10 炎上…じゃ、ないよな…?
やっと本格的に物語が動き出します
ちなみに俺は今、呉ダンジョンの入口に来ている。
「…ダンジョンの構造が変化ってどころじゃねぇだろ…」
ダンジョンの入口が舷門になっている。
…いや、もっと他にあっただろ。
舷門ってのは、船に出入り口だ。
…いつからここはテーマパークになったんだ?
前までは普通のザ・ダンジョンみたいな入口だったじゃねぇか。
石畳でゴツゴツした、遺跡とか迷宮とかって名前が似合うようなやつだったじゃねぇか。
「どうしてこうなったんだ…」
今となってはコンクリートとか、鉄板だよ。
まるで甲板みたいな。
なんだ? 呉は船造りの街だからってか?
…いやまぁ、戦艦ってロマンあるよ? ダンジョンもロマンあるよな。
でもさぁ、戦艦×ダンジョン=浪漫にはならないだろ…!?
自我持ってるのか? ダンジョン?
変な学習の仕方してるぞ。おい。
…なぁ、もしかしてこれ、配信したらどこのダンジョンかすぐバレるんじゃないのか?
今日ウッキウキで配信するつもりでスキップ気味に来たんだぞ? せっかく早起きしたんだぞ?
最後の最後で小石置いてずっこけさせるなよ。
ずこー
ってか? 俺は関西人じゃ……関西人だ。
「だーもう、やってから考えよう! 後なんかどうでもいい! 俺は決めたことを曲げない!」
そう言って俺はダンジョンの中に入っていった。
…なんで誰も規制とかしないんだろうな。
◆ ◆ ◆
「はい。はい。わかりました。はい。では。」
受付嬢は受話器に電話を置き、電話を切る。
上からの連絡を受けていたのだ。
「ふぅ〜。未だに受話器使い慣れないんですよね…」
スマートフォンとかを使うんじゃなくて、固定電話なのは少々めんどくさいですね…
いちいち取りに行かなければならないので。
「ってか、上層部も対応が遅いですよ… 法律が何だとかどうこう言って… 一枚岩であってくださいよ。」
まぁ、どうせこんなダンジョンに朝早くから入る暇人とかもいないでしょう。
早起きのお年寄りもダンジョンには入りませんし、学生も夜ふかしで起きるのが遅いですし。
「なのに昨日は解放していたんですね… 今規制しても昨日入った人との差別を生むだけですのに。」
朝5時から仕事しているのは、その方が時給が良いからです。
今はお金が足りないんですよ。クズ男に引っかかったせいで。
ちなみにこれはバイトです。 言ってしまえばレジ打ちみたいなものですね。
「規制線張りに行きますか〜」
若干怠惰になりながら、私は備品から禁止テープを引っ張り出しました。
ビーーッ ピッ
ペタ、ペタ。
ビーーッ ピッ
ペタ、ペタ。
二本も張っておけば、入る人もいないでしょう。
さーて、帰って寝るとしましょう。
探索者協会のHPにも載ってありますし、大丈夫ですよね。
「ふわわわ…」
あら、あくびが出てしまいました。
気づかぬ合間に疲れが溜まっていたのかもしれません。
早く寝るとしましょう。
知らぬ間に足が家の方に向いています。
…少しの間、シフトに穴が空きますが、大丈夫でしょう。
どうせバレないので怒られないと思います。犯罪はバレなければ犯罪ではないので。
おやすみなさ〜い。今日。
◆ ◆ ◆
スッ プチッ テクテク スッ プチッ
あ〜、やっぱりスライム潰すのは心の保養だ。
この感覚を視聴者にも伝えたい。早速配信を始めるとしよう。
仮面を付けてっと。
配信開始っと。サムネももっかい自撮りして、テロップ入れればいいか。
タイトルは… 確率検証でいいか。
「あ〜 テステス、見てるかなー?」
昨日と同じくキューブに問いかける。
まぁ誰も見てないんだけど。
今の時間帯は他の探索者もいないし、好き勝手出来るぜ。
うーん、やっぱ若干眠いか。4時おきなんてするんじゃなかったZE...
そのせいで少しテンションが低い。いつもなら最後に☆が付くんだがな…
あー、暇だ。眠たい。
眠気覚ましにスライム潰すか。
キルカウントは魔石がやってくれるだろ。アイテムドロワーに数が出るし。
「…ヤバいことになったかもしれん。」
『なんで規制されてるのにダンジョン居るんだこいつ?』
『録画配信か?』
『それ配信じゃないだろw』
『不法侵入か?』
『誰かが止めるだろそれは。』
『こいつヤバwww』
うーん… 炎上しかけてるな…
いやだってさぁ、俺が入った時はまだ規制されてなかったんだって!
誰も信じてくれないよ!
『ダンジョンの内部で配信しているのこのVTuberだけだよな?』
『流石に通報案件か?』
『いや、流石にそれは酷だろ。黒とは限らないんだし。』
『じゃあなんだっていうんだよ。』
『こいつしか他にダンジョン配信してるやついないな。』
『ニュースの速報とかしか無い。』
『それ入口だけだろ。』
『ここもしかして呉? 戦艦とかあるし。』
あーあーあー。聞こえない聞こえない。
ってか読み上げの数が足りなさすぎる…
しかもダンジョンバレしてるし。
世界的に配信してるのが俺だけだから、もう視聴者がバケモンなレベルで増えている。
一種の炎上商法じゃねぇか。いや、故意じゃないんだよ!
「俺が入ったときにはまだ規制されてなかったんだって!」
『え、こいつマジで言ってるの?』
『5時前から入ってたのこいつ?』
『馬鹿じゃん。』
『もっと寝てろよ。』
「遅起きのお前らに言われたくないなぁ!?」
『口調のせいでキャラ崩壊』
『アバターはイケメンなのに。台無しじゃん。』
チクショウ! だれも俺を慰めてくれない!
まあでも、誰かに迷惑をかけたわけでもないしな。
『いやでも、検証してくれてるんだぜ?』
『それはそうだな。』
『こんなに透明なデータとか他にないだろ。』
『おい、騙されるな。』
『こいつは不法侵入かもしれないんだぞ!』
『配信の時間見てみろよ。朝の4時半からやってるぞこの馬鹿。』
『四時半から配信してんだよなぁww』
『うわぁ…うわぁ…』
もうやだぁ。配信止めたい…
「なぁ、配信止めて良い…? 誹謗中傷がしんどい…」
『おk』
『NO! 異常をデータに残してくれ!』
『はよでろ』
『記者会見しろ。』
『検証してくれ!』
『混沌としすぎてて草w』
チャンネル開設3日目でこんなことなるのおかしいでしょ…
[パパーン! 配信のレベルが上がりました!]
『『『『『「うるっさ!!」』』』』』
変なところで被ったんだが。はぁ、もう配信レベルが2つも上がったよ。
一時間前ぐらいにも上がってたし。同接で増えるレベルってどういう原理なんだよ。
『同時接続1000人突破してるじゃん。』
『ホントだ。』
『それなのに自動読み上げまだしてる変態がこいつです。』
『スパチャ解禁されてないからなぁ。』
『とっととダンジョン出ろ!』
朝六時からうるせぇなこいつらは。
自動読み上げ切るか?
「自動読み上げ切るわ。俺は好きなように検証を進める。後で総まとめを発表するからお前らは静かに見てろ!」
『燃えろ燃えろ!』
『炎じょ…』
シーン
「あー、静かになった。コメ欄見なければ何を言われてるのかはわからないしな。シュレディンガーのコメント欄だ。」
今もバンバン叩かれてるんだろうなぁ。
今は六時だからそこまで人がいないだけで、この後どんどん増えていくんだろうなぁ…
…ダンジョンの外出たくねぇ。
俺ここに引き籠ろうかな。
そのうち腹減って餓死してしまう気がする。
「読み上げないとそれはそれで淋しいな。まぁ読み上げたら俺が悲しくなるんだけど。」
はぁ。憂鬱だ。
下手に注目を浴びたせいでドーパミンの出が悪い。
いや、注目を浴びればそれだけドーパミンは出るよ? でもさぁ、不本意で悪いように注目を浴びればドーパミンへの変換が難しくなるじゃん。
「えーはい、今の集計結果は、小魔石385個と、スライムの魔石4個だ。多分1%ぐらいの確率で、そこまでレアモンスターは強くない。核を潰せば死ぬのは普通のスライムと同じだ。」
まぁ俺はスワイプで倒せるから良いんだけど。
何回も壁にガンガンしないと倒せなかったりした。だが、核を分離した本体は動かないから、かなり楽だった。
「核はデカくて、硬かったが、俺の敵じゃあなかったな。レベルも結構上がって美味しい。名前はビッグスライムっていうありきたりでつまらない名前だったがな。せっかくなんだから超弩級スライムとか言えばよかったのに。」
もう俺はダンバレしているので気にしない。
「ってか、配信初めて2日目でダンバレって速すぎるだろ…」
最速王だろこれ。隠してたはずなのにバレたのは。
時々戦艦みたいな影があるのが悪いんだよ!
例えば出来損ないの砲台とか、船首が突き出してきてたりとか!
「ダンジョンの構造が変わったせいなんだよなぁ… なんだよ。ダンジョンの郷土愛強すぎるだろ。」
もうちょっとおしとやかにできなかったものなのか?
…おしとやかなダンジョンって嫌だな。
優雅にこっちに向かってくるツヤツヤのスライムとか。
スライムってズルズルタイプじゃなくて、ぴょんこぴょんこしてこっち来るんだよな。
捕食しに来てるんだけどな。やられても死にかけたりはしないが。
「はぁ〜 俺は悪くないのに。ただ朝早くからワクワクしながらダンジョンに来ただけなのに…」
異常なんかなかったら良いのに。なんでこのタイミングなの?
空気読むなよ!
ぴょこっ
あ、スライム。
スッ プチッ
終了。
「うーん、ってかレアモンスターって割に、1%って結構高いよな。どこがレアなんだよ。ソシャゲを見習え、ソシャゲを。」
最近なんか合計500連しても、最新武器一個も出ないんだぞ!?
なんだよ。運営。いかさましてるだろ。
「確率0.15%とか当たり前の世界だぞ。もっとレアであれよ。なんだ? スーパーレアモンスターとか居るのか? 今俺の発言はフラグか?」
まあそんなわけ無いよな。
「しかも100体固定じゃなくて、1%ってところもいやらしい。最悪の場合1000匹倒しても出ないってことだろ。やっぱこういうところで物欲センサーって発動するんだよな。」
物欲センサーには何度痛い目を見せられたことか。
ドロップを確率にせずに天井とかつけようぜ! そうしないと俺が泣く!
「あーもう、眠気が覚めてテンション上がってきたじゃねぇか!」
このまま1000匹行くまでスライムぶっ潰してやる!
いや、そうだな。
「レアモン10匹倒すまで帰れまテン!」
物欲センサーって、厄介ですよね。
(500連の話は作者の実体験です。まぁ、色んなガチャを別々で引いたので、天井にはいけないんですよね。期間限定なのが悪い!)
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