第41話「収納Fは革命だ!」
バルログを倒したあと、アキラは弓使いの女性をじっと見ていた。
「ところで、お前……アゲダマ戦記やってたのか?」
「はい」
女性は頷いた。
「中堅プレイヤーでした。だから、だいたいの内容は知っています」
「やっぱりか!」
アキラは嬉しそうに笑った。
「じゃあ、ギフトを鑑定するぞ」
アキラが女性を見る。
鑑定。
表示された文字を見て、アキラの目が見開かれた。
「収納F!」
「収納?」
女性が首を傾げる。
「お前、収納持ちか!」
「え?」
「そんなにすごいこと?」
「すごいぞ!」
アキラは興奮している。
「チートだろ!」
「でも……精々、段ボール1個分くらいですよ?」
女性は控えめに言った。
「お前、それ時間止められるんだぞ!」
「……え?」
「中に入れた物は時間が止まる!」
アキラは両手を広げた。
「食料を入れても腐らない。肉を入れても腐らない。薬も保存できる。貴重品も安全。しかも持ち運びできる!」
「そんなに?」
「革命だぞ!」
アキラのテンションが一気に上がる。
「仲間!」
「え?」
「仲間! 仲間!」
アキラが突然、謎のダンスを始めた。
「仲間! 仲間!」
腕を左右に振りながら、その場で足を踏み鳴らす。
「仲間! 仲間!」
「……」
女性が固まる。
ユウは呆れた顔をしていた。
「始まった……」
ところが。
「キュー!」
レットがアキラの真似をしてピョンピョン跳ね始めた。
「仲間! 仲間!」
「キュー! キュー!」
さらにサトミまで、
「仲間! 仲間!」
と一緒になって踊り始める。
「なんだこれ……」
女性が呆然とする。
「仲間! 仲間!」
「キュー!」
「仲間! 仲間!」
「キュー!」
道路の真ん中で、妙なダンスをする3人と1匹。
ユウだけが冷静だった。
「もういいから」
ユウは女性の手を取った。
「立てる?」
「あ……はい」
ユウが女性を起こす。
そして聞いた。
「仲間になる?」
女性は少し驚いた顔をした。
「え?」
「私たちと一緒に来る?」
女性はアキラたちを見る。
「……いいんですか?」
「大歓迎だ!」
アキラが叫んだ。
「ソロだと、きつくて……」
「だから仲間だ!」
アキラが肩を叩く。
「収納Fは絶対必要だ!」
女性は少し照れたように笑った。
改めて見ると、ショートカットのかわいい女の子だった。
アキラは彼女の頭を見る。
「ところで、なんでそんなに鴉の羽を頭やら服やらにつけてるんだ?」
彼女の髪には黒い羽。
服にも何本か羽が飾られている。
「威嚇おしゃれ装備……」
「威嚇おしゃれ?」
「はい」
彼女は少し胸を張った。
「魔物にも人間にも、強そうに見えるかなって」
「なるほど……」
アキラは頷く。
「イカオシャだな」
「イカオシャ?」
サトミが反応した。
「威嚇するためのおしゃれ。威嚇おしゃれ。略してイカオシャ」
「ギュン!」
サトミが目を輝かせた。
「新しい! イカオシャ!」
「だろ?」
「イカオシャ!」
「イカオシャ!」
「仲間! 仲間!」
また妙な盛り上がりが始まりそうになる。
ユウが止めた。
「もう行くよ!」
「ああ、そうだった」
アキラが歩き出す。
「俺たち、これからアオンに行くんだ」
「アオン?」
「こいつの餌を探しにな」
アキラがレットを指差す。
「キュー!」
レットが胸を張る。
「一緒に来いよ」
「うん」
女性は笑顔で頷いた。
そして歩き始める。
レットはその前を、
ピョン。
ピョン。
ピョン。
と跳ねながら進んでいく。
女性の目が輝いた。
「……」
「どうした?」
アキラが振り返る。
女性はレットを見つめていた。
「ベリかわ~!」
目がハートになっている。
「キュー!」
レットが振り返る。
「かわいい……!」
女性が駆け寄る。
「触っていい?」
「いいぞ」
女性がレットを抱き上げる。
「ふわふわ!」
「キュー!」
レットも嬉しそうだ。
「名前は?」
「レッドホット。略してレットだ」
「レット……!」
女性はさらに目を輝かせた。
「ベリかわ~!」
「キュー!」
新しい仲間が加わった。
目的地はアオン。
そして、歩きながら自己紹介をすることになった。
「そうだ」
アキラが言った。
「歩きながら自己紹介しようぜ」
「はい!」
女性が頷く。
「まず俺からな」
アキラは歩きながら名乗った。
「俺はアキラ19歳。ゲームでは廃課金プレイヤーだった」
「廃課金……」
女性が少し引いた。
「次、ユウ」
「ユウです。17歳。料理と回復担当」
「サトミ」
「サトミ!18、結界と炎の杖!」
「そしてレット」
「キュー!」
女性は笑った。
「じゃあ、次は私ですね」
黒い羽を揺らしながら、彼女は歩き出した。
新しい仲間との自己紹介が始まった。




