第47話「瀬里奈、アキラの家に住む」
ドラッグストアで大量のチュールを確保したアキラたちは、店の外へ出た。
開けっぱなしになっていた4トントラックの荷台。
「ここに積むか」
アキラは、カゴいっぱいに入れたチュールを、そのまま箱車の荷台へ運んだ。
「よいしょっと」
さらに店の奥の搬入スペースを確認すると、段ボール箱が積まれていた。
「ん?」
アキラが箱を開ける。
「チュールだ!」
「まだあるの!?」
ユウが驚く。
段ボールの中には、袋詰めされたチュールが大量に入っていた。
「これは持っていこう」
瀬里奈も手伝い、段ボールを次々と荷台へ運ぶ。
「かなりあるね」
「しばらく買わなくていいな」
レットは荷台を覗き込み、
「キュー!」
と嬉しそうに鳴いた。
「お前のための食料だぞ」
「キュー!」
「分かってるのか?」
「キュー!」
アキラは苦笑した。
「よし。箱を閉めるぞ」
荷台の扉を閉める。
ガチャン。
大量のチュールが、4トントラックの荷台に収まった。
「一旦帰るか」
「そうだね」
4人はトラックへ乗り込んだ。
そしてアキラが運転して、家へ戻る。
しばらくして、自宅が見えてきた。
「着いたぞ」
アキラがトラックを家の前へ寄せる。
しかし、問題があった。
「……入らないな」
「何が?」
ユウが聞く。
「庭の駐車場」
アキラが自宅の敷地を見る。
4トントラックを入れるには狭すぎる。
「無理だな」
「どうする?」
サトミが聞く。
アキラは少し考えてから、家の前の道路を見る。
「ここに停めるしかない」
結局、4トントラックは自宅前に路上駐車することになった。
「まあ、今なら車なんてほとんど走ってないしな」
アキラはエンジンを切った。
4人とレットが家へ入る。
そこでアキラが瀬里奈を見る。
「そういえば瀬里奈」
「はい?」
「お前、家は?」
「家?」
「一人なのか?」
「ああ、そのことですか」
瀬里奈は少し考えてから答えた。
「うん。一人」
「実家は?」
「鹿児島なんだけど、大学でこっちに来てるの」
「鹿児島か」
「うん」
瀬里奈はスマホを握った。
「他のみんなは?」
ユウが聞く。
「みんな避難所か、宮崎市か鹿児島市に行った」
「じゃあ、お前だけ残ったのか?」
「そういうこと」
瀬里奈は少し笑った。
「私はアゲダマ知ってたからさ」
「だから残ったのか?」
「うん」
瀬里奈は頷いた。
「レベル上げしようと思って」
「なるほど」
「それに私、アーチェリー部だったから」
「アーチェリー?」
アキラの目が輝いた。
「弓も矢も?」
「沢山あるよ」
「それは使えるな」
アキラは嬉しそうに頷いた。
弓なら銃のように弾薬を消費しない。
しかも、瀬里奈は経験者だ。
収納Fまで持っている。
「かなり使えるぞ、お前」
「本当?」
「ああ」
アキラは少し考えた。
そして、何でもないように言った。
「だったら、ここに住むか?」
「え?」
瀬里奈が目を丸くした。
「ここ?」
「ここ」
アキラが自宅を指差す。
「俺んち」
「……」
「みんな同居してる」
ユウ、サトミ、レットもいる。
瀬里奈は3人を見た。
「みんながいるなら……」
「どうだ?」
「いいけど」
「じゃあ決まりだな」
アキラが笑う。
瀬里奈も少し安心したように笑った。
そのとき、アキラが何気なく言った。
「エロいことしない?」
「しない!」
瀬里奈が即答した。
「したことないわ!」
「だよな!」
アキラも笑う。
すると、横からユウが言った。
「私のお尻見て喜んでたのに!」
「おい!」
アキラがユウを見る。
瀬里奈が目を丸くする。
「え?」
そして、瀬里奈がユウを見る。
「ユウちゃん、お尻見せたの?」
「余計なこと言うな!」
ユウの顔が真っ赤になる。
「違う!」
「何が?」
「スライムに服を溶かされたんだ!」
「ああ……」
瀬里奈が納得する。
「たまたまこいつの尻の部分を溶かしてさ!」
アキラが必死に説明する。
「事故だから!」
「ふふふ」
瀬里奈が笑う。
「まぁ、いいよ」
「何が?」
「みんないるなら」
瀬里奈は笑顔で言った。
「ここに住ませてもらう」
「よし!」
アキラが頷く。
「じゃあ、正式に仲間だな」
「そういえば……」
瀬里奈がスマホを見る。
「私たち、パーティ登録してなかったな」
「あ」
アキラも気づいた。
これまで一緒に戦っていたのに、瀬里奈とは正式にパーティ登録をしていなかった。
「じゃあ今やろう」
アキラがスマホを取り出す。
瀬里奈もスマホを出す。
パーティ登録画面を開く。
「ここだな」
アキラが操作する。
瀬里奈の名前が表示される。
「飯田瀬里奈」
「はい」
登録をタップする。
ピコン。
【パーティ登録が完了しました】
「これで正式加入だ」
「よろしくお願いします」
瀬里奈が頭を下げる。
「こちらこそ」
ユウが笑う。
サトミも笑った。
そしてレットが、
「キュー!」
と鳴いた。
「レットもよろしくって言ってる」
「ふふ。よろしくね、レット」
瀬里奈がレットの頭を撫でる。
レットは気持ちよさそうに目を細めた。
こうして飯田瀬里奈は、アキラたちの家に住むことになった。
そして、収納Fとアーチェリー経験を持つ新たな仲間が、正式にパーティへ加わった。




