第27話「クラスLINE人材発掘」
「いただきます!」
テーブルの上には、ユウが作った夕食が並んでいた。
焼きたてのステーキ。
付け合わせには、人参のバター炒め。
そして、ほうれん草のお浸し。
さらに、雪国ヒラタケの味噌汁。
「うまそうだな」
「今日はいっぱい戦ったからね」
アキラはステーキを切り分ける。
一口食べる。
「うまっ!」
「でしょ?」
「肉がいい!」
「そこ?」
「いや、料理もうまいぞ」
ユウは満足そうに笑った。
2人が食事を始める中、アキラはスマートフォンを取り出した。
クラスLINEには、まだ大量の質問が飛び交っている。
《アゲダマって何?》
《これ何のゲーム?》
《ダウンロードした!》
《キャラ作成ってどうすればいい?》
《アキラ、教えて!》
「よし」
アキラは箸を置き、文字を入力する。
《ヒント2》
《自分のステータスをまず確認せよ》
送信。
すると、すぐに返信が始まった。
《ステータスって何?》
《どこで見るの?》
《出た!》
《どういう意味!?》
《この数値なに?》
《速筋って何?》
《遅筋って何?》
《打たれ強さってHP?》
《俺、弱っ!》
《私も弱いんだけど!》
《魔力3しかないwww》
《俺、魔力0なんだけど》
《これって本当に現実の能力?》
アキラはステーキを食べながら、画面を眺める。
「……まあ、最初はそんなもんだ」
「みんな困ってるね」
ユウが味噌汁を飲みながら画面を覗く。
「でも、これで自分の強さが分かるんだね」
「ああ。少なくとも、何も分からない状態よりはマシだ」
アキラは再び文字を打つ。
《ヒント3》
《ギフトを教えろ》
送信。
今度はさらに激しい反応が返ってきた。
《ギフト?》
《あった!》
《ダッシュF》
《防御F》
《俺、ジャンプF》
《料理F》
《歌唱F》
《釣りF》
《念力F》
《え?》
《透視Fって出た》
《透過Fって何?》
《死霊F……》
《なにこれ?》
《俺、牛歩Fなんだけど》
《回復Fいた!》
《火魔法F》
《水魔法F》
《植物操作F》
《めっちゃ色々あるじゃん!》
《俺、筋力強化F》
《俺は威圧F》
《威圧って強いの?》
《誰か死霊Fの意味教えて》
《知らんwww》
《透視Fって壁見えるの?》
《試してみて!》
《やめろwww》
クラスLINEは完全なカオスになっていた。
アキラはステーキを食べながら、次々と送られてくるギフトを確認していく。
「……へぇ」
「どうしたの?」
「結構いるな」
「何が?」
「変わったギフト持ってる奴」
アキラは画面をスクロールする。
ダッシュ。
防御。
念力。
透視。
透過。
死霊。
回復。
火魔法。
植物操作。
その中には、ゲーム時代には存在しなかったようなギフトまで混じっていた。
「アキラ」
「ん?」
「煽ってる?」
ユウがジト目で見る。
「なんで?」
「ヒント3とか言って、みんなのギフトを聞き出してるじゃん」
「ああ」
アキラは普通に答えた。
「もし有望株がいたら、仲間にしようと思ってな」
「……」
ユウが箸を止めた。
「本気だったんだ」
「当たり前だろ」
アキラは味噌汁を飲む。
「これから先、俺とユウだけで戦えるとは限らない」
「……うん」
「魔物は強くなる。たぶん、今まで倒してきた奴なんて序盤も序盤だ」
アキラはスマートフォンを見る。
クラスメイトたちのギフトが、次々と画面に流れていく。
「だったら、使える能力を持ってる奴は早いうちに見つけておいたほうがいい」
「仲間にするの?」
「ああ」
「どんな人?」
「それはギフトだけじゃ分からない」
アキラは笑った。
「だから、まずは候補を探す」
その直後。
《あたし、透過Fなんだけど誰か説明して》
《私、念力F!》
《俺、死霊F!》
《回復Fって人いる?》
《いる!》
《誰!?》
《秘密www》
「……」
アキラの目が止まった。
「回復……」
ユウも画面を見る。
「私みたいな人?」
「ああ」
アキラはスマートフォンを握った。
「回復持ちは貴重だ」
そして、クラスLINEを見ながら小さく笑った。
「さて……誰が使える奴かな」
その瞬間。
クラスLINEの通知が、また一気に増えた。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
ピコンピコンピコン!
「……また始まった」
ユウが笑う。
アキラはステーキを食べながら、画面を見続けていた。




