現して、女王めがけて投下されていく。
いかなる神話の終焉ですら、これほどの純粋な破壊を示したものはないだろう。その威力はもはや世界を置く空間までもゆがませていた。
遠未来の超破壊兵器が一度に投入された。しかし、女王はもう一度現れる。
「さすがは、わたくしのお姉様ですわ」
10キロメートル以上も離れているにも関わらず、高く澄んだ声が耳元で言われたように聞こえた。
余裕こそないものの、女王は立つ。豪奢なドレスが見窄らしいぼろ切れになり果てて、彼女自体も大小の怪我や火傷を負っていつだけだ。
美鈴とよく似た猫目を僅かにつり上がらせて笑う。
「まだだよ」
予想以上のダメージのなさに、シャルロットも宗孝も驚きを隠せない。
もう一度世界が揺れ、巨大な顎が女王を食らう。世界を取り巻き、終焉と共に暴れて世界を海に沈めるとされた大蛇だ。しかしその腹が大きく膨れ上がり、破裂する。
女王が数百の円形の結界を展開していた。にっと笑みを浮かべた彼女を、さらに巨大な銀の狼が上顎で空を、下顎で大地を貪りながら一緒くたにしてかみ砕いた。
頭蓋が内側から砕かれ、狼の脳髄をまき散らせて女王が飛び出す。鮮血に染まった、ぞっとするほど美しい顔を美鈴に向けるが、その頭をかち割るように、神界の大宮殿が顕現して叩きつけられた。
さらに追撃は続き、建物どころか、天界そのものが叩きつけられ、次は広大な無数の煉獄を納める地獄が叩きつけられた。
もはや瓦礫すら存在しない荒野を、さらに超科学の破壊兵器がその周囲を焼き付くす。
「同じ手は、通じませんわ」
閃光が美鈴に向け放たれる。防ぎ散る。
「お姉様。お礼ですわ。お受け取りくださいな」
純粋すぎる破壊の慟乱から、光の玉が十数個飛び出した。




