第24話「発泡スチロールで城壁を作る」
ホームセンターへ向かう道中。
「来た!」
アキラが叫んだ。
路地から飛び出してきたのは、5匹のワイルドキャットだった。
鋭い爪を持つ猫型の魔物。
「ユウ、右!」
「分かった!」
2人はすぐに戦闘態勢に入った。
レットはアキラの肩の上で、
「キュー!」
と鳴く。
「大丈夫。こいつらなら問題ない」
アキラはミスリルの柳葉包丁を抜いた。
ワイルドキャットが一斉に飛びかかってくる。
「遅い!」
一閃。
ズバッ!
「こっち!」
ユウも槍を突き出す。
ザクッ!
数分後。
5匹のワイルドキャットはすべて倒れていた。
「よし」
魔石を拾う。
「次!」
今度はグレーウルフが3匹。
こちらも連携して襲ってきたが、アキラとユウは冷静に対応した。
「終わり!」
最後の1匹を倒す。
「結構狩ったね」
「レベルも上がったな」
アキラがスマートフォンを見る。
「確認する?」
「いや」
アキラは首を振った。
「帰ってからまとめて見よう」
「なんで?」
「今は時間が惜しい」
アキラは前を見る。
「ホームセンターはもうすぐだ」
そして。
大きな建物が見えてきた。
「着いた!」
巨大なホームセンター。
入口には自動ドアがある。
しかし当然、動かない。
「閉まってる」
「だな」
アキラは自動ドアの前に立つ。
「じゃあ……」
両手で扉をつかむ。
「開ける!」
グググググ……。
「うおおおお!」
ギギギギ……。
自動ドアが力ずくで開いていく。
「アキラ……」
「何だ?」
「それ、普通に壊してない?」
「開いたからいいだろ」
「そういう問題じゃないよ」
アキラは気にせず店内へ入った。
すぐ近くに業務用の大型台車があった。
「これを借りる」
「借りるって……」
「あとで金を置く」
「本当にそれでいいのかな……」
アキラは台車を押して店内を進む。
広大な店内。
工具。
木材。
金属。
建築資材。
園芸用品。
キャンプ用品。
家電。
ありとあらゆる物が並んでいる。
ユウが周囲を見る。
「素材って何?」
「いろいろだ」
アキラは店内を見回す。
「これからの生活に使えるもの全部」
「全部?」
「全部だ」
そして突然。
「あった!」
アキラが走り出した。
「何?」
「これだ!」
アキラが指差したのは、発泡スチロールのブロックだった。
「発泡スチロール?」
「そう」
アキラは大量に抱える。
「これをカートへ」
「こんなに?」
「大量に必要だ」
次々とカートへ入れていく。
さらに台車にも積み上げる。
「軽いからいいだろ」
「これで何するの?」
「庭の塀を高くするんだ」
ユウが発泡スチロールのブロックを見る。
「これ……簡単に壊されない?」
「素材変化があるだろ!」
「あ!」
ユウが目を見開いた。
「そうか!」
「これをミスリルとかにすれば凄いね」
「正解!」
アキラは満足そうに頷いた。
「発泡スチロールなら軽い。大量に運べる。形も作りやすい。そして素材変化で強化できる」
「なるほど……」
「今、うちの塀の高さは1.3メートルだからな」
アキラは真剣な顔になる。
「魔物が普通に入ってこられる」
「確かに」
「だから、最低でも2メートルにしたい」
「それなら安心だね」
「いや」
アキラは首を振る。
「本当はもっと高くしたい」
そして、ふと思い出したように言った。
「結界の魔石が出るまでな」
「結界の魔石?」
「ああ」
アキラの目が鋭くなる。
「銀色の魔石だ」
「銀色?」
「これもレアでな」
アキラは腕を組む。
「なかなか見つからない」
「どんな魔石なの?」
「結界を作るための魔石だ」
「家を守れるの?」
「強力な結界を張れる可能性がある」
アキラは自宅のほうを見る。
「この世界で生き残るなら、家を安全な場所にしないとな」
ユウも頷いた。
「じゃあ、まずは塀を高くする」
「そういうこと」
2人はさらに発泡スチロールのブロックを積み込んだ。
台車の上がいっぱいになる。
「これでいい」
アキラはロープを取り出した。
「倒れないように縛る」
ギュッ。
ギュッ。
何重にもロープを回して固定する。
「これなら大丈夫」
「凄い量……」
「家まで運べばいい」
そしてアキラはレジへ向かった。
当然、店員はいない。
レジ台の上に現金を置く。
さらに業務用台車代と、使ったカート代も置く。
「これでいい」
「ちゃんと払うんだね」
「当たり前だ」
アキラは胸を張る。
「俺は泥棒じゃない」
「さっき自動ドア壊したけど」
「それは……」
アキラが少し考える。
「緊急時の入場料だ」
「絶対違う」
2人とレットは、発泡スチロールを満載した台車を押してホームセンターを出た。
「帰ろう」
「うん」
家までは歩いて8分ほど。
行きに比べれば近い。
しかし、荷物はかなり多い。
アキラとユウで台車を押しながら歩く。
レットはアキラの肩の上。
静まり返った街。
遠くから、また魔物の声が聞こえる。
「今日はかなり狩ったな」
「ワイルドキャット5匹に、グレーウルフ3匹」
「帰ったらレベル確認だな」
「うん」
そして2人は、自宅へ向かって歩き続けた。
自分たちの家を。
魔物から守れる家へ変えるために。




