↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アゲダマ戦記:ゲームが現実に降臨して世界のルールが急変したお話。  作者: 忍絵 奉公


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/61

第22話「ポムポムの名前」


「……疲れた」

店員スペースをめちゃくちゃにしたアキラは、ようやくポムポムを捕まえることに成功した。

ポムポムは、アキラの肩の上にちょこんと乗っている。

さっきまであれほど逃げ回っていたのが嘘のように、おとなしい。

「……」

アキラが横目で見る。

ポムポムもアキラを見る。

そして。

ニコッ。

「懐いてる……」

ユウが戻ってきて、ポムポムを見た。

「本当に懐いたね」

「だろ?」

アキラは得意そうに笑う。

しかし、手のひらを見ると、まだ血が出ている。

「ユウ」

「何?」

「治療してくれ」

アキラが手のひらを差し出す。

「もう……」

ユウはため息をつきながら、手を包むように触れた。

「回復~」

白い光が手のひらを包む。

傷口がゆっくりと閉じていく。

「よし」

アキラは手を握ったり開いたりする。

「完全に治った」

そして肩の上を見る。

ポムポムは、ちょこんと座っている。

クリーム色のふわふわした毛。

少し垂れた目。

丸っこい身体。

どう見ても、とてつもなくかわいい。

「かわいいね。ポムポムって」

ユウが優しく撫でる。

「キュー」

ポムポムが嬉しそうな声を出した。

さらに撫でる。

ふわふわ。

「うわ……触り心地最高」

ユウの顔が緩む。

「これはかわいい……」

アキラもポムポムを見る。

「よし!」

突然、アキラが立ち上がった。

「名前を付けよう!」

「もうポムポムでいいんじゃない?」

「いや、正式な名前が必要だ」

ポムポムが首を傾げる。

「色はクリーム色」

アキラは真剣に考え始めた。

「目は少し垂れ目」

ポムポムが瞬きをする。

「毛はふわふわ」

「うん」

「そして、抱き心地が良さそう」

ポムポムの顔が少し引きつった。

「よし! 決めた!」

アキラが指を突き出す。

「お前の名前は……」

タメを作る。

「抱き枕だ!」

「……」

「……」

ユウとポムポムが同時に嫌な顔をした。

「違うか!」

「違うよ!」

ポムポムも、

「キュー……」

と、明らかに不満そうな声を出す。

「じゃあ……」

アキラは再び考える。

「富岳だ!」

「それってスカジャン?」

ユウが呆れる。

「ほら、さっきの富士山スカジャン!」

ポムポムも、

「……」

完全に嫌そうな顔をしている。

「これもダメか」

「もっとかわいい名前にしてよ」

ユウが言う。

「例えば……ピョコタンとか」

「キュー……」

ポムポムが微妙な顔をした。

「え? 嫌?」

ポムポムが、

コクコク。

と頷く。

「分かった!」

アキラは真剣な顔になる。

「じゃあ……」

一呼吸。

「ピョンコタン!」

「……」

「…………」

ポムポムが深いため息をついた。

「キュゥ……」

「そこまで嫌か!?」

ユウが笑い出す。

「完全に呆れてるよ」

ポムポムは肩の上で目を細めた。

「じゃあ、何がいいんだ?」

ポムポムが店内を見回す。

そして。

ポヨン!

突然、アキラの肩から飛び降りた。

「お?」

ポムポムが向かった先。

そこには黒いライダースジャケットが掛かっていた。

ポムポムはライダースに飛びつく。

ふわっ。

そのままジャケットの上に乗った。

「……」

アキラが目を丸くする。

「かっこいい名前がいいのか?」

ポムポムが、コクコクと頷いた。

「なるほど」

アキラは腕を組む。

「かわいい名前じゃなくて、かっこいい名前……」

ユウも考える。

「じゃあ、何かいい名前ある?」

アキラは店内を見回した。

そして、壁に貼られているポスターを見る。

そこには、モトリークルーのロゴ。

アキラがニヤリと笑った。

「決めた!」

ポムポムが顔を上げる。

「モトリークルーの曲から取ろう」

「曲?」

「そうだ」

アキラはポムポムを見る。

「レッドホット!」

ポムポムの目が少し大きくなる。

「略して……」

アキラが指を立てる。

「レット!」

「……」

ポムポムが固まる。

そして。

ニコッ。

「キュー!」

ポヨン!

嬉しそうに飛び跳ねた。

「決まった!」

アキラが笑う。

「お前の名前は、レッドホットな!」

「キュー!」

ポヨン!

ポムポム改め、レッドホット。

略してレットは、嬉しそうにアキラの肩へ飛び乗った。

「よろしくな、レット」

「キュー!」

ユウが笑う。

「やっと決まったね」

アキラも満足そうに頷いた。

「かっこいい名前だろ?」

レットはアキラの肩の上で、嬉しそうに身体を揺らしていた。

その横では、巨大な富士山と波が描かれたスカジャン。

そして7匹の子猫がじゃれ合うスカジャン。

世界が崩壊した後とは思えないほど、妙に楽しそうな買い物風景になっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。