9 いつもの日常
「あー、なんかおもしれーこと無いかなー。」
「涼、それって友達と遊んでる時に言うセリフじゃないだろ。」
「別にいーだろ。帰ってる途中なんだから。」
ちなみに今は、あのあと光と合流し、忘れていたぬいぐるみを回収して帰路についている。
小学校が同じということもあり、全員帰る方向が同じだ。
「…むふー。」
ちなみに明日香は今シャチのぬいぐるみを抱きかかえてご満悦だ。
前見えてんのかな、これ。
あと、こいつって全体的に幼いんだよな。見た目といい、性格といい。
なんか巷では合法ロリって言われてるらしい。
知らんけど。
「そうそう、涼君のダンジョンの話聞かせてよー。」
「そんな面白い内容でもないけどな。」
「いやー、金策にちょうどいいかなって思って。推しの中にダンジョン探索者やってる人いるし。」
「ほえー。推しが複数ってすぐに金尽きそうだけど。」
「すでに尽きてるんだよー」
なんだ自虐か。
「まぁ俺は、基本的にスライムプチプチして遊んでたら気づいたらお金が集まってるんだよな。」
「ん? どういうことー?」
「いや、俺のスキルでそういうのが簡単にできるんだよ。」
「へー。よくわからないや。」
「企業秘密だからな。」
「法人税ちゃんと払ってる?」
「起業はしてねぇよ。」
ダンジョンってそこまで稼げるとこじゃないけどな。
俺の一番最初の攻略の時がデフォ値みたいなもんだ。
「ってか序盤だと約時給400円しか入らないぞ?」
「えー、じゃあ魔法スキルのオーブ出たら頂戴! 頭の良さには自信があるから!」
「金銭の管理すらできないやつが何を語ってんだか。」
「ぐぬぅ…」
ピロンッ
ん? なんだ? ダンジョンのニュース?
…こういう時は
「光、これ読んで通訳してくれ。」
「俺は便利な通訳じゃないよ! そもそも外国語じゃないし…」
「あ、要約だ。」
「発音が似てるのが腹立つなぁ。」
とりあえずスマホを光に預けて、内容を読んでもらう。
すこし、光の顔が曇っていく。
「…これは涼に見てもらったほうが良いかも。」
「なんだ? 大っぴらに言えない卑猥なことが書いてあるのか?」
「…シリアスを吹き飛ばすのやめてくれない?」
知らねぇよ。シリアスでドーパミンが出るならいくらでもやってやるよ。
俺には気楽ぐらいの空気が一番心地良いんだよ。
光は俺にスマホを突き返してくる。
「ん? なんだこれ。」
―――全てのダンジョンで異変?
稀にモンスターを倒した時にレアモンスターが出現。
討伐時には、元となったモンスターが描かれた魔石をドロップ。
ダンジョンの構造が変化。
その他の内容は現在上級探索者と、研究者が協働で調査中。
「ほぇー。」
「興味なさそうだね。涼はこういうのには食いつかないよね。」
「そうだな。こういったのはもっと強い人が調べてくれ。俺は気ままに脳死でぼーっとしながら配信して、ダンジョン攻略していたいんだよ。」
「…配信?」
「あっ、いや、最近虫歯気になってて。」
「歯医者は早めに行ったほうが良いよ。」
えっ、こんなので騙されるの? やーいやーい。ひかるのバーカ。
そんな小学生みたいなこと考えてても、何も意味ないんだけど。
「稀にって何%ぐらいなんだろうな。」
「知らないよ。次の知らせを待ってたら?」
「うーん、そうだな。」
異様に強かったら俺は家に引きこもってやるよ。
「なになにー、なにの話ししてるのー?」
「ん、気になる。」
「あぁ、とりまこの記事見てくれ。」
「「?」」
ネットニュースの画面を見えやすい位置に置く。
「へー。こんなことがあったんだ。」
「ん。どうでもいい。」
…おまえらなぁ。俺も人のこと言えないけど。
「でもお前らもお金稼ぎたいだろ? もしかしたら今後来るかもしれないじゃん。」
「それはそーだけどー。」
「ん。涼に護衛をしてもらう。」
「高く付くぞ?」
「金欠だから容赦してよ…」
まぁ、今後そういうことがあったらな。
その時は配信無しで普通に探索するだろうが。
「ただーいま。」
「あら、おかえり。どこに行ってたの?」
「いつものメンツでショッピングモール。」
「昔っからそれでよく飽きないわねぇ。」
「ラインナップ変わってたりするから別に飽きはしないけど。」
「ふーん。とりあえず手洗いうがいしときなさい。」
「はーい。」
手洗いうがいを済ませ、俺は部屋に向かう。
もうすぐご飯だが、今日買った本を読みたい。
まぁ本を読むのは苦手なんだけどな。
活字を読め! 若者よ!(自分を含め。)
いや、だって読んでても刺激がないじゃん。
だんだんつまらなくなったり、飽きたり、眠たくなってくるんだよ。
まぁ自分が興味ある事柄なら多分大丈夫だと思っている。多分。
結局最後まで読むことができず、今はAIに質問している。
買った意味ないじゃないかって? はっ、どうせ稼ぐから問題ない。
AI曰く、
・ダンジョンには魔物がはびこっている。
・基本的に一層に一種類の敵。
・稀に特殊な形式のダンジョンが生まれる。
・魔物は魔石を落とし、新しいエネルギーとして注目を浴びている。
・今日現在全てのダンジョンに異常が発生したため、世界的に原因の究明と、内容の把握を行っている。
とのこと。
イロモノスキルとか、ユニークスキルとかを聞こうとしたら、
「ご飯よー」
と一回から聞こえてきたので、今は晩ごはんを食べている。
今日はカレーだ。二階に匂いが充満して飯テロをされていた。
弾圧せねばならぬ!! って思ったが、腹が減っては戦はできぬので、諦めた。
なんだろうね、このカレーの魔性の匂いは。
なにかいかがわしいものでも入ってるんじゃないのか?
あいにくスパイスしか入ってないみたいだ。
「そうそう、涼、ダンジョンのニュース聞いた?」
「聞いた聞いた。正直そこまで気にすることじゃないと思ってるけど。」
「気をつけなさいよ。まだ未知数なんだから。」
「はーい。」
「お兄ちゃんが死んだら動画の収益が手に入らないんだから!」
「お前後で覚悟しとけよ。」
まだ収益化すらに届いてねぇくせによく言うな。
まあ、異常といえばレアモンスターの魔石とかって多分高値で売れそうだよな。
スライムのレアモンスターってなんだろう。ビッグスライム?
そんなありきたりなわけ無いか。
確率検証とか言って配信するのもありだな。
―――途中で飽きそうだけど。
「…ぶっちゃけ、お兄ちゃんってどれぐらい稼いでるの?」
「今日は5000円近く稼いだな。」
「…うっそだぁ。」
「ちなみに今日ほぼ使い果たした。」
「計画性って知ってる?」
「俺の辞書には載ってないな。」
「無能なナポレオンじゃんか!」
誰が無能だ。お前よりは有能だろ。
…ドパガキだけど。
―――いや、【ドパガキ】のおかげで俺はダンジョンで稼げてるんだ。
…つまりドパガキは有能ってことだ。
何言ってんだろ俺。
「ちなみに涼、何買ったんだ?」
「服と本と恩とタピオカ。」
「うわぁ、一番お兄ちゃんが買わなさそうなラインナップ。」
うるせぇな。
俺だっておしゃれしたし、いろんなことしたいんだよ。
…それ用の金は全部ガチャに注ぎ込まれるわけだが。
だってレア武器欲しいじゃん! 新武器欲しいじゃん!
その時のメタ武器が出てくるのが悪いんだ!
「まぁどうせ明日稼ぐんだから良いでしょ。」
「涼、一日1000円ぐらいは貯金しといたほうが良いと思うぞ。」
「なんで?」
「いざって時に金が足りないと困るだろ?」
「……まぁそうだけど。貯金箱すら持ってない俺にどうしろと?」
「…3Dプリンターで作ってあげるから待ってなさい。」
「まじで!? ありがと!」
父さんの部屋にはなんか知らんけどたくさん最新機材があるらしい。
主にデジタル系の仕事しているっぽい。
「3Dモデルは鈴に任せた。」
「えっ!? 私!?」
「父さんは仕事で忙しいし、鈴のほうが3Dモデル作るの上手いじゃないか。それに練習にもなるだろ?」
「そうだけど…」
よっしゃー! ナイス父さん!
これで妹をこき使えるぜ! そのうち俺もアゴで使いたい。
とまぁ、そんな感じで和気あいあいとしながら俺達は晩ごはんを食べた。
まぁ、食べ終わったらゲームでもするか。
ダンジョンのことは明日調べればいいし。
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