↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アゲダマ戦記:ゲームが現実に降臨して世界のルールが急変したお話。  作者: 忍絵 奉公


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/65

第50話 エクストリームストライク号


霧島神社へ向かう朝。

4人と1匹を乗せて、ハイラックスが走っていた。

ただし――。

今のハイラックスは、普通のハイラックスではない。

もはや、そこらの装甲車よりも強かった。

車体の主要部分は、アキラが魔石と錬金の指輪を使って、フルカーボンへと変えている。

軽い。

そして、強い。

さらに熱にも強い。

普通の車とは、根本的に違う。

しかも、屋根や荷台にはマグネシウム製の魔力伝導ラインが張り巡らされていた。

運転席から魔力を流せば、その魔力が車体全体を走り、各種の魔石へと伝わる。

つまり――。

ハイラックスそのものが、巨大な魔法兵器になっていた。

「右!」

ユウが叫ぶ。

「了解!」

アキラがハンドルを切る。

道路脇からゴブリンが飛び出してきた。

しかし、その瞬間。

荷台の側面から青い光が走った。

「水刃!」

ユウが魔力を流す。

シュパッ!

鋭い水の刃が飛び、ゴブリンの前を横切った。

「ギャッ!」

ゴブリンが倒れる。

「次、左!」

サトミが叫ぶ。

「任せろ!」

アキラがアクセルを踏む。

今度は屋根の上に赤い光が灯った。

「ファイヤーボール!」

ドンッ!

炎の球が飛び出し、道路脇の魔物を吹き飛ばす。

「おお!」

瀬里奈が身を乗り出す。

「すごい……!」

さらに、その後方。

オレンジ色の魔石が輝いた。

「爆裂ボール!」

ドォォン!

道路脇の岩陰にいた魔物が、一瞬で吹き飛んだ。

「……」

瀬里奈が口を開ける。

「これ、本当にハイラックス?」

「ハイラックスだ」

アキラは平然と答えた。

「名前はハイラックス」

「いや、名前の問題じゃないでしょ!」

瀬里奈が突っ込む。

荷台の後ろには、さらに緑色の魔石まで装備されていた。

魔力が流れる。

すると、道路脇の地面から一気に植物が伸びる。

蔓が魔物の足に絡みつき、その動きを止める。

「緑の魔石なら植物魔法も使えるんだよ」

アキラが説明する。

「……」

瀬里奈はしばらく黙ってから言った。

「もう車じゃないじゃん」

「便利だろ?」

「便利だけど!」

こうしてハイラックスは、魔物を見つけるたびに攻撃を繰り出しながら、霧島へ向かって進んでいった。

運転するのはアキラ。

だから、残りの3人が周囲を警戒する。

ユウは左側。

サトミは右側。

瀬里奈は後方。

レットはユウの頭の上。

「グー」

レットが唸る。

「右後方!」

瀬里奈が叫ぶ。

「了解!」

アキラがハンドルを少し切る。

サトミが魔力を流す。

「ファイヤーボール!」

ドンッ!

魔物が吹き飛ぶ。

「次、前!」

ユウが叫ぶ。

「水刃!」

シュパッ!

「左!」

「植物!」

ズズズズッ!

「後ろ!」

「爆裂!」

ドォォン!

まるで移動する要塞だった。

しかもアキラは運転しながら、魔物の種類と弱点まで判断している。

「今のはレベル8くらいだな」

「分かるの?」

瀬里奈が驚く。

「動きを見ればだいたい分かる」

「怖っ!」

魔物からすれば、たまったものではない。

遠くから近づいてくるハイラックス。

魔物が道路へ出る。

すると――。

水刃。

炎。

爆裂。

植物。

そして、最後にはアキラ自身が車を止めることなく通過していく。

「これ、魔物からしたら魔物だよね」

ユウが言った。

「だろ?」

アキラは嬉しそうだった。

そんな時だった。

ユウが突然言った。

「ねぇ、このハイラックスに名前つけない?」

「名前?」

「うん」

ユウは真剣な顔をして考え始めた。

しばらくして――。

「決めた!」

「何?」

ユウは胸を張った。

「エクストリームストライク号!」

「……」

「……」

「……」

全員が沈黙した。

ユウは説明する。

「過激って意味のエクストリームに、狙撃とか攻撃を意味するストライクを合わせたの!」

「へー」

アキラが言う。

「へー」

サトミも言う。

「へー」

瀬里奈も言った。

「へー」

ユウが振り返る。

「え?」

全員の反応が薄い。

「私、結構ちゃんと考えたんだけど?」

「いや、いい名前だと思うぞ」

アキラがフォローする。

「ただ……」

「ただ?」

「ユウって、もしかして一番頭いいんじゃないか?」

「え?」

ユウが驚く。

瀬里奈も頷く。

「たしかに、名前の意味までちゃんと説明できてるし」

「そうだよな」

アキラも頷く。

「俺たち全員、『へー』しか言ってないし」

「でしょ!」

ユウが嬉しそうに胸を張る。

すると――。

サトミが突然言った。

「じゃあ、略そう!」

「え?」

「エクストリームストライク号だから……」

サトミは指を折りながら考える。

「エクストスト!」

「……」

「それから、ストスト!」

「……」

「さらに短くして……」

サトミがニッコリ笑った。

「ストツー!」

「なんでやねん!」

ユウが即座に突っ込んだ。

瀬里奈が腹を抱える。

「天才?」

そしてサトミを指差した。

「この人!」

「なんでやねん!」

ユウが叫ぶ。

アキラは耐えきれずに吹き出した。

「ははははは!」

車内に笑い声が響く。

こうして――。

エクストリームストライク号。

正式名称は、エクストリームストライク号。

しかし、その呼び名はわずか数分で、

「ストツー」

へと変わった。

霧島へ向かうハイラックス――。

いや。

ストツー。

流れるCDはエクストリームのゲットザファンクアウト♪

それは、魔石と錬金によって生まれた、人類史上初の魔法戦闘車両だった。

 さらに、その車には運転席と荷台にスマホが取り付けられて、映像が取られていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。