閑話 ファミレス
◆ 某ファミレスにて ◆
「「「奢って。涼。」」」
「揃いも揃って強請るな!」
「だってこの中で一番金持ってるの涼だし。」
「俺は労働の対価として受け取ってんだよ! お小遣いと違って!」
確かに金持ってるのは俺だけど!
財布に万札入ってるけど!
「……あとでぬいぐるみも買って。」
「この缶バッジが欲しいんだ〜!」
「このスキルオーブちょっと高いからさ…」
「もうファミレス関係ないからな!?」
ショッピングモールのファミレスに来たのが間違いだったか…
あとスキルオーブは高いわ!
俺は腹減ってるんだ。早くしろ。
「順番待ちみたいだな…」
「…予約してくる。」
「頼んだ。」
すぐそこにある順番待ちの席に座ろうとすると…
「おいお前らそこどけや」
「「無理ぃ〜」」
「割り込んでんじゃねぇよ…」
ダッシュで席を占有してきた。
残り2席だったから座ろうとしたのに…
そして2席同時に使って煽りたかったのに…!
……横幅広いんだよ、デブって言い返されそうだな…
「ん。書いてきた。」
「なんて書いてきたんだ?」
「………乙女の秘密。」
「あんま乙女を使うタイミングじゃないだろ…」
まぁ存分に面白い名前なんだろうな。ハードルを大気圏突破させて待っとくとするか。
予約待ちで変な名前を書くのは学生の醍醐味だからな。
「なぁ、光。」
「なに?」
「このガチャ引いて。」
「…奢ってくれるならいいよ」
「がめついな。御曹司のくせに。」
「がめつくなきゃ跡継ぎなんて務まらねぇよ。」
「ケッ。契約成立だ。」
手を差し伸べ、固い握手をする。
「痛い痛い痛い痛い!!!」
「ハッハァ!」
爽快だなぁ! …流石にそろそろ折れそうだし離してやるか。
「…砕けるかと思った…」
「粉末にしてやろうか?」
「……おろし金買ってくる。」
「買わなくていいからね!?」
ナイスタイミングだ。明日香。
「あ、席空いたし座るか。」
「…御意」
「ワードチョイスおかしくない?」
なんか変なところでズレてるんだよな。こいつ。
あ、そうだ。光にどうせ引いてもらうんだし、まぁ5千円ぐらい課金しておくか。
…いや、2千円で十分か。
全部引いてもらうとしよう。
「課金っと。」
「それが出来るなら奢ってくれても良いんじゃないの?」
「お前に恩を売っても帰ってくる保証がないんだが?」
安心感ってのがあるんだよ。ソシャゲのほうが。
確率は裏切るけど。
物欲センサーを大和で破壊できたら良いのに…
「じゃあさっそく光に……」
「4名でお待ちの華恋様ー」
「……呼ばれた」
「これは宣戦布告として受け取って良いのか?」
「…私の美貌に傷をつけるのは不可能」
「お? 七罪大艦食らうか?」
ここでぶり返してくるのは反則だろうが!
そのポジティブのせいでいじるにもいじれねぇし!
はぁ、昨日のことまだ覚えていやがるのか… クソが。
「…はぁ。とりあえず席につくか。」
「そうだな。」
何言っても聞きやしねぇし、諦めるか。
呆れながら、奥の方の席に座る。トイレ行くときにめんどくさい位置だ。
隣には光が来る。
…よし、何度もトイレに行ったりドリンクバー取りに行って迷惑をかけるとするか。
「お前ら何頼む?」
「ピザ。」
「ん〜。グラタンかな。」
「…ドド◯ア」
「ド◯リアは注文してもでてこないからな!?」
はぁ… ツッコミが疲れる。
「光はマルガリータで、蓮奈は地中海風、明日香はミラノ風?」
「…そう」
「正解〜」
「そうそ… マルガリータってなんだよ!?」
「出家しないか?」
「そっくりそのまま帰すよ。邪念を綺麗さっぱり消してくれ。」
「そしたら俺に何が残る!?」
「言ってて悲しくない? それ。」
黙れ! 俺のアイデンティティを消そうとするな!
「じゃあ野球部ってことで。」
「どう頑張っても丸刈りに持っていこうとするのやめて!?」
「うるさいやつだなぁ…」
「お前のせいだよ!」
一向に注文ができないじゃねぇか…
明日香と蓮奈に関しては2人でスマホを見せ合ってるし。
なにしてんだろ。
「……涼は何にするの」
「うーん、パスタかな。」
「……おっけ、イカスミ。」
「普通のでいいからな!?」
歯を真っ黒にさせるつもりか!? お歯黒ってか!?
まだ俺は16歳で成人してねぇよ!
「なんで注文にこんな時間がかかってるんだよ…」
「……自業自得。」
「鏡に言ってる?」
「因果応報〜」
「揃いも揃って別々の言葉で俺のことを罵ってくるな!」
だぁぁもう! 全員底に並べ! 一人づつデコピンしてやるから! 本気で!
…今の力の本気じゃ頭吹き飛んじまうか…
生活に支障はないが、もう少し制御に慣れる必要がありそうだ。
とりあえず、タブレットで注文をする。
「あ、そうだお前らドリンクバーいるよな?」
「うん。」
「いる〜!」
「……無論」
このメンツでファミレス来たの何度目だと思ってんだ。
大体のことぐらい予想が付くっての。
「よし、これでおっけーと。」
「届く前にドリンクバー行こうぜ。涼」
「そうだな。」
「…付いてく」
「私も〜」
えぇ〜
「お前らの分まで持っていってやるから安心しろ。」
「そうそう。2人の分は俺らが責任持って渡すから。」
「……信用ない。」
「これで何度騙されたと思ってるの〜? 流石に学習するよ〜。」
チッ、全部混ぜドッキリを仕掛けすぎたか…
時々なぜか美味くなるってのが面白いのに…
「…はぁ、蓮奈はりんご、明日香は白ぶどうでいいよな?」
「それじゃなかったら叩きのめすからね?」
「……お供する」
「ハッハ! お前らが俺に敵うとでも?」
「………うっふーん」
「色仕掛けが雑すぎるだろ…」
S字に体をくねらせた明日香だが、1ミリたりとも色気がない。
もっと胸が育ってからにしろ。
「私も! うっふ〜ん!」
「やめろ、おぞましい。」
「流石に酷いよ!?」
あーあ、食欲失せちまうだろうが。
「お前らはこの席でいちゃついとけ。」
「「はーい」」
納得するんかい。ツッコミしろや。
「なんだかんだ言って二人の扱い上手いよね。」
「お前が下手なだけだろ。」
リーダーシップってのがないんじゃないか?
会社受け継ぐならそれぐらいできなきゃ会社潰れちまうぞ?
グラスを手に取り、二人の分を入れる。
「光ー、俺のはコーラでお願い。」
「おけ。」
「ってことで、表面張力を体感しようのコーナー!」
「「やっぱりやりやがったこいつ…」」
へっ! 止めない光が悪い!
零れそうでこぼれないギリギリを持ってくるのは大変だったんだぜー?
せいぜいこぼさずに飲むことだな!
「あ、光、料理来る前にこれ引いちゃって。」
「わかった。10連で良いんだよな?」
「あぁ。全部引いてくれ。」
俺はゲームのガチャ画面を突き出す。
全部引けば天井にたどり着くし、まぁ一個は確定で出るわけだが…
「あ、出た。」
ほらな。一発で出るんだよ。
「じゃあこっちのガチャを」
「ほーい。」
そして…
「あ、多分出た。」
「なんでそれで一式も揃うんだよ!」
確率バグってるだろ! 兜、鎧上、鎧下、盾、武器全部1回で出たぞ!?
10連なんだぞ!?
「この世の運を全部集めたような存在だよな、お前。」
「お前が褒めるとか明日は槍の雨か?」
「この世の悪意を全部集めそうなやつだな、お前。」
主に俺の悪意を。
そして店員がこっちに来る。 やっぱ早いな。
「ご注文の品です。」
「あ、ピザは俺のです」
「俺はカルボナーラ」
「…ドドリ◯」
「グラタンー!」
おい明日香。このタイミングでも◯ドリアを言うか。
「では。」
「ありがとうございました。」
「早速いただきまーす!」
「…さあ、いただきますよ。ド◯リアさん。」
「いただきます。」
「いただきま〜す。」
そう言って、俺達は食べ始めた。
…特にこのあと何かあったわけでもなく、普通に食べ終わって普通に俺が光の分と一緒に会計した。
……まだ財布は温かいから問題ないがな!
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