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第10話 秘密のおまじない

 空のおしゃべりはだいぶ上手になった。

 それはそれでとっても楽しいんだけど、その分苦労も増えた。なぜかっていうと子どもは疑問に思ったことを何でも質問してくるから。親代わりのアタシとしては、いい加減な返事ができないので困る。

「ね。ママ。お空はどうしてあおいの?」

「ん~ 地球が青いからかなぁ?」

「ちきゅうってなあに?」

「ち、地球? うーん。なんていうか……『玉』だね」

「たま? たまってなあに?」

「ボールのことよ。すっごく大きなボール。その上に空やママが住んでるの」

 それを聞いて空は部屋の隅に転がっていたビニール製のボールの所までトコトコ歩いていく。で、お気に入りの赤い車をその上に乗せようとする。当然、車はつるっとすべって落っこちる。空は何回かそれを試してからあわてた様子でアタシに報告しに来る。

「たいへん。おっこちちゃうよ! どうしよう」

 マジで困った顔をする空のリアクションに萌える。

「だいじょうぶ。地球は大きいから落ちないんだよ」

「おおきいとおちないの?」

「そだね。それに引力があるからね」

「いんにょく? いんにょくってなあに?」

(しまった……墓穴掘っちゃた)

 後悔しても遅い。何かを説明するたびにそこで使った言葉がまた新しい質問のネタにされちゃう。だからキリがない。

「ね、ママ。いんにょくってなあに?」

「それはね……こうやって……」

 アタシは空をぎゅっと抱きしめて頬ずりした。で、苦しい説明。

「引力っていうのは、こうやってくっつく力なの!」

「ママ、くしゅぐったいよぉ」

 アタシの腕の中で空が身をよじってケラケラ笑う。

(セーフ。うまくごまかせた……)

 こんな感じで空の質問責めにはホント苦労する。アタシ自身が色んなことを知らなさすぎるのもあるんだけど。それはちょっと反省。けど、あとでこっそりネットで調べたりして親になってからの方がよっぽど勉強してるかもしんない。 


 ある時は『合言葉』って何か聞かれてしまった。

(意味は分かるけど……使わないよね? ふつう)

「ねえママ。あいことばってなに?」

「そうだね……けど難しいなあ。ママも使ったことないし」

 どこで聞いてきたんだか…。

「ね、ママ? あいことば。あいことばは?」

 空の催促に苦し紛れの回答を考えた。

「合言葉っていうのはね。2人だけに通じる合図のことなんだけど。たとえば……そうねぇ」

 アタシは思いつきで手のひらでハートの形を作った。で、空にも真似させる。

「空もやってみて。ほら、まず右と左の手のひらを向かい合わせにして……親指をピンと斜め下に伸ばしてチョコンってくっつけるの。そうそう。で、残った指4本をいっしょにおじぎさせて……軽く曲げてみて。爪と爪を合わせる感じで。ほらハートマークができたでしょ」

「ほんとだ。ハートだ」

 空のちっちゃな手で作ったハートは超可愛い。せっかくだからこれを使って何かできないかなって考えた。

「ね。いいこと考えたよ。あのね。空とママしか知らない特別な『おまじない』を作るの。他の人には内緒。空とママだけの秘密」

「そらとママだけのひみちゅ?」

「そう。ひ・み・つ」

「そらとママだけ~?」

 空はとっても嬉しそう。

 そこでアタシが考えたおまじない。向かい合ってからまず胸のあたりの高さに手のひらでハートを作る。次にお互い右手だけ前に「どうぞ」って感じに差し出して合体。ひとつのハートにする。最後に残った左手で自分の胸をポンポンとふたつノックする。

「覚えた? もう1回やるよ」

 ゆっくりと一連の流れをおさらいする。何回も練習して何とかスムーズにできるようにする。

「ね、空。これを2人だけの『おまじない』にしよ」

「どういういみなの?」

「ふふ。離れててもハートはひとつ。いつも一緒だよって意味」

 それにはアタシの願いが込められていた。このアルバイトが終わった後でも、空がアタシのこと思い出してくれますようにって。

―― 離れててもハートはひとつ…。


  *  *  *



 親が見せたいものと子どもが見たいものは違う!

 これはTV番組の話。アタシはかわいい動物たちが出てくるような番組を見せたいって思う。なのに空はこないだ見たなんとかレンジャーっていうヒーローものがすっかり気に入ってしまったみたい。男の子だからしょうがないのかもしれないけど、教育上、戦ったりするのは避けたいのが本音。

 でもケン兄ちゃんは男だから空の味方をする。

「いいじゃんか。必ず正義が勝つんだから」

「でも……戦うのはちょっとどうかな。空の場合、そっちの方の能力ばっか強力になっちゃたりしない?」

「うーん。それはあるかもな。しかし、正義の為に戦うという思想は必要だと思うよ」

「思想って……なんか違うような気が」

「いや。その方が人類の味方になるんじゃないか?」 

 それってちょっと単純すぎるような気がする。

 アタシたちがそんなことを相談してるなんて知らずに空は夢中でヒーローの真似をしてる。「じゃおレッド!」って決めのポーズをとったり、「ぱおぱおビーム!」とか技の名前(?)を出して攻撃したりしてくる。普通の子ならそこで「うわっ!」ってやられたフリをすればいいんだろうけど、空の場合はそのうち本当にビームとか出しちゃいそうで怖い。

(その時はその時でケン兄ちゃんに代わってもらおう! うん)


  *  *  *


 空をお風呂に入れるのはアタシとケン兄ちゃんで交代ってことにしてる。今日はケン兄ちゃんの番でアタシは着替えとバスタオルを持って待機中。空はお風呂で遊ぶのが大好き。にしても今日は長い。

(何やってんだろ?)

 待ちくたびれてアタシが脱衣所に向かうと浴室で2人がすごく楽しそうにはしゃいでるのが耳に入った。

「ね。まだ出ないの?」

 脱衣所から声をかけても反応なし。すりガラスの向こうで空の笑い声が響く。

(何がそんなに楽しいんだか)って思ってたら浴室の中でケン兄ちゃんが叫ぶ声。

『行楽園遊園地でボクと握手!』

『あくしゅ! あくしゅ! きゃはは』って空も大笑いしてる。

 アタシはちょっとジェラシー。で、気になって聞いてみる。

「ねえ。何でそんなに大笑いしてるの?」

 すると中からケン兄ちゃんの声。

『空とチンチンで握手してるんだ~』

「は? って……ちょっ、ちょっと!」

 思わずガバって浴室の扉を開けてしまう。湯気で良く見えないけど…。

(ゲッ!)

 空とケン兄ちゃんが……股間と股間をくっつけてる…。

「ぎゃあー! やめてー! 空のオチンチンが腐るぅ~!」

 信じらんない。男ってバカだ。ホントにホントにバカだ! てか、いい歳して子どもになんてこと教えてんのよ!


  *  *  *


 ごはんを食べてる時のこと。

 はじめてみる納豆ご飯の前で空がかたまってるとケン兄ちゃんがしきりにそれを勧める。

「空~。騙されたと思って食ってみ? マジで旨いよ」

 それでも空は変な顔をして納豆とにらめっこしてる。

 アタシも納豆はキライではないけど積極的には食べない。

「無理しなくていいわよ。ねぇ空」

「いいや。絶対、ここで初体験しておくべきだ! はっきり言って納豆食わない奴は人生の半分を無駄に過ごしてるね!」

(それって暇を持て余している人が言うセリフじゃないけどね……)

 そこまで勧められてもどうしても手が出ないらしい。空は困ったような顔をして訴える。

「だって……ケンたんの足とおんなじ『におい』がしゅる……」

 そのセリフに吹いた。

(ナーイス、ツッコミ~)

 そうそう。無理に嫌いなものを食べなくてもいいんだよ。本にも書いてあった。子どもの味覚は大人よかずっと鋭いから辛みや苦みが何倍にも感じられてしまうんだって。だから、好き嫌いを無理に直させるより今はおいしいものを食べさせるのが一番!

(ま、アタシの料理はまだまだだけど……)


  *  *  *


 空と過ごす毎日は本当に楽しい。

 赤ちゃんの時は大変なことばかりで正直、子育てなんてやるもんじゃないなって思ってた。けど、今はそれが嘘みたいに感じられる。『手がかかる子ほど可愛い』なんて言葉があるらしいけど、最初の頃の苦労があったから今がとっても充実してるんだろうって思う。

 ただ、アタシたちに残された時間は少ない。依頼人との約束の日まではあと十日あまり。なので、限られた時間の中で空に色んなことを経験させてあげようって思う。

 それが今のアタシにできる精一杯の愛情表現なんだ…。



 朝から晩までめいっぱい空と過ごしているおかげで持田君のことはすっかり忘れてた。てか、自分でも意外だった。別にきちんと『別れた』わけじゃないんだけど電話とかメールとかが無くなっても、もうどうでも良くなってる。やっぱドラッグストアで目撃した時の予感が当たってたんだなぁってぐらいにしか感じない。だからキョウコから電話があるまでほとんど忘れてた。

『ね。美央。分かったよ!』

「ん? 何が?」

 アタシがそんな調子で返事をしちゃったんで逆にキョウコが拍子抜けする。

『何がって持田君のことだよ』

「ああ……そっか。そうだね」

『こないだの花火大会。あの時の相手はサッカー部のマネージャーだね』

「ふぅん。そうなんだ」

 わざととぼける。ドラッグストアでのことは誰にも話してない。

『だけどね。このマネージャーがくせもんなんだわ』

「そうなの?」

『堀川って3年生なんだけどね。同じ学年のキャプテンとくっついたり別れたりを繰り返してるらしいんだ』

(え……てことは持田君が本命じゃないの?)

 キョウコの新情報は続く。

『なんだかさ。お前らは磁石か! ってぐらいについたり離れたりしてるんだって。で、その合間に下級生の男の子にちょっかい出してるみたい』

「そういう人なんだ……」

 不思議とハラはたたない。むしろ同情しちゃう。持田君は遊ばれてること分かってるのかな…。

『気をつけなよ美央。持田君にもちょっかい出してくると思うよ~』

(そっか。キョウコは花火大会のこと言ってるんだ。でもね……もうアタシと持田君は……)

 結局、キョウコにはホントのこと言えなかった。どうせ言うなら『けじめ』をつけてからにしようって思った。

(よし……)

 キョウコとの電話が終わってからすぐにアタシは持田君に電話をかけた。こういうのって勢いが大事。アタシから電話するのは初めてだからちょっと緊張する。けど気持ちは固まってる。

5コール目で持田君が出た。

『美央? どした? 元気してたか?』

「うん。元気だよ」

『そ、そっか。で、何?』

「今、平気?」

『お、おう。大丈夫』

 その様子だと今誰かと一緒にいるのかもしれない。けど、そんなの関係ない。アタシは言うべきことを言うだけだ。 

「あのね。あれから色々考えたんだけど……」

『ちょ、ちょっと何だよ。いきなり。それよかさ。来週の土日って空いてる?』

(相変わらず強引だな。前はそういうトコ好きだったんだけど……)

「土日がどうかしたの?」

『いやさ。軽井沢行かね? ちょうど部屋が取れたんだ』

「え? どういうこと?」

『実はさ。美央と泊まりで旅行いきたいかなぁーなんて考えててさ。前から予約してたんだ』

 嘘……そんなはずない。

(何でそういう嘘をつくかな?)

 ホントは堀川先輩を誘うつもりだったんでしょ。女子の情報網なめてない?

「無理。っていうか行く気ない」

 アタシがきっぱり断ったので持田君は『え?』って絶句した。

「悪いけど他の子を誘って。アタシはもう付き合えないから」

『な、それってどういう……』

「短い間だったけど。楽しかったよ。ありがとね」

『ちょ、ちょっ美央? なんだそれ? 別れたいってことかよ!』

「うん。ごめん」

『オレは認めねぇぞ! てかお前、まさか他に好きな男……』

「そういうことじゃないの。ごめん。もう決めたことだから」

『ざけんなよ! そんなの……』

「さよなら」

 そう言って電話を切った途端、急に胸がドキドキしてきた。

(よく言ったよなぁ……アタシ)

 もし、持田君が堀川先輩のことをきちんと話してくれてたら結果は違ってたかもしれない。けど、それを隠してまるで何事もなかったみたいにアタシを誘う持田君の神経が信じられない。そんな状態じゃ付き合うなんて無理。それが今の素直な気持ち。

(なんだ。やればできるじゃん!)

 自分から別れを切り出すなんて今までのアタシだったら考えられない。

 きっと、空が勇気をくれたんだと思う。空と一緒に過ごすことでアタシもちょとずつ成長してるんだなって思った…。



 空を真ん中にして歩いてると周りの人からはどんな風に見えるんだろ? 

(きっと幸せそうな家族に見えるんだろうなぁ)

 それって面白い。ホントの家族じゃないのに。でも、このごろ自然とそういう形でお出かけしてる。アタシとケン兄ちゃんはただの『いとこ同士』だけど、別に夫婦に見られたところで恥ずかしいとは思わなくなった。

 空は、右手はアタシ、左手はケン兄ちゃんと両方の手を繋ぐのが嬉しいみたい。で、ぶら下がるように足をブラ~ンとさせるのがお気に入り。だから3人で歩いてると必ずおねだりしてくる。

「ね。ブランブランちていい?」

 今日も空はアタシたちに挟まれてブランコみたいに時々足を浮かせる。

「危ないよ」って言っても空は気にしない。

「ブランブラン~」

 歩きながらそれをやられると吊り上げなくちゃなんないから結構、力使うんだよね。それでなくても空と暮らすようになってから腕に筋肉がついちゃったのに!

 今日は新しい本を買うってことでショッピングセンターでお買い物。暑いからお店の中で涼もうっていうのもある。

「ん? どうしたの?」

 3人並んで歩いていた時だった。急に空が足を止める。

「とまるの!」って空が言うからアタシたちも立ち止まる。

「どうしたの?」ってアタシが聞いても空はブンブン首をふるだけ。

 ケン兄ちゃんも心配してたずねる。

「どした。ハラでも痛いのか?」

 空は違うという風に首をふってしゃがみ込んだ。

 と、その時、上の方で『バーン!』という大きな音。

 それと同時に前方の視界に黒が入った。

 瞬間、『ガシャーン!』って凄い音。

 バーンからガシャーンまでほんの数秒。何が起こったか理解できない。

 それは数メートル先で起こっていた。

(……く、車? )

 よく見ると車が垂直に立っていた。しかも後ろの部分がグシャグシャ。

 誰かが「落ちてきた」というのを聞いて上を見る。建物の壁に不自然な穴。

 ケン兄ちゃんがそれを見上げて呟いた。

「立体駐車場……あそこから落ちてきたのか」

 それでようやく事態が飲み込めた。

 すぐに周りの人たちが集まってきて大騒ぎになった。

(乗ってる人は大丈夫なのかな?)

 男の人が数人、車を取り囲んで中に人が居ないか探してる。

 そのうちの一人が怒鳴った。

「誰も乗ってねえぞ!」

 どういうこと? ひとりでに車が落ちてきた?

「危なかったな」と、ケン兄ちゃんが呟いた。

「え?」

「あのまま歩いてたら……直撃してたかもしれない」

 ケン兄ちゃんの言葉にはっとする。

(たしかに……あのとき空が止まらなければ……)

 アタシたちが下敷きになってたかもしれない。想像して鳥肌がたった。 

「ね……空?」

 アタシはしゃがんで空に耳打ちする。

「空には分かってたの?」

「ん……」

 空は小さくうなずいた。

(やっぱり。空は危険を察知してたんだ)

 騒然とする中でアタシは誰かの視線を感じた。この感じ。前にもどこかで…。

「やっぱり!」

 振り返ると赤い服の男がこっちを見てた。赤シャツに黒のチョッキ。背の高いイタチ顔の大男…。間違いない!

「ね、ケン兄ちゃん。あれ。あそこ」

 アタシが指差した方向にケン兄ちゃんが顔を向けると、イタチ男はすっとその場を立ち去ろうとした。

「待って!」

 アタシは思わず後を追う。

「ちょっと! 美央ちゃんどこへ?」

「ごめん。空をお願い!」

 アタシは急いでイタチ男を追う。建物の角を曲がって、ちょっと行ったところに立体駐車場の入り口があった。その中に入っていく赤い人影。

 必死で追いかける。

(あの人、絶対なにか知ってる!)

 薄暗い駐車場の中をアタシは走った。スロープを幾つも駆け上がって上へ上へ。上の階へ行くほど車の数は減ってくる。天井が低い。同じような光景が続く。人気は無い。息があがってきた。

(見失った?)

 そう思った瞬間、背後から声をかけられた。

『何か私に用かな?』

(いつの間に後ろに?)

 驚いて振り返るとイタチ男が腕組みして立っていた。アタシはぜいぜいしながら走ってきたっていうのに、この人はまったく余裕…。 

「あ、あなた何者?」

 アタシの質問にイタチ男はバカにしたような笑みを浮かべる。

『無意味な質問だ』

「……あんたでしょ。さっきの事故も」

 ひとつかふたつ上のフロアが騒がしい。たぶん、そこが現場なんだ…。

『何を根拠に。まあ、いい。ノーコメントとしておこう』

「何よそれ……てか、アンタ悪魔でしょ!」

 アタシの追求にイタチ男は微かに表情を変える。

『ほお。なるほど。……しかし、誤解はしないでもらいたい』

「誤解って何よ。知ってるんだからね。あんた、アスファルトとかいうところの下級悪魔なんでしょ!」

『アスファルト? はは『アスタロト』のことか』

「何で空につきまとうのよ?」

『ふふ。それもノーコメントだ。私は見守っているだけだが?』

「……なんか怪しい」

『そうか。本当に見守っているだけなのだがな。今のところは……』

「な、な、何よ! 空に何かしたらアタシが許さないんだからねっ!」

『ご自由にどうぞ。では、ごきげんよう』

「ちょっと! 待ちなさいよ!」

 イタチ男はアタシの言葉をシカトしてくるりと背を向けた。そしてカツーン、カツーンと靴底を鳴らして歩いていく。その余裕しゃくしゃくなところがムカついてアタシは叫んだ。

「下級悪魔になんか負けないんだからね!」

 するとイタチ男は立ち止まって振り返った。

『ひとつ言っておこう。私が下級悪魔というのは、半分は正解だが……半分は間違いだ』

 意味が分からない。アタシが首をひねってるとイタチ男がニヤリと笑った。

(え? な、何? 気のせい?)

 イタチ男の周りがやけにまぶしい。薄暗い駐車場に光が差した、というよりイタチの周囲に光の粒子が集まってきているように見えた。まるでイタチ男の身体が発光してるようだ。

(な、な、何なの? これ?)

 そしてアタシは絶句した。見てはならないものを見てしまったような後悔。アタシは目を疑った。

(これはきっと何かの間違いに違いない!)

 あり得ない。そこにあるはずが無いもの…。

 でもアタシは見てしまった。イタチ男の頭上に輝く光の輪を…。


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