表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
77/82

72


「逃げますの?」


 小首を傾げる女王。宗孝もそれに便乗して彼我をあけた。


 その刹那。光の柱が、女王を中心にして立ち上がった。


 美鈴が物品を取り出せるのは、なにも神話の世界に限定されている訳ではない。彼女が読んだことのある物語、聞いたことがあるお話でも、その能力の範疇である。今取り出した物品は、SF小説から取り出した定点衛星型の地上攻撃兵器。その数100機。たった一点、女王をめがけて掃射された百発の一撃は、直径1キロメートル、深さ6キロメートルの大穴を一瞬で掘り下げた。


 直撃を避けるため女王は、即座に防御結界と魔力の加速を行使しようとしたが、宗孝が封鎖の結界をはりそれを妨害した。彼女の使う光線よりも強力な光の柱が、直撃面積に比べてあまりに矮小な女王を飲み込む。


 さらに追撃するように、巨大すぎる宇宙戦艦や、要塞、大量の大量破壊兵器。巨大すぎる茸雲がそそり立とうとするが、それを吹き飛ばすさらに強力な兵器が次々と顕現して、女王めがけて投下されていく。


 いかなる神話の終焉ですら、これほどの純粋な破壊を示したものはないだろう。その威力はもはや世界を置く空間までもゆがませていた。


 遠未来の超破壊兵器が一度に投入された。しかし、女王はもう一度現れる。


「さすがは、わたくしのお姉様ですわ」


 10キロメートル以上も離れているにも関わらず、高く澄んだ声が耳元で言われたように聞こえた。


 余裕こそないものの、女王は立つ。豪奢なドレスが見窄らしいぼろ切れになり果てて、彼女自体も大小の怪我や火傷を負っていつだけだ。


 美鈴とよく似た猫目を僅かにつり上がらせて笑う。


「まだだよ」


 予想以上のダメージのなさに、シャルロットも宗孝も驚きを隠せない。


 もう一度世界が揺れ、巨大な顎が女王を食らう。世界を取り巻き、終焉と共に暴れて世界を海に沈めるとされた大蛇だ。しかしその腹が大きく膨れ上がり、破裂する。


 女王が数百の円形の結界を展開していた。にっと笑みを浮かべた彼女を、さらに巨大な銀の狼が上顎で空を、下顎で大地を貪りながら一緒くたにしてかみ砕いた。


 頭蓋が内側から砕かれ、狼の脳髄をまき散らせて女王が飛び出す。鮮血に染まった、ぞっとするほど美しい顔を美鈴に向けるが、その頭をかち割るように、神界の大宮殿が顕現して叩きつけられた。


 さらに追撃は続き、建物どころか、天界そのものが叩きつけられ、次は広大な無数の煉獄を納める地獄が叩きつけられた。


 もはや瓦礫すら存在しない荒野を、さらに超科学の破壊兵器がその周囲を焼き付くす。


「同じ手は、通じませんわ」


 閃光が美鈴に向け放たれる。防ぎ散る。


「お姉様。お礼ですわ。お受け取りくださいな」


 純粋すぎる破壊の慟乱から、光の玉が十数個飛び出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ