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グランドだった荒れ野を挟み、対峙したそれは、途方もない年月を、戦い、途方もない勝利の名を築き続けた最高位の将。生きる魔法と戦争の歴史そのものが今目の前にいた。
「よろしくてよ、アッガレッシオン将軍。ウンミット・インメル・ゲヴィネン・ヘンリッヒケント=全軍団長が全力を持って、お相手いたしますわ」
薫の体が震えた。
恐怖や恐れではなかった。
これが、戦争快楽ッ!
圧倒的強者が目の前にいる。ただの自分では、殺されたことも、殺した事も気付かれずに踏みつぶされていたいたに違いない。
それでも今は戦える。この圧倒的な強者と戦える。
これが快楽と言わずに何と言おうか。
「いざ、勝負なり!」
「戦争をしましょう、将軍。すべてを賭けて、戦争をしましょう」
両者前に出て、剣を掲げた。
言葉は必要ない。
胸に闘いの誓いを刻む者同士、この瞬間に血潮が沸き立つ。
「勝利の栄光をわが手にッ!」
「勝利の栄光をわが手にッ!」
十万の軍団と数千の軍団が衝突した。
神によって踏み荒らされた大地で、戦いは始まった。
いくつもの世界で繰り広げられた、神と神に抗った者たちの戦いが、この世界で再演される。
「ゆか。二人を連れて行きなさい。ここは、私が引き受けるわ」
魔導コンピュータで情報処理と、己の僕に命令を下しながら薫が言う。
「で、でも……」
隣で唖然呆然としていたゆかが戸惑う。
「これは、私の戦い。あなたたちにもそれがある。行きなさい」
「……わかった」
うなずくゆか。両手に美玲とシャルロットを抱きしめた。
「絶対、負けないでね」
美玲が言うと、微笑を浮かべた。
「ふふ。大丈夫、あの首は、私だけのものよ」
余裕の笑みを浮かべていた。彼女なら、きっと大丈夫だ。
ゆかに抱かれて、美玲たちは飛び立つ。
三人には、見せられない。
「たのしい。楽しいわ、アッガレッシオン将軍。ありがとう、感謝しているわ。この世界を攻めに来てくれて」
この幸福感は、本来なら目覚めてはいけなかった。
この戦いが始まって、もう何人の民間人が死んだか。
どれだけの犠牲が生まれたか。
考える必要はない。薫の手元には資料がある。わかっている。
自分がどれだけ不謹慎で、あまりにも愚かな感情を芽生えさせてしまったのか。
分かっている。だからこそこの瞬間が愛おしい。
敵が攻めてくる。それをいなして、反撃する。戦陣を切るアッガレッシオンを取り囲み、攻撃を加える。
「あなたも、楽しいでしょう?」
玉座の形をしたコンピュータの上で、四十八のモニターを眺める。




