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閑話 暇を持て余した愚者たち

※閑話です。


この話、設定は本編とは一切関係ありませんが、時系列は本編と同じです。

本編にこの話の内容が出てくることもありませんし、別に読み飛ばしても、重大な問題にはなりません。


「涼とその他の奴らの漫才が見てぇ〜!」


って人におすすめです。


あと、「あー、こいつらにはこんな過去があったんだ」みたいな話もあるので、キャラを深掘りしたい人にもおすすめ。


それでは、本編ではあまり見られないこいつらの会話をお楽しみください。

◆ 夏休み明け・光の家にて ◆



「存分に俺をもてなしてくれ!」

「その一言でもてなす気が銀河の外まで吹き飛んでったよ…」


 今は光の家にいつメンの4人で来ている。

 …理由? そんなの暇だったからだ。


「どうせ涼も蓮奈も、宿題教えてほしかったんじゃないのか?」

「なぜ…バレたんだ…」

「御名答〜〜!」

「……私は、面白そうだったから着いてきた。」


 明日香は頭いい部類に入る。

 いっつも思ってるんだが、ぬいぐるみにまみれた机の上でよく勉強なんか出来るよな。


 どう考えてもぬいぐるみが邪魔くさいだろ。


「その鞄に宿題がパンパンに入ってることぐらい学校で見たわ。」

「くっ…!」


 俺達は始業式で午前だったので、学校から直で光の家に来ている。

 今日はたまたま親が二人とも家を空けているらしい。

 基本的にどちらか一人は居るらしいがな。


 子供のことをよく分かっている良い親じゃないか。こいつなんかには勿体ないな。


「はぁ… 早く宿題するぞ。今日はそこまで量が多くないからすぐ終わるだろうし。」

「じゃあ後は頼んだ。」

「お願いー!」

「……ぷれぜんとふぉーゆー」


 全員揃って宿題を光に差し出す。

 …始業式の日に、夏休みの宿題が終わって歓喜している俺達に宿題を出すという鬼畜の所業を行った担任を許すことは今後ないだろう。

 なので、光に八つ当たりだ。


「揃いも揃って俺に押し付けようとするな! 後明日香お前1人で出来るだろ。」

「……だってめんどくさい」

「そ〜そ〜」

「適材適所ってやつだ。」

「じゃあお前らの仕事はなんなのかなぁ!?」


 つべこべうるさいやつだな。量が少なくてすぐ終わるんだろ?

 東谷の表札を背負う人間なんだ。それぐらいの許容範囲があってもいいだろ。


「というわけで、家宅捜索ターイム!」

「「いえーい!」」

「ちょっとまったー!!」


 んだよ。盛り上がっているところに茶々を入れやがって。

 …KYめ。空気読めよ。


「捜索するのはお前の部屋とリビング、ダイニングだけなんだからいいじゃん。」

「お前本当に宿題する気で来たのか…?」


 えー、だって最悪エスリルがやってくれるしさー

 ある意味社会勉強をさせるのにちょうどいいかもな!


「…はぁ、宿題が終わったら捜索していいから。別に変なものはないし。」

「「「よっし言質は取った。」」」

「息ぴったりなのやめてくれないかなぁ!?」


 じゃあ爆速で終わらせるとしようか! …光に質問しながら。



……

………



「「やっと終わった〜」」

「…難敵だった。」

「…疲れた……」


 しなしなポテトみたいになった光を横目に俺は伸びをする。

 俺は断然カリカリポテト派だ。つまりこいつは敵でもある。


「覚悟っ!」

「理不尽っ!?」


 腹を小突くと、痛そうに悶絶している。

 やっぱレベル上がりすぎた弊害だな… 常人の防御力じゃ耐えきれなかったか…


「もっと鍛えたらどうだ?」

「理不尽の追い打ちをかけるな……」


 こちらを恨めしそうに睨む光。

 ケッ! 知らんな!


「この隙に家宅捜索ターイム!!!」

「「いぇえーーい!」」

「ちょっ…」


 はっ! 光。お前の言質はあるんだ。抵抗しても無駄だ!


「俺は光の部屋を!」

「私はリビングを!」

「…私はダイニングを。」

「収穫があったら随時報告するように! 解散!」

「「さーいえっさー!」」

「…うぐぅ……」


 ぐっへっへ。ベッドの下とか捜索してやる。

 エッチな薄い本を見つけて弱みを握るんだ!

 もしかしたら本棚に堂々と置いてある可能性もあるな!


 …あわよくば地下室! コレクションしているか!?

 ……そうじゃん。ここマンションの最上階じゃん。

 地下室ぅ…


ガチャ


 光の部屋の扉を開いて堂々と入る。

 さぁどんな物が置いてあるのかなぁ…?


「…ん? なんだこれ。」


 本棚にはいっている分厚いものを見つける。


「あっ、これ卒アルじゃん。持っていこーっと。」


 小学校の卒業アルバムが置いてあった。

 寄せ書きとか残ってねぇかな? 存分にいじるのに。


「あとは何があるかな?」


 壁の方を向くと、大量の表彰状が飾られている。

 全部額縁に収まっていて、壁を埋め尽くす勢いで張られている。


 …俺の部屋には一つもないってのに。

 …いや、卒業証書…… 虚しっ!


 あぁ、あと飾ってないが感謝状はあったな。強盗鎮圧のやつ。

 中学生の頃だったか? コンビニにいつメンの四人で行ってた時に遭遇したんだよな。コンビニ強盗。


 あのとき思春期真っ盛りのときだった俺は、すげぇ! 本当にいるんだ! って興奮したあと、謎の正義感にかられてまずドロップキックをかました。

 そのあと、光がナイフと拳銃を奪い、腕ひしぎ十字固めをした。この時こいつ柔道も出来るのかよ… ってイラッとした。


 …なのになんでスライム一体倒せないんだ…? 世界の不思議の一つだ…


 明日香は警察へ通報。蓮奈は真っ先に逃げ出してオロオロしてたな。


 懐かしい夏の思い出だ。


「うーん、ベッドの下にはないか…」


 ッチ、巧妙に隠しおってからに…

 収穫はこれだけか。存分に光の黒歴史を開示していくとしよう。


 …まぁ他の全員も全部知ってるんだが、ぶり返すことに意味があるのだ!


 俺は光の部屋を後にし、他の奴らの居るリビングの方に向かった。


「なにかあったか?」

「こっちは収穫なし〜」

「…こっちも。」


 無能め…


「俺は卒アル持ってきたぞ!」

「…いいね」

「やるじゃ〜ん」


 全員卒アルって同じなんだがな。卒業文集とかあるから、主に光のやつを裏声混じりで音読するつもりだ。

 どうせ綺麗事ばっかり書いてるんだ。小6のころでも社交辞令とかを先生に使ってたからな。

 子供らしくねぇ…


 さっそく、リビングの机に置いて卒アルを開く。しれっと光が復帰して近くに座る。

 開くと真っ先に出てくるのは、顔写真がいっぱいあるところだ。


「あ、おねしょマスターだ。」

「俺の写真を指さしながら言うんじゃねぇ!」

「全体的に幼いね〜」

「…垢まみれ。」

「あんま垢抜ける前の状態を垢まみれとは言わないでしょ…」

「……ん。垢まみれ」

「俺を指さすんじゃねぇ!」


 心外だ! というかなんで俺ばっかりいじられるんだ!

 くっそ、いじり返してやる!


「この頃からお前ぬいぐるみで部屋が圧迫されてたよな。」

「…ん。まだまだ未熟だった。」

「お前もう玄人だもんな…」


 …ん? なんでいじるつもりがツッコミになったんだ…?

 くっそ! 誘導された!

 孔明の罠だったか!


 えぇい! 次のページだ!


「あ、修学旅行だ〜。」

「…懐かしい。」

「これ涼がおねしょした部屋じゃん。あの後めっちゃ謝ってて面白かったわ。」

「ぶり返すんじゃねぇ!」


 だぁぁ! なんで言うんだよ!

 どうせなら修学旅行の思い出とか語り合おうぜ!


「この時の夜、恋バナしてたじゃ〜ん?」

「…そうそう。」

「あ、こっちの部屋でもしてたしてた。」

「光お前好きな人いないとかすました顔してたよな。」

「お前あの時華恋ちゃんのこと好きだったよな。」

「くっそ地雷だったか!!」


 いつまでも覚えてんじゃねぇよ! 忘れろ!


「あの後俺華恋ちゃんに1回告白されたんだよね。」

「初耳なんだが!?」

「……BSS。」


 B(僕が)S(先に)S(好きだったのに)じゃねぇよ!!

 卒アル持ってくるのは失敗だったか! 迂闊だった!

 地雷原の上でタップダンス踊ってるみたいなもんじゃねぇか!

 そして綺麗に全部踏み抜いていくんじゃねぇよ俺…!


 …よし、これは封印しよう。


パタン


「なんで閉じるんだよ。」

「もっと見たいのに〜!」

「…もっといじる余地が残ってる」

「だからだよ!」


 はぁ。俺はサンドバッグじゃねぇんだよ!


「よし! 帰るぞ! 撤収だ!」

「「えぇ〜」」

「マ◯オカートするか?」

「「「するー!!」」」

「しれっと涼混じってくるなよ… 帰るんじゃなかったのか?」

「お前が負けて悔しがる姿が見たいから。」

「最悪な性格だな…」

「ちなみにそれで白飯3杯は行ける。」

「最悪な性格だな!」



 …ちなみに、その後涼が普通にボロ負けして煽られまくったとさ。

 めでたしめでたし。


 …いや全然めでたくねぇけど!

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