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5/58

5 配信するのって難しいね①

 あの後色々考えた結果、結構候補が出た。


・黒狐

・狐面(こめん)のドパガキ

・黒狐(こくこ)クロセ

・狐面(こめん)のクロセ

・クロ

・ドパ

・ドパ狐

…etc


 まぁ、一番マシなのが黒狐(こくこ)クロセなんだよな。

 黒い狐面だし、クロセを本名だと思うやつも少ないだろ。黒瀬以外に漢字で表すこと無いけど…

 まぁいいだろ! あんま有名なる気もしないし!


 そんなこんなでアカウント名を黒狐クロセに変えた。

 メアドも覚えてステータスに打ち込んでアカウント連携したからな。


 多分ダンジョン内で配信開始をしたら発動するだろ。…多分。

 やったこと無いから確証があるわけもなく。


 そんなこんなでダンジョンに来て検証しに来たわけだ。


 早速ステータス欄にある配信から、配信開始を選択する。


「配信の題名かー。適当に初配信とかでいいか。」


 ステータス欄に打ち込み、早速配信がスタートしようとする。


「あ? サムネ? 仮面被った自撮りでいいか。カメラ選択して、あのキューブを向いて撮影っと。」


 お、写真撮れた。ステータス欄に表示された写真を見る。


「ん!?」


 なんだこれ?! 和装に狐耳!? 尻尾も生えてるし、毛が黒い!?

 どうなってんだこれ!?


 仮面無くなって美形になってるし…

 ―――いや、大差ないな! これがもとの俺の顔だ! はっはー!


 ……虚しっ


「…勝手に加工されたんだろ。ハッハ、せいぜいクリックして失望しやがれ視聴者共。」


 ステータスかなんかが悪さしてるんだろ。

 謎にリアルな質感だな。俺の体触ってもまったくツルツルでふわふわじゃまったくないのに。

 あー、リアルでもこんな美形だったらなー


 よし、これで配信開始っと。


「テステス、やっほー、見てるー?」


 って言ってもまだ同接0人だから見てるわけ無いんだけどな。

 これでYoo!tubeに配信が開始されたわけだ。

 現実の技術に片足突っ込んでくるスキルって大丈夫なのか?


 …悪さとかはできなさそうだけど。


「スライム狩りとしますかぁ」


 俺はダンジョンの奥の方へと進みだした。


……

………


「やっぱスライム潰すの楽しいけど、若干飽きてきたな。」


 カバンを半分ほど埋め尽くしている小魔石を見てそうつぶやく。

 流石に肩掛けカバンじゃ足りないかぁ。今後ナップサックとか持ってくるか。

 ダンジョンにはマジックバッグなるものが存在するらしいし、それを探すのもアリだな。

 きっと深層にしか無いんだろうけど。


 ステータス欄見たら同接の数とかコメント見れるんだよな。


『初見です! かっこいいサムネを見てきました!』


「お? ついに初めて人が来たぞ!」


 よっしゃ、一人いるだけでもなかなか嬉しいもんだな。

 自動読み上げのおかげでわかりやすい。



―配信中―


同接:1人

コメント

[初見です! かっこいいサムネを見て来ました!]



 コメントってこっちにも表示されるんだな。

 今はまだコメ欄の動きが遅いから、読み上げ制限とかいらなさそうだな。


「初めましてー 俺は黒狐クロセです。最近ダンジョンに入り始めたから、まだ第一層でしか無いんだけどな。」


 軽く自己紹介をしてみる。なんか一人しかいないから、二人っきりみたいな感じになってる。

 対面しているわけじゃないから別にいいんだけど。


『そうなんですね。私はそもそもダンジョンに入る勇気すらないので…』

「ダンジョンに関しては別に入る義務とか無いから、好きなように見といてー。」

『わかりました!』


 へぇー、最初の視聴者は女性か。


『かっこいいアバターですね!』

「?」


 アバター? 何の話をしているんだ?

 まぁいいや。


「ちょっとみてて。このスライムを面白く倒すから。」

『?』


スッ プチッ


「ほらな。気持ちいいだろ?」

『へっ、あおえどうやたただんですけあ?!』

「ちょっと落ち着いてコメントしろ。打ちミスが酷いぞ。」


 どうやったらこんな文字列になるんだよ。


『どうやってたおしたんですか!?』

「俺のユニークスキルってやつだ。」

『へぇー 凄いですね! 妖力ってやつですか?』

「いや、この狐面は関係ない。俺の【ドパガキ】ってユニークスキルのせいだ。」


 …ぶっちゃけちゃったけど大丈夫だよな?

 別に隠すようなことではないから。


『ドパガキですか?』

「そうそう、悪意あるよなこの名前。有用なスキルのくせに。」


 妖力ってごまかしたほうが良かったか? やめとけばよかったかもしれない。

 このまま帰られたらちょっと泣く自身がある。


『変な名前ですね。』

「そうだな。今はあんたしかいないし、正直今後妖力って騙すことも考えてる。」

『ふふっ、それもありですね。見た目にマッチしていますし。』


 ネットでこの言葉遣いするって結構教養のある人なのだろうか。

 なんとなく、いい人感が強い。


「あ、もしかして女性?」

『そうですよ。』


 言葉遣いとか雰囲気からだいたいそんな気がしてたんだよな。


「うん、そうだな!次から来る人には妖力って言って騙そう!」

『じゃあドパガキってのは忘れときますね。』

「そうしてくれ。さっきのコメントを消しておく。」


 俺は早速ステータスを開いて、先程のコメントを消す。


「このままどんどんスライムを潰していくか!」

『頑張ってください!』


 なんか応援されるとむず痒いな。

 だが、若干気分が良かったりもする。なんだか新しい感覚だ。

 刺激と言ったほうが正しいかもな。ドーパミンが刺激されるぜ。


[パパーン! ドパガキのレベルが上がりました!]


「うるっさ! このファンファーレマジで音量バグってるって!」


 ほんとにダンジョンの制作者一回ぶん殴らせろ。

 鼓膜を破るつもりでファンファーレ鳴らしてるだろこれ。


 ってかドパガキのレベルが上がった?

 ……新しいドーパミンを手に入れたから?


「すまん、ちょっとスキルのレベルが上がったみたいだから確認してみる。」

『そうなんですね、おめでとうございます!なんだか私も嬉しい気持ちになりました!』


 共感してくれるのか、めっちゃいい子じゃんこの人。

 …なんで俺の配信なんかにいるんだろうな。


「ステータスオーペン」


 オーペンは変えない。天変地異が起きても。

 …流石に天変地異が起きたら困るけど。



―ドパガキ―

Lv.2


・スワイプ

・アイテムドロワー



 ん? アイテムドロワー?

 どういうことだ?


「ちょっとすまん、色々検証するから付き合ってくれないか?」

『初見です』

『わかりました!』


 っくそ! 新規タイミング悪いんだよ!

 来てくれたのは嬉しいけども…!

 あ、ステータス欄でちゃんと同接2人になってる。


「初見さんいらっしゃ~い、今から新しいスキルの検証するから見てて。」

『おk』


 やっぱこういう返答が普通なんだろうな。フランクっつうかなんつうか。

 こっちのほうが若干しっくり来るんだよな。

 …マナーがなってないほうがしっくり来るって何かしらの末期かもな…


スッ プチッ


「あれ? 魔石が落ちていないぞ?」

『え、何した今!?』

『魔石って落ちないこともあるんですか?』

「いや、魔石は必ず落ちるって言われている。あと初見、いまのは俺のスキルだ。妖力ってのを使ってる。」


 よし、これで初見を騙した。別に騙しても特に意味ないんだけどな。

 印象が悪くならない程度だが。せっかく狐なんだ、利用しないのはもったいないだろう。

 キャラ付けにもなるし。


 ―――ドパガキってのもキャラ付けになるのか…?

 もう遅いか。狐面付けたドパガキってなんか変だしな。


 最初から顔出しするならドパガキって名乗ったんだろうけどな。

 ちょっとぐらいカッコつけたいのが俺ぐらいの年頃なんだよ!


 それより、魔石がでなかったのはやっぱコレクションの能力だよな。


「アイテムドロワー」


 うーん、何もでてこない。

 スワイプみたく、何かしらの操作が必要なのか?


 スワイプってスマホ由来のものだと思うんだよな。

 ドパガキってよくスマホ使ってるし。ってかスマホが生命線だし。

 使えなくなったらドーパミン不足で干からびて死ぬからな。


 …それ以前に禁断症状出るか。


 話がズレたが、要はスマホっぽい操作をすれば良いんだよな?


「なぁ、アイテムドロワーから、スマホっぽい操作思いつかねぇ?」

『何の話?』

『えと、確かホーム画面で下から上にスワイプしたときに出るのが、アプリドロワーって言われてます!』

「ナイス!」


 なんか初見が置いてかれてるけど説明している暇はない。


 すぐさま視界の下の方から上に指を動かす。

 すると、スッとステータス画面に近い、半透明のパネルらしきものが出てきた。

 対象は指定していないから、ダンジョンの床が動くとかはない。


「なんだこれ?」

『もうわからん』

『あの、何も無いですよ?』


 あ、同接二人だったのが一人減って半減した。

 一人減って半減って元が少なすぎるな。


「あぁ、ごめん、ステータス画面も他の人には見えないんだったな。ちょっと見せられないかも。」

『わかりました。』


―アイテムドロワー―


・小魔石×1



「お、ここに入っていたのか、お前。」


 これ結構有能じゃないのか? 自動格納されてるじゃんこれ。

 じゃあ、この鞄に入っている小魔石はどうやって入れたら良いんだ?


「オラッ!」


 小魔石を投げつけると、中にはいって、



―アイテムドロワー―


・小魔石×2



 となった。

 なんだこれ、クソ有能じゃんこれ。

 多分投げつける必要はなかったよな。


『え? 今何したんですか?』

「いや、スキルが進化して出てきた機能が、かなり強くてさ、面白いんだよ。言うならばインベントリみたいなやつ。」

『すごいですね!』


 インベントリって某四角いブロックを置くゲームで広まってるから、多分伝わってると思う。

 大丈夫だよな? すごいって適当に言ってないよな?


 まぁ、もう鞄を丸ごと入れるとするか。


 お、凄いなこれ、中で仕分けされて、布の鞄と、小魔石47個に分かれたぞ!


「よっしゃ荷物問題も解決したし、もっとスライムを狩るとするか!」

『おー!』


 もっとドーパミンをよこせスライム共ー!

変に思うとこがあっても、あんまり気にしないでください。


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