第43話「レット探知機」
イオンの裏側を歩いていたアキラたちは、ふと立ち止まった。
「……あれ?」
アキラが指差す。
そこには、大きな搬入口があった。
そして、その前には4トントラックが1台。
しかも、
「シャッター、全開じゃん」
「本当だ」
ユウが近づく。
「これって……開けっぱなし?」
「たぶんな」
搬入口のシャッターは完全に上がったまま。
トラックも、そのまま止まっている。
エンジンまでかかっていた。
「運転手は?」
サトミが運転席を覗き込む。
「いない」
アキラが周囲を見る。
運転席は空っぽ。
ドアも開いたままだ。
「逃げたのかな?」
ユウが言う。
「魔物が出たときに、慌てて逃げたんだろうな」
アキラはトラックの周囲を確認する。
荷台には商品を積んだ大きな台車が数台。
どうやら商品を搬入している途中だったらしい。
瀬里奈が運転席を覗き込んだ。
「これ……もうすぐガス欠で止まりますね」
「分かるのか?」
アキラが聞く。
「燃料計がほとんど空です。それにエンジンかかりっぱなし」
瀬里奈はメーターを確認する。
「このままだと、そう長くは持たないと思います」
「さすが免許持ち」
アキラが感心する。
「車はないですけどね」
「そこは何度も言わなくていい」
サトミが笑う。
しかし、そのときだった。
「……」
レットが突然、動きを止めた。
「キュー……」
そして低い声で、
「グー……」
と唸った。
「!」
アキラがすぐに表情を変える。
「警戒だ」
全員が武器を構えた。
ユウが槍を握る。
サトミは炎の杖。
瀬里奈は弓を構えた。
「レット、どこだ?」
アキラが聞く。
「グー……」
レットが身体を動かす。
右。
少し止まる。
そして、ゆっくり正面へ。
「……あっちか?」
アキラがレットの向きを見る。
建物の奥。
搬入口から続く通路の先だった。
レットがもう一度、
「グー……」
と唸る。
アキラは少し考えた。
「なるほど」
「何が?」
ユウが聞く。
「レットの身体の向きで、なんとなく魔物がどっちにいるのか分かる」
「探知機みたい」
サトミが言う。
「レット探知機だな」
「キュー!」
レットが胸を張る。
「ただし、距離までは分からないみたいだ」
アキラが周囲を見る。
「だから慎重に行くぞ」
4人は搬入口から中へ入った。
先頭はアキラ。
その後ろにユウ。
サトミ。
最後尾が瀬里奈。
レットはアキラの肩に乗っている。
「グー……」
レットがまた唸った。
アキラが足を止める。
「近いのか?」
レットが首を少し左へ向ける。
アキラも左を見る。
そこには、従業員用の通路があった。
照明は消えている。
奥は真っ暗だ。
「……あそこだな」
アキラが剣を抜いた。
ミスリルの刀身が、薄暗い搬入口の中で鈍く光る。
瀬里奈が弓を引き絞る。
「何がいるんでしょう?」
「分からん」
アキラが答える。
「だから面白い」
「面白がってる場合じゃないでしょ」
ユウが小声で突っ込む。
その瞬間。
通路の奥から、
ガタン。
何かが倒れる音がした。
全員が固まった。
レットの毛が逆立つ。
「グー……!」
今度は、はっきりと左奥を向いた。
アキラが口元を上げる。
「いたな」
暗闇の奥で、
何かが動いた。




