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家の勝手口から外に出ると、竹林になっている。建物の裏手がすぐ小さな山になっているからなのだが、そこも美鈴の家の敷地である。
疲れ果てて眠っていたはずなのだが、突然夜中に胸を掻くような焦燥感にかられて飛び起きここまで出てきてしまった。
しかしいったいその原因がなんなのかは分からなかった。
寝巻のままでは寒かった。一度震えて、自分の薄い肩を抱いた。
そもそも美鈴は寒さには滅法弱い。このまま引き返して戻りたくなったが、どうしても気になって仕方ない。
ぐっと目を凝らして周囲を見渡す。何かあるようには見えない。しかし、何かある気がする。突き動かされるように山の奥へ進んでいく。
慣れた場所とは云え、月明かりすらないのでは足元すらおぼつかない。何度もつまずきながらも、奥へと進んでいくと、すぐに頂上に着いた。
『ミレイ!? なんでここに!?』
血相を変えた声に驚いて、周囲を見渡す。
昼間に来れば、ほとんど隆起のないこの街を見渡すことができるこの頂は、たまに大岡など数人が手入れをしているので、少し開けている。小さなベンチなどもあるのだが、そこに何かいる。
「こ、このまえの?」
そういえば名前を聞いていなかったと思いだし、先日出会った不思議な生物の元に近寄る。
『ダメだ! 逃げて!』
小動物が、恐ろしいほどの速度で美鈴に体当たりした。その直後に風の塊が彼女の頭があった場所を通り抜けた。
のけぞり倒れて、うめく。したたかに尻を打ち付けてたため、下半身が痺れいている。
『追っ手が来てる! 早く、君は逃げて!』
すぐ近くに着地した小動物は、すぐさま美鈴に背を向ける。毛を逆立てて鋭い牙を剥いて何かに向けて威嚇する。
「な、なに!?」
目前に何かいる。黒い、影。
以前のよりも、桁違いの威圧感を覚えて、全身が震え上がった。竦みあがって立ち上がれない。
『何してるんだ! 早く逃げて!』
叱咤が飛ぶが、じっと睨まれて意識がそこに集中してしまう。
黒い影の三つの赤い眼光が、美鈴の思慮を奪っていた。小動物の声も、何も聞こえない。
『精神汚染!? まずいダメだ!』
小動物が美鈴と影の間に割り込み、彼女の体を押し倒した。人形のように反応のない美鈴。小動物は彼女の顔を覗きこみ、じっと目を覗き込んだ。
『ダメだ! こいつの話を聞いちゃダメだミレイ!』




