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51 学校生活

第二章開幕です。

「退屈だ…」


 夏休みが終わり、始業式から一週間経った今、俺は青春を送る健全で模範的な高校生として、古文の授業を受けている。

 ねむい……


「おい! 黒瀬! 聞こえてるぞ!」

「やべっ… バレた…!」


 教室でドッと笑いが起こる。

 そんな堅苦しい学校じゃない上に、もう3ヶ月以上共に暮らしたクラスメイトだからこそのものだ。

 …というか、授業中の笑いの原因の4割が俺なのおかしくないか…?


「…俺の授業が眠くて退屈のは分かっているが、口には出すな。」

「は〜い」


 まだ、クスクスと俺の失態を笑っているやつがいる。

 …前までだったら、ぶち殺すぞ? って思ってるところだが、実際に殺せてしまう力を持ってしまうとなぁ…


 ちなみにダンジョンとかで色々やらかした結果、日常生活に支障が出かけている。

 とりあえず、〝クロセ〟って名前が出るたびにびくってしていしまうこと。

 隠し通さないといけないこと。光曰く、「ポーカーフェイス下手くそ」って言ってる。

 …俺のポーカーフェイスを見破るとは… 侮れん!


 他には、ついついアイテムドロワーを使いそうになること。

 慣れって怖いね。


 ステータスのせいで、体育も俺だけ色々異常だし。

 …みんなもダンジョン行って鍛えようぜ! そしたら俺は埋もれるから!

 ここは、まぁそういうもんだって思ってもらってる。…正直、ここが一番バレそうなところ。


 まぁだが、魔力を上げたおかげで授業の内容がちゃんと入ってくるようになったこととか、良いこともある。これで赤点回避だ!


 あとは、誤作動で【挑発】が発動すること。

 …いや、意図的だけど。


ツンツン。


 右脇腹がつつかれる。


「ちょっとぐらい集中しなよ。」

「…えぇ〜」


 面倒だ。光のくせに生意気な。

 なんでこいつの隣になったんかなあ…?


 もっとこう、スタイル抜群(ボン・キュッ・ボン)のラノベにでてくる美少女系幼馴染とかいねぇのかな? あれもう実質都市伝説じゃん。


「しょうがないな…」


 俺は机の中からノートを取り出して開く。


「…まだノートすら出してなかったのか…」


 光が阿呆を見るような目でこちらを見るが、気にしない。

 俺はシャーペンを取り出し…


ズバババババッ!


 手に入れたステータスをフル活用して一気にノートをまとめる。

 いやぁ、魔力のステータス上げたおかげで、3秒も経てば忘れるような言葉もしっかり覚えていてくれるわ。


「……」


 光はジト目でこっちを見てくる。

 えぇい! 鬱陶しい! 男の視線なんていらんのだ!


 まぁ、これでやっとダンジョンのことをしっかり考えられるわけだが。

 あの異変後、今回はすぐさま入場規制された。

 前回失敗したからなぁ… めっちゃ対応が遅れてたし。


 あとは、ダンジョン内に入ってた人全員がテレポートで屋外に出たらしい。

 世界的にな。

 そのとき、ふざけた回答したせいで救助隊に出動してもらったという珍話もある。

 ちなみにこの辺の話は光から聞いた話だ。


 あいつ、二人にも話やがったらしいな…

 明日香は問題ないが、口が軽いことで悪名を轟かせている蓮奈が…なぁ?

 もうまじ首と胴がつながっていたいなら絶対に誰にも話すなよ? って釘はさしておいた。


 …これでもポロっとこぼすのがあいつなんだよな…


 あーあー、考えるだけでも鳥肌が立つわ。

 別のことを考えるとしよう。


 あぁそうそう、大和の性能がなぁ… 強いんだがなぁ…


 異様に重いんだよ。ステータスで強化してても。

 長物でただでさえ扱いにくいってのに。


 今回に関してはいつもみたいな体の補正がなかった。

 純粋な技術でなんとかしろっていう俺が一番苦手なタイプだ。

 努力とかクソくらえ!


 …はぁ、師匠とか要るようになってくるのか…?

 伝手も何もねぇしなぁ… 光に頼めばなにかあるかもな。


キーンコーンカーンコーン


 ちょうどいいタイミングでチャイムが鳴る。


「……と、今日はここまでだ。来週には小テストあるからしっかり勉強しとけよー」


 …かったるいな。はぁ…


「涼、次体育だぞ。更衣室行くぞ。」

「へーい。」


 俺は水筒と体操服を持って更衣室に向かっていく。

 …あそこ男臭いから嫌なんだよなぁ…






ドスッ


 俺は、走り幅跳びで脅威の20mを記録する。(目測)

 …もう砂場軽く飛び越して地面に着地してるんだけど。

 少し加減したつもりだったのに…


 これ俺の足より先に靴が壊れる可能性があるな…?


「うおおお!」

「すげぇ!?」

「飛びすぎだろ!?」

「キッショww」


 …ステータスのゴリ押しだがこういう事もできる。


「ふっ」


 褒められるというものは心地良ものだ。

 皆よもっとほめよ! 崇め讃えよ!


「そこまで調子に乗れるのも才能だと思うよ。」


 ポンッと、俺の肩に手が乗せられる。

 …この距離走って来てまでこのツッコミをしたの?


 ……暇なの?


「つまり俺は天才だということか。」

「そういうところだよ。」


 まったくやれやれ… みたいな表情をする光。

 お前はラノベの主人公か。


ザザッ…ザッ


 ……ん?

 …なんか、視界の端でなにかが居たような…


 まぁ、気の所為か。


「どうした?」

「いや、なんでもない。」


 光が不思議そうに俺の顔を覗き込む。

 ケッ 俺はお前を見たくねぇ! 目やにの一つでもあればイジってやるのにそれすら無いんだよ。

 眩しくて俺の心が浄化されちまうわ! …聖属性は天敵だってか。…って誰が闇属性だ!


 何やってんだろ、俺。


タッタッタッ


 メジャーを持った先生がこちらに近づいてくる。

 …それソフトボール用のものじゃ…?


「着地してちょっとえぐれてる地面っとはっと。……ここか。21.2mだな。軽く人智を超えてしまうんじゃないよ。」

「いやぁ、ちょっとダンジョンではしゃぎすぎちゃって。」

「これが若者の生命力か…」

「老いを感じるにはまだ早いだろ、ジジイ。」

「最後のジジイで全部台無しにするんじゃない。」


 ほぼ定年のジジイが何言ってんだ。


 ちなみに、あのあとレベルが上っててもう429だぞ?

 …キッショ。 インフレしすぎだろ…


 流石に日常生活に支障をきたしたくないからまだ割り振ってはいない。

 …ダンジョン行きてぇなぁ…



……

………



 昼休みになった今、教室で光、明日香、蓮奈と机を突き合わせながら弁当を食っている。

 光はスマホを見ながら弁当を食う。

 …どうせネットニュースとかなんだろうな。


「なあ涼、新しく階層守護者を討伐した人現れたって。」

「権利侵害で訴えれる?」

「特許持ってないだろお前。」


 配信の特ダネをかっさらっていったんだからいいだろ。

 …知らんけど。


「で、条件とかは分かったのか?」

「えーっと、その階層に自分のみしかいない時に、レアモンスターを十体討伐すると出現するらしいよ。」

「ほへー。」


 ボッチ専用ってことか。

 …あれ? 特大ブーメラン刺さった…?


 この前エスリルを初めて出現させた時は周りに人っ子一人いなかったからな。


「まぁ、まだ検証中だから確かなことはわからないらしいけどね。」

「なるほど。」


 複数人で可能になってもなぁ… 別にエスリルいるし。

 …武器判定なら何人でも持ち込めるのでは…?


「もらいっ!」

「てめっ!」


 蓮奈が俺の唐揚げを弁当から奪う。

 ふざけんな! 最後のために一つだけ残してたんだぞ!


「……隙あり」

「お前もか!」


 卵焼き奪ってきやがった!

 おい! 高校生男児の食欲舐めんな! 貴重なタンパク質なんだぞ!


「クソっ!」


ズバババッ!


「あっ〜!」

「…不覚っ」

「ちょっ!?」


 ステータスをフル活用して唐揚げと卵焼きを取り返したあと、八つ当たりで光から餃子をぬすむ。


「俺に関しては完全に被害者だろ!?」

「え… なんとなく。」

「「「………」」」


 恨めしそうにこちらを見てくる三人衆。

 ふっ…


「いつから盗まれたのがこれだけだと勘違いした?」

「「「なっ!?」」」

「米粒一つずつ盗んだのさ!」

「「「しょぼっ…」」」


 なんか面白かったから盗んどいた。

 つーか、ステータスで器用さも増してるよなぁ…


 あー、ダンジョンでのひりひりした戦闘もいいけど、こういうのんびりした日常もいいよなぁ…

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