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そしてすぐにめちゃくちゃになった店内から自分達のカバンを取る。
「と、とにかく、ここから離れたほうが良いんじゃない?」
提案してみると、薫はそうねとつぶやいて立ち上がった。
「ここじゃ、落ち着いて話もできないし。あなた、ヴィエダーだっけ? 話聞かせてもらうからね」
はいとしゃくりあげながら答えるのを聞いて、薫はヴィエダーの手を引いて立ち上がらせた。
「みーちゃんも、大丈夫?」
ゆかが尋ねると、顔色の悪い美鈴は頷いて見せてみたが、明らかに強がりである。ゆかは彼女の分の鞄も持ち、なおかつ美鈴の手を引いて立たせた。
「本当にみーちゃんは軽いねぇ」
その変わらない事実にゆかは頬を緩ませ、思わず抱きしめたい衝動にかられたが我慢した。
「行きましょ」
埃を払いながら薫がさっと周囲を見渡し、迷わず壊れた建物の正面玄関へ向かう。それに三人が続き大通に出ると、そこは無人だった。
先ほどの凄惨な現場が嘘ではなかったと証明するように、抜け殻のようになった警察官の死体が落ちている。ゆかと美鈴は喉の奥まで出かかったそれを無理やり飲み込み何とか堪えた。
先頭を行く薫は、顔を背けただけで別段異常はなく、かわりにヴィエダーは小さな声で犠牲者たちに詫びていた。
「エゴね」
冷たく言い放たれた言葉にヴィエダーは顔をゆがめ、一緒になって美鈴も悲痛な色を浮かべた。
そして無言のまま早足でその場を離れて、最短ルートで近くの公園にまで来ていた。
「そういえば、みーちゃん」
ずっと黙っていたゆかが口を開くと、物思いにふけっていた美鈴は少し遅れて反応した。
「その格好もすごくかわいいよ! もって帰りたいくらい!」
そういって抱きしめようとするが、またなんとかこらえた。
美鈴の服装は、先ほどから変わらず魔女なのか騎士なのか分からないドレスのままだ。おかげで妙に視線が集まる。その事にやっと気づいた美鈴は赤面して俯く。恥ずかしそうにガントレッドの手でスカートを握った。
「それに、君もなかなか……」
ゆかは少し尖った顎に手を当てて、しげしげとヴィエダーを見る。視線に戸惑うヴィエダーは、落ち着きなく視線を彷徨わせた。
「みーちゃんの次くらいに可愛いなぁ。ふむふむ」
上から下まで嘗め回すように見た後、ゆかは遠慮なくヴィエダーを抱きしめた。
「ふぇえっ!?」
情けない悲鳴を上げるが、ゆかは気にも留めず腰や肩を撫で回して、長衣の下の柔らかい体を十分に堪能しつくした。
「よし、萌えた」
ゆかは満面の笑みを浮かべるが、ヴィエダーはぐったりして動かない。
薫はそのやり取りを見たが美鈴の時のように止めはしなかった。近くのベンチに座り、三人にも勧めた。
「じゃあ、説明してもらえる?」
口調とは裏腹、その雰囲気は完全に強制するようだった。ぐったりとゆかの腕に抱かれて座ったヴィエダーは顔を引き締めて、言葉を選んだ。
「はい」
ヴィエダーが頷くと、美鈴は顔をすくと立ち上がった。
「どうかしたの?」
ゆかが怪訝な顔で尋ねると、美鈴は緊張で青ざめた顔でまっすぐに公園の中央にある噴水の方を睨んでいた。




